制服代7万円、学校用のパソコン代6万円、修学旅行費11万円。公立の学校に通っていても、思いがけない出費が続く――。ABEMA TIMESは、子どもが学校に通う家庭で「隠れ教育費」の負担が重いと感じる保護者の声を伝えています。
教育費は、子どもが大きくなるほど増え、しかも年々上がっています。一方で、薬剤師の給料は、同じ職場にいるだけではなかなか上がりにくい仕組みがあります。この記事では、教育費の実態を公的な調査で確かめたうえで、将来の教育費を確保するために薬剤師が考えたい「収入の増やし方」を整理します。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 公立小学校の6年間の学習費は、平成24年度の約183万円から令和5年度の約220万円へ、約2割増えた(文部科学省「子供の学習費調査」)
- 幼稚園から高校まですべて公立でも、15年間の学習費は約614万円。すべて私立なら約1,969万円
- 薬局の収入の大半は国が決める調剤報酬で、同じ職場で待っていても給料が上がりにくい構造がある
- 統計では、30代前半から40代前半にかけての年収の目安の差は約62万円。教育費の伸びに追いつくには、自分から収入の条件を見直す必要がある
- 最も効果が大きいのは、在職中に転職活動をして、収入が上がる求人があるかを確かめること
報道の内容:「隠れ教育費」に悩む親の声
ABEMA TIMESの記事(Yahoo!ニュース掲載)では、次のような保護者の声が紹介されています。
- 部活動のユニフォームやシューズなどで10万円を少し超えた。修学旅行は13万円
- ネクタイは1種類でよいはずなのに2色あり、2色とも買った
- 高校に進学して塾代は終わったが、制服代7万円、学校用パソコン代6万円。その翌月に修学旅行費11万円の請求が来た
慶應義塾大学の中室牧子教授は、学校指定品は適正な競争が行われず高い金額になっていると指摘し、シャツや靴下、バッグは市販品でよいのではという考えを示しています。
数字で見る教育費:年々上がっている
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」(結果のポイント)では、保護者が子ども一人のために1年間に支出した学習費(学校教育費、給食費、塾や習い事などの学校外活動費の合計)は、次のとおりでした。
| 学校の種類 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 小学校 | 約36万7,000円 | 約174万2,000円 |
| 中学校 | 約54万2,000円 | 約156万円 |
| 高等学校(全日制) | 約59万7,000円 | 約117万9,000円 |
公立でも、10年あまりで約2割増
同じ調査の学年ごとの合計を、平成24年度と令和5年度で比べると、次のようになります。
| 公立の学校 | 平成24年度 | 令和5年度 | 増え方 |
|---|---|---|---|
| 小学校(6年間) | 約183万円 | 約220万円 | 約2割増 |
| 中学校(3年間) | 約135万円 | 約163万円 | 約2割増 |
| 高等学校(3年間) | 約116万円 | 約178万円 | 約5割増 |
調査の内容や方法は令和3年度から一部変わっているため、単純に比べられない部分もあります。それでも、公立に通っていても教育費が上がり続けていることは読み取れます。幼稚園3歳から高校3年生までの15年間の合計は、すべて公立で約614万円、すべて私立で約1,969万円です。ここに大学の費用が加わります。
薬剤師の給料は、同じ職場で待っていても上がりにくい
教育費が上がり続ける一方で、薬剤師の給料には上がりにくい事情があります。
- 薬局の収入の大半は、国が決める調剤報酬(公定価格)で、自分たちで値上げできない
- 調剤報酬は原則2年に1度の改定で、上がるとは限らない
- 店舗の売上が伸びても、人件費の配分は会社の方針次第
- 管理薬剤師などの役職の数には限りがあり、役職手当で上げられる人は一部
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、薬剤師の年収の目安(月の給与×12+賞与)は30〜34歳で約533万円、40〜44歳で約595万円でした(e-Stat)。異なる年代の人を比べた数字なので一人ひとりの昇給とは違いますが、10歳の差で約62万円です。その間に、子どもの教育費は学年が上がるごとに大きくなっていきます。
中央社会保険医療協議会の「第25回医療経済実態調査」(調査の概要)でも、保険薬局(法人)で働く薬剤師の年収(給料と賞与の合計)は、令和5年度の約479万円から令和6年度の約480万円へ、伸びは0.3%にとどまりました。同じ期間に、一般病院の薬剤師は2.1%伸びています。教育費が上がり続けるなかで、同じ職場で昇給を待つだけでは追いつきにくいことが分かります。
給料が上がりにくい職場の見分け方は薬剤師の給料が上がらない理由と対策、40代の年代別の給与と転職の考え方は40代薬剤師の転職で紹介しています。
教育費を確保するために、まず考えたいこと
| 方法 | 効果 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 支出を見直す | 隠れ教育費は、市販品で代用できるものを確かめるなど工夫の余地がある | 学校指定品は代えられないものも多い。削れる額には限りがある |
| 児童手当をためる | 高校生年代まで支給される(令和6年10月から拡充) | 使わずに教育費として積み立てておくと効果が大きい |
| 今の職場で昇給を相談する | 役職や手当で上がることがある | 会社の給与の仕組みによっては上げ幅に限りがある |
| 転職で収入の条件を見直す | 同じ働き方のまま、年収が上がる求人が見つかることがある | 必ず上がるとは限らない。在職中に比べて判断する |
児童手当は、0歳から高校生年代まで(18歳になった後の最初の3月31日まで)、3歳未満は月1万5,000円、3歳から高校生年代は月1万円(第3子以降は月3万円)が支給されます(こども家庭庁「児童手当」)。
支出の工夫や児童手当の積み立ては大切です。それでも、教育費の伸びに追いつくには、収入そのものを上げることが一番効きます。そして薬剤師は、転職で収入の条件を見直しやすい職種です。
なぜ「転職活動」が一番効くのか
- 昇給は年に1度、数千円から数万円の単位。転職では、年収の条件をまとめて見直せる
- 同じ地域・同じ職場の種類でも、会社によって給与の決め方や手当が違う
- 在職中に求人を比べれば、今の収入が相場と比べて低いのかどうかが分かる
- 比べた結果、今の職場の条件が悪くないと分かれば、安心して今の職場で働き続けられる
ここで言う転職活動は、すぐに辞めることではありません。在職中に求人を集めて比べ、収入が上がる求人があるかを確かめることです。
子育て中の薬剤師が、転職で確かめたいこと
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 年収の内訳と月々の手取り | 賞与の割合が高いと、毎月の教育費に回せる額は思ったほど増えないことがある |
| 家族手当・住宅手当 | 会社によって有無や条件が違う。手取りに大きく影響する |
| 昇給の時期と基準 | 入社後に年収がどう上がっていくかの見通しになる |
| 急な休みへの対応 | 子どもの病気や学校行事で休むことがある。子の看護等休暇の扱いも確かめる |
| 転勤の有無 | 子どもの転校は、それ自体が大きな負担になる |
子育てと両立しやすい職場の見分け方は子育て中の薬剤師の職場選び、子どもの病気や行事で休むための制度は子の看護等休暇で紹介しています。
転職活動の進め方
- 子どもの進学の予定と、必要になる教育費の時期をざっくり書き出す
- 今の年収の内訳(源泉徴収票)と、月々の手取りを確かめる
- 「年にあと何万円ほしいか」を決める
- 転職エージェントに登録し、今の働き方のまま収入が上がる求人があるかを相談する
- 提示された条件を、月々の手取り・手当・休みやすさで比べ、条件がよければ応募する
年収の交渉の仕方は薬剤師の転職での年収交渉、在職中の転職活動が職場に知られないための注意点は在職中の転職活動が職場にばれないためにで紹介しています。住宅ローンの返済もある場合は住宅ローンの返済が苦しい薬剤師へもあわせて読んでください。
よくある質問
Q. 教育費は、いくら準備しておけばいいですか?
文部科学省の調査では、幼稚園から高校まですべて公立で15年間に約614万円、すべて私立で約1,969万円でした。ここに大学の費用が加わります。進路によって大きく変わるため、子どもの進学の予定に合わせて考えましょう。
Q. 転職すれば、年収は必ず上がりますか?
必ず上がるとは限りません。だからこそ、在職中に求人を比べ、収入が上がる求人があるかを確かめてから判断することが大切です。
Q. 子育て中でも、転職活動はできますか?
できます。転職エージェントを使えば、求人探しや日程の調整を任せられます。面接の日程や勤務時間の希望も、担当者を通して相談できます。
Q. 配偶者がパートで働く場合の時給の目安は?
薬剤師のパートなら、厚生労働省の統計では平均2,540円です。詳しくは「薬剤師パートの時給相場」で紹介しています。
まとめ
- 教育費は公立でも年々上がっている。公立小学校の6年間で約2割増
- 幼稚園から高校まで、すべて公立でも約614万円。大学の費用はさらにかかる
- 薬剤師の給料は、調剤報酬の仕組みもあり、同じ職場で待っていても上がりにくい
- 支出の工夫と児童手当の積み立てに加え、収入そのものを上げることが一番効く
- まずは在職中に転職活動をして、収入が上がる求人があるかを確かめる
将来の教育費に備えて収入の条件を見直したい場合は、薬剤師の転職エージェントの選び方と比較で、自分に合う相談先を選んでください。給与の交渉や子育てとの両立の条件を確認してもらいたい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考になります。パートで働く方は薬剤師パートの時給相場もあわせてどうぞ。



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