2026年10月14日、厚生労働省は、マンジャロなどのGLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬について、適正な使用を改めて周知するよう求める通知を出しました。美容や痩身を目的とした使用で、「ケトーシス」や、命に関わることもある「ケトアシドーシス」に至った事例が報告されているためです。
この記事では、通知の内容、ケトーシスの兆候、日本肥満学会の注意喚起、薬剤師が患者さんや相談者に伝えたいことをまとめます。
※2026年10月25日時点の報道・公表の内容をもとにしています。薬との因果関係は不明とされています。治療については医師にご相談ください。
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この記事の要点
- 厚生労働省が10月14日、GLP-1受容体作動薬などの適正使用を改めて周知するよう、自治体や医療機関などに求めた(6月に続いて2回目)
- 2型糖尿病や肥満症の治療以外の、美容・痩身目的の使用で、ケトーシス・ケトアシドーシスの報告がある(因果関係は不明)
- 過度な食事制限や糖質制限と薬の使用が重なることが、原因と考えられている
- 甘酸っぱい口臭、吐き気・嘔吐・腹痛、食事や水分がとれない、強いだるさは兆候。薬と食事制限をやめて受診を考える
- 意識がぼんやりする、呼吸が速く深いなどは重い状態のサイン。救急要請も含めてすぐに受診を考える
通知の内容
対象は、ウゴービなどのGLP-1受容体作動薬と、マンジャロなどのGIP/GLP-1受容体作動薬です。これらは2型糖尿病の治療薬や肥満症の治療薬として承認されています。
厚生労働省は2026年6月にも、薬の適正な使用、広告の適正化、副作用の適切な報告などを求める通知を出していました。今回は、日本肥満学会がケトーシス関連の事象について注意を呼びかける声明を出したことなどを受けて、改めて周知を求めたものです。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2026年6月 | 厚生労働省が、GLP-1受容体作動薬などの適正な使用、広告の適正化、副作用の報告などを自治体や医療機関に求める |
| その後 | 日本肥満学会が、インクレチン関連薬を用いた減量によるケトーシス関連事象について注意を呼びかける声明を出す |
| 2026年10月14日 | 厚生労働省が、適正な使用を改めて周知するよう求める通知を出す |
出典:GemMed「マンジャロ皮下注等のGLP-1受容体作動薬等使用でケトーシス・ケトアシドーシスに至る事例も報告されており、適正使用を!」(2026年10月22日)、薬事日報「GLP1適正使用を再周知‐美容目的のケトーシスで」(2026年10月23日)、厚生労働省「マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください」
ケトーシス・ケトアシドーシスとは
極端な食事制限や炭水化物の不足で、体の中で脂肪の分解が進むと、「ケトン体」が増えます。ケトン体はある程度まではエネルギーとして使われますが、使われる量を超えて増え、血液中に過剰にある状態を「ケトーシス」といいます。
ケトン体がさらに増えて、血液が酸性に傾いた重い状態が「ケトアシドーシス」です。吐き気・嘔吐、腹痛、強いだるさ、意識の障害などが起こり、緊急の治療が必要になります。
日本肥満学会は、ケトーシスの代表的な症状である吐き気や嘔吐が、これらの薬の「よくある副作用」と思い込まれ、対応が遅れるおそれがあると指摘しています。
日本肥満学会が呼びかけていること
- 過度な食事制限や糖質制限をしながら、これらの薬を使うことは絶対に避ける
- 急激な減量や過度な食事制限を実現・維持する手段として、これらの薬を使うべきではない
- 過度なアルコールの摂取や、SGLT2阻害薬との併用も、ケトーシス関連の事象のリスクを高めるため、特に注意する
- 減量そのものが医学的に適切か、食事制限の程度や減量の速さが適切かを考える
薬剤師が伝えたい兆候
報道によると、医師・薬剤師は、次のような点を患者さんに伝える必要があるとされています。
| 症状 | 考えたい対応 |
|---|---|
| いつもと違う甘酸っぱい口臭/むかつき、吐き気、嘔吐、腹痛/食事や水分がとれない/強い全身のだるさ | ケトーシスの兆候の可能性。すぐに薬の使用と食事制限をやめ、医療機関の受診を考える |
| 意識がぼんやりする/強い眠気/呼吸が速く深い/息苦しい | 重いケトアシドーシスに進んでいる可能性があり、命に関わることもある。救急要請も含めて、ただちに受診を考える |
相談を受けたときの伝え方の例
「この薬は、糖尿病や肥満症の治療のために承認された薬です。食事を極端に減らしながら使うと、ケトーシスという状態になることが報告されています。甘酸っぱい口臭や吐き気、食事や水分がとれない、強いだるさがあったら、薬と食事制限をやめて、すぐに受診してください。意識がぼんやりする、息が苦しいときは、救急車を呼ぶことも考えてください。」
- SGLT2阻害薬を併用していないか、お薬手帳で確かめる
- 吐き気などの症状を「よくある副作用」と決めつけず、食事や水分がとれているかを聞く
- 処方した医療機関に、症状があったことを伝えるよう勧める
美容クリニックやオンライン診療に関わる薬剤師へ
報道では、SNSなどで「簡単に痩せられる薬」として紹介されたり、一部の医療機関で美容・痩身の目的で処方されたりしている実態があると指摘されています。不適切な広告はオンライン診療で目立つとして、広告の適正化の取り組みも進められています。
美容クリニックやオンライン診療の分野で働く、または転職を考えている薬剤師は、職場がどのような方針で薬を扱っているかを確かめておくことが大切です。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 処方の方針 | 「GLP-1受容体作動薬などは、どのような方を対象に処方していますか」 |
| 副作用への対応 | 「使用中に体調が悪くなった方からの相談は、どのように対応していますか」 |
| 広告の確認 | 「薬に関する広告や説明文は、誰が確認していますか」 |
| 薬剤師の役割 | 「薬剤師は、説明や副作用の確認にどこまで関わりますか」 |
美容クリニックで働く薬剤師の仕事内容は、美容クリニック・美容皮膚科で働く薬剤師への転職で紹介しています。ほかの薬の安全性情報はタブネオスの新規投与の差し控え、供給の動きはモビコールの限定出荷、業界の動き全体は薬剤師業界ニュース解説まとめにまとめています。
よくある質問
Q. 美容・痩身の目的でマンジャロなどを使うことは、認められているのですか?
これらの薬は、2型糖尿病や肥満症の治療薬として承認されています。承認された効能・効果や用法・用量の範囲を外れた使い方(適応外の使用)では、安全性と有効性は確認されていません。厚生労働省は、適正に使うよう繰り返し求めています。
Q. ケトーシスとケトアシドーシスは、どう違うのですか?
極端な食事制限などで脂肪の分解が進み、血液中のケトン体が過剰になった状態がケトーシスです。さらにケトン体が増えて血液が酸性に傾いた重い状態がケトアシドーシスで、緊急の治療が必要になります。
Q. どんな症状があったら受診すればいいですか?
甘酸っぱい口臭、むかつき・吐き気・嘔吐・腹痛、食事や水分がとれない、強いだるさがあれば、薬の使用と食事制限をやめて、すぐに医療機関の受診を考えてください。意識がぼんやりする、強い眠気、速く深い呼吸、息苦しさがある場合は、救急要請も含めてただちに受診を考えてください。
まとめ
- 厚生労働省は10月14日、GLP-1受容体作動薬などの適正な使用を改めて周知するよう求めた
- 美容・痩身目的の使用で、ケトーシス・ケトアシドーシスの報告がある(因果関係は不明)
- 過度な食事制限・糖質制限と薬の使用を重ねない。アルコールやSGLT2阻害薬の併用にも注意
- 甘酸っぱい口臭、吐き気、食事や水分がとれない、強いだるさは兆候。意識や呼吸の異常はすぐに受診
薬の扱いの方針まで担当者に確かめてもらいながら、クリニックや薬局の求人を比べたい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。


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