2026年9月28日、EAファーマは慢性便秘症の治療薬「モビコール配合内用剤LD/HD」について、限定出荷と出荷の一時停止を行うと、医療関係者向けのサイトで公表しました。10月には、ラクツロースの製剤にも出荷調整が広がっていると報じられています。
この記事では、発表と報道の内容、出荷が止まる理由、薬局で確かめておきたいこと、患者さんへの説明の例をまとめます。
※2026年10月25日時点の報道・公表の内容をもとにしています。供給の状況は変わることがあるため、最新の情報はメーカーの医療関係者向けのお知らせで確かめてください。治療薬の選び方は処方医の判断です。
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この記事の要点
- モビコールLDは2027年6月頃まで限定出荷。HDは2026年11月まで限定出荷のあと、12月から2027年6月頃まで出荷一時停止の予定
- 理由は、海外の製造所が現地の規制当局の査察で、製造・品質管理の基礎的な部分の改善を求められたため
- LDは小児患者に限って使うよう要請。成人の代替薬として、メーカーはグーフィス錠5mgを案内している
- ラクツロース製剤のモニラック・シロップ65%、ラグノスNF経口ゼリー分包12gも限定出荷と報じられている
- 薬局は、在庫の見通し・残薬・次回の受診日をそろえて、早めに処方医と相談する
発表と報道の内容
| 製品(会社) | 一般名 | 出荷の状況 | 時期 |
|---|---|---|---|
| モビコール配合内用剤LD(EAファーマ) | マクロゴール4000・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・塩化カリウム | 限定出荷 | 2027年6月頃まで |
| モビコール配合内用剤HD(EAファーマ) | 同上 | 限定出荷のあと、出荷一時停止 | 2026年11月まで限定出荷、12月から2027年6月頃まで一時停止の予定 |
| モニラック・シロップ65%(丸石製薬) | ラクツロース | 限定出荷 | 2026年10月1日から |
| ラグノスNF経口ゼリー分包12g(三和化学) | ラクツロース | 限定出荷を継続(他社製品の限定出荷などの影響) | 2026年10月9日に公表 |
薬事日報は、モビコールとモニラックの一部の製剤について、12月以降に出荷の一時停止が見込まれると伝えています。
出典:ミクスOnline「EAファーマ 慢性便秘症薬・モビコールを限定出荷 HDは12月から出荷停止 小児限定での使用を要請」(2026年9月29日)、薬事日報「便秘薬の出荷調整広がる‐EAファーマなど、出荷停止予定の製剤も」(2026年10月23日)
なぜ出荷が止まるのか
ミクスOnlineによると、モビコールの海外の製造所が現地の規制当局の査察を受け、逸脱の処置、QP(日本の製造管理者に近い役割の責任者)の適格性、洗浄バリデーションの適格性など、GMP(医薬品の製造管理・品質管理の基準)の基礎的な部分で改善を求められました。製造所では、品質管理の強化と是正の措置を進めているとされています。
LDは海外と国内の2つの製造体制がありますが、HDは海外の製造だけです。国内の製造能力だけでは需要をまかなえないため、LDは限定出荷にとどめ、HDは今の在庫が途切れた段階で出荷を一時停止する判断になりました。
なお、メーカーは、これまでに出荷した製品について、有効性と安全性に影響する問題は確認されていないと説明しています。手元の薬に問題があるという発表ではなく、これから届く量が足りなくなるという話です。
LDは小児を優先。成人の代替薬はグーフィス錠5mgが案内されている
小児の慢性便秘症は、治療の選択肢が限られています。報道によると、「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2025」では、2歳以上の維持療法でモビコールが唯一の「第一推奨」に位置づけられています。
このためメーカーは、小児への供給を最優先と判断し、医療関係者に対して、LDを小児患者に限って使うよう要請しました。対象の年齢は1歳から14歳までと考えているとしています。また、小児の患者さんを診る施設に優先して届けるよう、医薬品の卸に依頼しています。
成人の患者さんについては、代替薬としてグーフィス錠5mg(エロビキシバット)を案内しています。ただし、実際にどの薬にするかは、症状や併用薬をふまえて処方医が判断します。薬局は、判断に必要な情報をそろえて相談する立場です。
薬局で確かめておきたいこと
在庫と入荷の見通し
- 卸の担当者に、今後の納品の見込み(割り当ての量)を確かめる
- モビコールを使っている患者さんの人数と、1か月に使う量を把握する
- 小児と成人を分けて把握する(LDは小児に優先する要請があるため)
- HDは12月から出荷が一時停止の予定。12月以降に処方が続く患者さんを先に洗い出す
処方医への相談
次のような情報をそろえておくと、処方医も判断しやすくなります。
- 次の受診日までの残薬と、在庫で何日分を出せるか
- メーカーが案内している代替薬(成人はグーフィス錠5mg)
- 同じく便秘に使うラクツロースの製剤も限定出荷になっていること
- 患者さんの年齢(小児か成人か)
近くの医療機関とは、処方が出る前に供給の状況を共有しておくと、窓口で患者さんを待たせる場面を減らせます。
患者さんへの説明の例
薬が変わると、不安に感じる患者さんもいます。たとえば次のように説明できます。
「メーカーの製造の事情で、モビコールの入荷が少なくなっています。いまお持ちのお薬に問題があるという発表ではありません。お薬が変わる場合は先生と相談して決めますので、飲み方が変わるところは、その都度ご説明します。」
- 自己判断で量を減らしたり、やめたりしないよう伝える
- お子さんの保護者には、LDは小児に優先して届けられる方針であることを伝える
- 薬が変わったあと、便の状態やおなかの調子が変わったら相談してもらう
ラクツロースの製剤にも広がる「連鎖」に注意
ある薬が限定出荷になると、代わりの薬に注文が集まり、その薬も限定出荷になることがあります。ラグノスNF経口ゼリー分包12gは、他社製品の限定出荷などの影響で限定出荷を続けると報じられました。
モニラック・シロップ65%は、高アンモニア血症や小児の便秘などに使われる薬です。便秘の患者さんだけでなく、肝臓の病気の患者さんの処方にも影響が出るかもしれません。対象の患者さんがいる薬局は、早めに在庫と処方の状況を確かめておきましょう。
供給の状況の確かめ方
- メーカーの医療関係者向けサイトのお知らせ(同じお知らせが改訂されることがあるため、日付と版を確かめる)
- 卸の担当者や、卸の発注システムの在庫情報
- 厚生労働省が公表している医療用医薬品の供給状況
- 業界紙の報道(薬事日報、ミクスOnlineなど)
出荷調整の対応が続く職場で働く薬剤師へ
出荷調整への対応は、在庫の確認、処方医への相談、患者さんへの説明と、窓口の仕事を増やします。本部が情報をまとめて流してくれるか、店舗の間で在庫を融通できるかは、会社によって違います。転職や異動を考えるときは、次の点も確かめておくと安心です。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 出荷調整の情報の共有 | 「限定出荷や欠品の情報は、本部からどのように共有されますか」 |
| 店舗の間の在庫の融通 | 「在庫が足りないとき、ほかの店舗から融通する仕組みはありますか」 |
| 発注と在庫管理の担当 | 「発注や在庫の管理は、薬剤師と事務のどなたが担当していますか」 |
職場の体制は、見学で確かめるのがいちばんです。見学の申し込み方は薬局見学の申し込み方、人員に余裕のある職場の見分け方は残業が少ない薬剤師の職場の見分け方で紹介しています。ほかの業界の動きは薬剤師業界ニュース解説まとめ、市販薬の区分の変更についてはロキソニンSの指定第2類への変更で解説しています。
よくある質問
Q. モビコールは、今後まったく手に入らなくなりますか?
LDは2027年6月頃まで限定出荷(出荷量を絞って出荷する状態)で、小児患者に優先して届ける方針です。HDは2026年11月まで限定出荷のあと、12月から2027年6月頃まで出荷を一時停止する予定と発表されています。最新の状況はメーカーの医療関係者向けの情報で確かめてください。
Q. いま手元にあるモビコールは、使っても大丈夫ですか?
メーカーは、これまでに出荷した製品について、品質試験の結果などを総合的に評価し、有効性と安全性に影響する問題は確認されていないと説明しています。気になる点があれば、処方した医師や薬剤師に相談してください。
Q. 大人の患者さんは、何に切り替えるのですか?
メーカーは、成人の代替薬としてグーフィス錠5mgを案内しています。ただし、どの薬にするかは症状や併用薬をふまえて処方医が判断します。患者さんが自己判断で中止したり量を変えたりしないよう伝えましょう。
まとめ
- モビコールLDは2027年6月頃まで限定出荷、HDは12月から2027年6月頃まで出荷一時停止の予定
- 原因は海外の製造所の査察での指摘。出荷済みの製品に有効性・安全性の問題は確認されていないとメーカーは説明
- LDは小児に優先。成人の代替薬としてグーフィス錠5mgが案内されているが、切り替えは処方医の判断
- ラクツロースの製剤にも限定出荷が広がっている。12月以降に処方が続く患者さんを先に洗い出しておく
出荷調整の情報共有や在庫の融通の仕組みまで、担当者に確かめてもらいながら職場を探したい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。


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