市販の解熱鎮痛薬として広く使われている「ロキソニンS」などのロキソプロフェン。日本経済新聞(2026年10月11日)は、市販薬の第1類に分類されているロキソプロフェンについて、厚生労働省の審議会が、必要な条件を付けたうえで「指定第2類医薬品」とすることが適当との意見を取りまとめたと報じました。
同じ記事では、薬剤師向け情報サイト「日経DI」の調査で、薬剤師の約6割がこの変更に賛成した一方、有害事象が増えることへの懸念も出ていると伝えています。この記事では、リスク区分が変わると何が変わるのか、ドラッグストアや薬局で働く薬剤師に関わることを整理します。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- ロキソプロフェンの一般用医薬品を第1類から指定第2類へ変更する方向で、条件付きで了承された(外用剤とかぜ薬は対象外と報じられている)
- 第1類から第2類になると、販売に関わる専門家が「薬剤師」から「薬剤師又は登録販売者」に、情報提供が「義務」から「努力義務」になる
- 販売時の確認・説明の体制、登録販売者の研修、副作用への対応などが条件とされた
- 告示や施行の時期は、この記事の執筆時点では確認できていない。薬剤師は、確認の仕組みづくりや研修で関わる場面が増えそう
報道と、これまでの経緯
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年7月29日 | 厚生労働省の薬事審議会 医薬品等安全対策部会 安全対策調査会で、ロキソプロフェンのリスク区分の変更を審議(厚生労働省の会議資料)。条件付きで指定第2類への変更が了承されたと報じられた(薬事日報) |
| 2026年8月〜9月 | 指定第2類への変更について意見募集(パブリックコメント)。外用剤と、かぜの諸症状の緩和を目的とする製品は対象外と報じられた(ドラビズ) |
| 2026年10月1日ごろ | 日本薬剤師会が、リスク区分の変更は妥当とは考えられないとする意見を提出したと報じられた(ドラビズ) |
| 2026年10月11日 | 日本経済新聞が、指定第2類への変更と、薬剤師の約6割が賛成という日経DIの調査結果を報道(日本経済新聞、会員限定記事の冒頭部分より) |
告示の日や、実際に店頭の扱いが変わる日は、この記事の執筆時点では確認できていません。今後の厚生労働省の発表を確認してください。
リスク区分が変わると、何が変わるのか
厚生労働省が審議会に示した資料では、一般用医薬品のリスク区分ごとに、対応する専門家と情報提供のルールが次のように整理されています(資料2-3「審議にあたっての論点等について」)。
| 項目 | 第1類医薬品 | 第2類医薬品(指定第2類を含む) |
|---|---|---|
| 対応する専門家 | 薬剤師 | 薬剤師又は登録販売者 |
| 質問がなくても行う情報提供 | 義務(文書による) | 努力義務 |
| 相談があったときの応答 | 義務 | 義務 |
さらに指定第2類医薬品では、情報を提供するための設備から7メートル以内に陳列することや、購入するときに禁忌を確認し、薬剤師や登録販売者に相談することを勧める旨を、購入者がはっきり分かるようにすることが求められています。
同じ資料では、第1類から第2類に移る場合は、関わる専門家と情報提供のルールが変わることを踏まえ、販売に従事する人(特に登録販売者)の研修や販売時の対応、販売業者の陳列・掲示、製造販売業者の注意喚起などをどう考えるかが論点とされています。
変更にあたって求められる条件
報道によると、調査会では、次のような条件を付けたうえで変更を了承しました(薬事日報)。
- 登録販売者による、販売時の確認・説明の体制を整える
- 販売に従事する人への研修を行う
- 重い副作用が起きたときの対応の体制をつくる
- 製造販売業者が、販売店向けの資材を提供し、販売の実態を調べる
賛成と懸念、それぞれの声
| 立場 | 主な考え方 |
|---|---|
| 賛成 | 日経DIの調査では、薬剤師の約6割が賛成と報じられた(日本経済新聞) |
| 懸念 | 同じ報道で、有害事象の増加への懸念も伝えられている |
| 日本薬剤師会 | 年齢、症状、基礎疾患、脱水の有無、併用薬などを総合的に評価する必要があり、消化管障害のほか、急性腎障害やスティーブンス・ジョンソン症候群など重い副作用が起こりうるとして、変更は妥当とは考えられないとの意見を提出したと報じられた |
どちらの立場にも共通するのは、「誰が、どこまで確認して販売するか」が安全性を左右するという点です。
ドラッグストア・薬局で働く薬剤師に関わること
| 場面 | 考えておきたいこと |
|---|---|
| 店頭での販売 | 登録販売者が販売する場面が増える。確認すべき項目と、薬剤師につなぐ基準を店舗で共有する |
| 研修 | 登録販売者への研修や、チェックリストの使い方の説明を、薬剤師が担う場面が考えられる |
| 受診勧奨 | 痛みが続く、発熱が長引く、胃の不調があるなど、市販薬で様子を見るべきでない人を見分ける |
| 併用薬の確認 | 処方薬の解熱鎮痛薬や抗凝固薬などとの重複・相互作用を、お薬手帳で確かめる |
| 妊娠中の人への対応 | 妊娠後期の使用についての注意を、販売時にもれなく伝える |
リスク区分が変わっても、薬剤師がいなくてよくなるわけではありません。確認の仕組みをつくり、迷ったときに相談される存在として、ドラッグストアの薬剤師の役割はむしろ問われることになりそうです。
ドラッグストアへの転職を考えるときに確かめたいこと
OTCの販売体制は、会社や店舗によって違います。ドラッグストアへの転職を考えている人は、次の点を確かめておくと、入ってからの働き方が具体的になります。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 薬剤師の勤務時間帯 | 「薬剤師が店舗にいない時間帯はありますか」 |
| 登録販売者との分担 | 「OTCの相談は、どのように薬剤師に引き継いでいますか」 |
| 研修の役割 | 「薬剤師が登録販売者の研修を担当することはありますか」 |
| 調剤との兼務 | 「調剤とOTCの業務の割合は、どのくらいですか」 |
OTC業務を中心に働く方法はOTC・市販薬専門薬剤師への転職ガイド、調剤薬局とドラッグストアの違いは調剤薬局とドラッグストアの比較、ドラッグストアの勤務時間はドラッグストア薬剤師の遅番・土日勤務で紹介しています。見学で店舗の体制を確かめる方法は薬局見学の申し込み方にまとめています。
よくある質問
Q. ロキソニンSは、もう指定第2類になったのですか?
この記事の執筆時点では、告示や施行の日は確認できていません。審議会で条件付きで了承され、意見募集が行われた段階と報じられています。最新の情報は厚生労働省の発表で確認してください。
Q. 指定第2類になると、薬剤師がいなくても買えるのですか?
第2類医薬品は、薬剤師または登録販売者が対応します。登録販売者がいれば販売できるようになりますが、変更にあたっては、販売時の確認・説明の体制や研修などが条件とされています。
Q. ロキソプロフェンを含むすべての市販薬が対象ですか?
報道によると、外用剤と、かぜの諸症状の緩和を目的とする製品は対象外とされています。
まとめ
- ロキソプロフェンの一般用医薬品を、第1類から指定第2類へ変更する方向で条件付き了承と報じられた
- 第2類になると、対応する専門家は薬剤師又は登録販売者、情報提供は努力義務になる
- 販売時の確認・説明の体制や研修が条件。日本薬剤師会は変更に慎重な意見を出した
- ドラッグストアの薬剤師は、確認の仕組みづくりや研修で関わる場面が増えそう
OTCの体制や薬剤師の役割まで確かめながらドラッグストアの求人を探したい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。


コメント