「転職回数が多いから、書類で落とされるのではないか」。そう考えて、応募をためらっている薬剤師もいるかもしれません。
転職回数は、たしかに採用する側が気にする点の一つです。ただ、見られているのは回数そのものより、なぜ転職してきたのか、今回の職場で長く働けそうかという点です。この記事では、採用する側が確かめていることと、書類・面接での伝え方、次の転職で回数を増やさないための準備をまとめます。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 何回から多いという決まった基準はない。年齢、在籍期間、理由によって受け止め方が変わる
- 職歴は省略せずにすべて書く。そのうえで職務経歴書の形式で見せ方を工夫する
- 面接では「理由」「各職場で身につけたこと」「今回は長く働ける根拠」をセットで話す
何回から「多い」と思われる?
転職回数について、何回を超えると不利になるという決まった基準はありません。同じ回数でも、次のような点で受け止め方が変わります。
| 受け止め方を左右する点 | 気にされやすい状況 |
|---|---|
| 年齢と経験年数 | 経験年数に対して、職場の数が多い |
| 在籍期間 | 短い在籍期間が続いている |
| 転職の理由 | 毎回同じような理由で辞めている |
| 経験の流れ | 職場の種類や業務がばらばらで、つながりが見えない |
反対に、在籍期間の短い職場があっても、理由がはっきりしていて経験に一貫した流れがあれば、回数よりも中身を見てもらいやすくなります。
採用する側が確かめている3つのこと
1. 転職の理由に筋が通っているか
まず知りたいのは、なぜ職場を変えてきたのかです。家族の転居、会社の再編、専門性を広げるためなど、理由を説明できれば回数の印象は変わります。反対に、理由がいつも「人間関係」だけだと、次の職場でも同じことが起きるのではと心配されやすくなります。
2. それぞれの職場で何を身につけたか
職場が変わるたびに扱う診療科や業務の幅が広がっているなら、それは経験の幅として伝えられます。在宅訪問、OTC医薬品の相談、管理薬剤師、新人の指導など、職場ごとに身につけたことを整理しておきましょう。
3. 今回の職場で長く働けそうか
採用には時間も費用もかかるため、採用する側は入職後すぐに辞めないかを気にします。応募先について何を確かめ、なぜここなら続けられると考えたのかを説明できると、その不安を和らげられます。
書類での伝え方
履歴書:職歴は省略せずにすべて書く
回数を少なく見せたくても、職歴を省いたり、在籍期間を変えたりするのはやめましょう。事実と違う経歴は、入職後に分かった場合に大きな問題になりかねません。在籍期間の短い職場も含めて、すべて正確に書きます。
- 閉店や事業所の閉鎖など会社の事情で辞めた場合は「会社都合により退職」と書く
- 契約期間が終わって辞めた場合は「契約期間満了により退職」と書く
- 派遣やパートは「(派遣)」「(パート)」と雇用形態を添えると、在籍期間が短い理由が伝わりやすい
職務経歴書:キャリア式で「何ができるか」を前に出す
転職回数が多い人に向いているのが、業務の分野ごとに経験をまとめる「キャリア式」です。勤務先を時系列に並べる形式だと職場の数が目立ちますが、キャリア式なら「調剤」「在宅」「管理業務」のように、身につけた経験が先に伝わります。
冒頭の職務要約では、経歴全体を一本の流れとしてまとめます。
職務要約の例
調剤薬局3社で、内科・小児科・整形外科を中心とする外来処方の調剤と服薬指導に従事してきました。2社目からは在宅訪問を担当し、現職では管理薬剤師として在庫管理と新人の指導も担っています。勤務先が変わるなかでも、在宅医療への関わりを軸に経験を積んできました。
職務経歴書の形式や書き方は、薬剤師転職の履歴書・職務経歴書の書き方で詳しく解説しています。
面接での伝え方
転職回数が多い場合、面接で理由を聞かれる前提で準備しておきましょう。話す順番は次のとおりです。
- 事実を簡潔に伝える(いつ、どんな理由で辞めたか)
- その職場で身につけたことを添える
- 今回の応募先を選んだ理由と、長く働けると考える根拠を伝える
回答例(調剤薬局を3回転職している場合)
1社目は新卒で入社し、調剤の基本を身につけました。2社目は家族の転居に伴って転職し、在宅訪問を担当しました。現職では管理薬剤師を務めていますが、会社の方針で在宅業務が縮小されることになり、在宅に継続して関わりたいと考えて転職を決めました。貴薬局は在宅を中心とした運営を続けていると伺い、見学で訪問の体制も確認できたため、長く腰を据えて働きたいと考えています。
前の職場への不満が理由だった場合も、嘘をつく必要はありません。ただし不満を並べるのではなく、「次の職場で何を実現したいか」の形で伝えます。言い換え方は、薬剤師転職の志望動機の書き方の「転職理由別:本音の伝え方」で紹介しています。
次の転職で「回数」を増やさないために
転職回数が気になる人ほど、次の職場選びは慎重に進めたいところです。入職してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に次の点を確かめておきましょう。
- 今回の転職で、何を一番変えたいのか(譲れない条件を1〜2つに絞る)
- その条件が応募先で本当に満たされるか(求人情報だけでなく、見学や面接で確かめる)
- 人員体制、処方箋の枚数、残業の実態など、求人情報に書かれにくいこと
- 前の職場を辞めた理由が、応募先でも起こりそうか
見学や面接で聞く質問は薬剤師の転職面接で使える逆質問30選、見学のあとに候補を比べるときは見学後の比較メモが使えます。求人情報に出ない職場の様子は、転職エージェントを通じて確かめられる場合もあります。エージェント選びで迷う場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較を参考にしてください。
よくある質問
Q. 在籍期間が短かった職場は、書かなくてもいいですか?
書きます。在籍期間が短くても職歴として記載し、辞めた理由を面接で簡潔に説明できるようにしておきましょう。
Q. 派遣やパートで働いた期間も、職歴に書くべきですか?
書きます。「(派遣)」「(パート)」と雇用形態を添えておくと、正社員の転職とは事情が違うことが伝わり、回数だけで受け止められにくくなります。
Q. 転職回数が多いことは、面接で自分から話した方がいいですか?
聞かれる前に長く説明する必要はありません。聞かれたときに1分ほどで答えられるよう、事実、身につけたこと、今回の理由の順にまとめておきましょう。
まとめ
- 転職回数に決まった基準はなく、理由と経験の流れで受け止め方が変わる
- 職歴は省略せずに書き、職務経歴書はキャリア式で経験を前に出す
- 面接では「事実」「身につけたこと」「今回長く働ける根拠」をセットで話す
- 次の転職では譲れない条件を絞り、応募前に確かめる



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