薬剤師の転職では、ほとんどの応募先で履歴書と職務経歴書の提出を求められます。ただ、薬剤師の業務は「調剤・服薬指導・薬歴作成」とどこでも同じ言葉になりやすく、書き方を工夫しないと、ほかの応募者と見分けのつかない書類になってしまいます。
この記事では、薬剤師ならではの注意点である免許欄の日付、職歴の書き方、業務を数字で示す方法を中心に、応募書類の書き方を項目ごとに整理します。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 薬剤師免許は「薬剤師免許 取得」と書き、年月は国家試験の合格日ではなく薬剤師名簿の登録年月日にする
- 職歴は会社名だけでなく、配属された店舗や部署まで書く
- 職務経歴書は「1日の処方箋枚数」「主な応需科目」のように、業務を数字と固有名で示す
- 志望動機には「その職場でなければならない理由」を1つ入れる
薬剤師の応募書類は2種類。それぞれ役割が違う
履歴書と職務経歴書は、どちらも経歴を書く書類ですが、見られている点が違います。
| 書類 | 役割 | 主に見られる点 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 基本情報を決まった形式で伝える | 経歴の空白や矛盾がないか、資格の有無、勤務条件の前提 |
| 職務経歴書 | これまでの業務の中身を伝える | どんな環境で何をしてきたか、応募先の業務に近い経験があるか |
履歴書は「正確に書けているか」、職務経歴書は「中身が伝わるか」が評価の分かれ目です。
履歴書の書き方【項目別】
市販の履歴書やテンプレートを使って問題ありません。厚生労働省も、公正な採用選考の観点から履歴書の様式例を作成し、各地の労働局で公開しています(出典:青森労働局「厚生労働省が新たに作成した『履歴書様式例』を掲載しました」)。応募先から様式の指定がなければ、書きやすいものを選びましょう。
日付・写真
- 日付は、郵送なら投函日、持参なら持参日、メールなら送信日にする
- 写真は3か月以内に撮影したものを使う。服装は面接と同じ考え方でよく、白衣である必要はない
- 西暦と和暦は、書類全体でどちらかに統一する
学歴
学歴は高校卒業から書くのが一般的です。薬学部は学部名と学科名まで正確に書きます。
| 年 | 月 | 学歴・職歴(記入例) |
|---|---|---|
| 20XX | 3 | 〇〇県立〇〇高等学校 卒業 |
| 20XX | 4 | 〇〇大学 薬学部 薬学科 入学 |
| 20XX | 3 | 〇〇大学 薬学部 薬学科 卒業 |
大学院を修了している場合は、研究科名・専攻名まで書きます。
職歴
- 会社名は「株式会社」などを省略せず、正式名称で書く
- 薬局チェーンや病院グループの場合は、配属された店舗名・病院名・部署まで書く(「〇〇薬局 △△店 配属」など)
- 社内異動があれば行を分けて書く。異動の経験は、そのまま経験の幅として伝わる
- 退職理由は、自己都合なら「一身上の都合により退職」、倒産や事業所の閉鎖なら「会社都合により退職」と書く
- 在職中なら最後の職歴の次の行に「現在に至る」と書き、最終行の右端に「以上」と書く
| 年 | 月 | 学歴・職歴(記入例) |
|---|---|---|
| 20XX | 4 | 株式会社〇〇 入社(〇〇薬局 △△店 配属) |
| 20XX | 4 | 同社 〇〇薬局 □□店へ異動(管理薬剤師) |
| 現在に至る | ||
| 以上 |
パートや派遣の経験も、応募先の業務に関係するなら書いておきましょう。「(パート)」「(派遣)」と雇用形態を添えると誤解がありません。
免許・資格(薬剤師が間違えやすい項目)
薬剤師免許は「薬剤師免許 取得」と書きます。注意したいのは年月で、国家試験の合格日ではなく、薬剤師名簿に登録された年月(登録年月日)を書きます。登録年月日は、手元の薬剤師免許証で確認できます。
登録番号は必須ではありません。書く場合は「薬剤師免許 取得(第〇〇〇〇〇〇号)」のように、免許証の番号を転記します。
- 資格は取得した順に、正式名称で書く。認定薬剤師などは、認定元が使っている名称のとおりに書く
- 自動車の運転免許は「普通自動車第一種運転免許 取得」と書く。在宅訪問や店舗間の移動がある職場では確認されることが多い
- 業務に関係する資格を優先して書く。関係の薄い資格を並べるより、応募先で活かせるものに絞った方が読みやすい
志望動機
履歴書の志望動機欄は面積が限られるので、要点を3つに絞ります。
- なぜ転職するのか(前向きな言葉で)
- なぜこの職場なのか(その職場ならではの理由を1つ)
- 入職後に何で貢献できるか
2つ目の「その職場ならではの理由」が抜けると、どこにでも出せる文章になります。求人情報に書かれていた体制、応募先の地域、見学で見たことなど、固有の事実を1つ入れるだけで印象が変わります。
例文(調剤薬局から、在宅に力を入れている薬局へ応募する場合)
現職では内科・整形外科の処方を中心とする調剤薬局で、調剤と服薬指導を担当してきました。患者さんの服薬状況をご自宅で確認する必要性を感じる場面が増え、在宅医療に継続して関わりたいと考えるようになりました。貴薬局が在宅訪問に力を入れていることを求人情報で拝見し、これまでの服薬指導の経験を在宅の場でも活かせると考え、志望いたしました。
職場別の例文や避けたい書き方は、薬剤師転職の志望動機の書き方で詳しくまとめています。
本人希望記入欄
特に条件がなければ「貴社の規定に従います。」と書けば十分です。一方で、譲れない条件があるのにここに書かずにおくと、面接まで進んでから条件が合わないと分かることになります。
- 勤務時間や曜日(例:子どもの送迎のため、平日は18時までの勤務を希望します)
- 勤務地の範囲(例:〇〇市内の店舗を希望します)
- 雇用形態や扶養の範囲(パートを希望する場合)
- 入職できる時期(在職中の場合)
条件は本当に必要なものだけに絞り、理由を短く添えると、わがままではなく事情として伝わります。
職務経歴書の書き方
職務経歴書には決まった様式がありません。だからこそ、書き方で差がつきます。
形式は3種類。迷ったら逆編年体
| 形式 | 書き方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 編年体 | 古い経歴から順に書く | 経験年数が短い人、経歴の流れを見せたい人 |
| 逆編年体 | 新しい経歴から順に書く | 直近の経験をいちばんに伝えたい人 |
| キャリア式 | 業務の分野ごとにまとめて書く | 複数の職場で似た業務をしてきた人、転職回数が多い人 |
書く項目
- 職務要約(3〜4行で経歴全体をまとめる)
- 職務経歴(期間・勤務先・配属・業務内容)
- 活かせる知識やスキル
- 資格
- 自己PR
業務は「数字」と「固有名」で書く
職務経歴書でいちばん差が出るのがここです。「調剤・服薬指導・在宅業務に従事」とだけ書くと、どの薬局で働いた人も同じ文章になります。次のような情報を加えると、どんな環境で働いてきたのかが具体的に伝わります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 1日の処方箋枚数 | 1日平均約〇〇枚 |
| 店舗の体制 | 薬剤師〇名・事務〇名の体制 |
| 主な応需科目 | 内科・小児科・整形外科が中心 |
| 在宅業務 | 個人宅〇件・施設〇件を担当 |
| かかりつけ・指導 | かかりつけ薬剤師として〇名を担当、新人〇名の指導 |
| 管理業務 | 管理薬剤師として在庫・シフト・行政対応を担当 |
数字は正確に覚えていなくても、おおよその値で構いません。ただし、面接で聞かれたときに説明できる範囲で書きましょう。
応募先別に伝えたい経験
| 応募先 | 伝わりやすい経験 |
|---|---|
| 調剤薬局 | 応需科目と処方箋枚数、在宅やかかりつけの経験、疑義照会の対応 |
| 病院 | 病棟業務、注射薬の調製、感染対策チームや栄養サポートチームなどチーム医療への参加 |
| ドラッグストア | OTC医薬品の相談対応、調剤併設店での経験、売場や在庫の管理 |
| 企業(DI・CRCなど) | 文献の調査や資料の作成、問い合わせへの対応、パソコンを使った業務 |
記入例(調剤薬局の場合)
【職務要約】
株式会社〇〇に入社後、調剤薬局2店舗で調剤・服薬指導・在宅業務に従事してきました。現在の店舗では管理薬剤師として、在庫管理やシフト作成も担当しています。
【職務経歴】
20XX年4月〜20XX年3月 〇〇薬局 △△店(薬剤師)
・応需科目は内科・小児科が中心、1日平均約〇〇枚
・調剤、監査、服薬指導、薬歴作成
・個人宅の在宅訪問(〇件)を担当
20XX年4月〜現在 〇〇薬局 □□店(管理薬剤師)
・薬剤師〇名・事務〇名の店舗で管理薬剤師を担当
・在庫管理、シフト作成、新人薬剤師の指導
〇の部分を、ご自身の数字に置き換えて使ってください。
提出前のチェックリスト
- 西暦と和暦が、書類全体で統一されている
- 薬剤師免許の年月が、合格日ではなく登録年月日になっている
- 会社名・店舗名が正式名称になっている
- 職歴の空白期間について、面接で理由を説明できる
- 職務経歴書に数字が入っている
- 志望動機に、応募先ならではの理由が1つ入っている
- 本人希望記入欄には、譲れない条件だけが書かれている
- 誤字・脱字がない(医薬品名と数字は特に注意)
- PDFで送る場合、ファイル名に氏名と書類名が入っている
医薬品名や数字の誤りは、正確さが求められる職種だけに目立ちます。提出前に一度、声に出して読み直すと見落としが減ります。
書類の添削は、転職エージェントにも相談できる
薬剤師向けの転職エージェントの多くは、求人の紹介とあわせて応募書類の添削にも対応しています。自分では気づきにくい書き漏れや、応募先に合わせた伝え方について意見をもらえるのが利点です。対応の範囲はサービスによって異なるので、登録時に確認してください。
①ファルマスタッフ|書類添削・面接対策まで一貫サポート
履歴書・職務経歴書の添削や、応募先に合わせた志望動機の相談に対応しています。
②レバウェル薬剤師|書類の相談もできる
求人の紹介とあわせて、応募書類についても担当者に相談できます。サービスの詳しい内容は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 手書きとパソコン、どちらで作るべきですか?
指定がなければパソコンで作って問題ありません。手書きを指定された場合は、黒のボールペンで丁寧に書きます。
Q. 転職回数が多い場合は、どう書けばよいですか?
すべて正直に書きます。職務経歴書をキャリア式にして業務の分野ごとにまとめると、回数より経験の中身に目が向きやすくなります。
Q. ブランク(離職期間)がある場合は?
履歴書には空白期間をそのまま書き、出産・育児、介護、療養などの理由は面接で簡潔に説明できるようにしておきます。ブランク中に受けた研修などがあれば、職務経歴書に書きましょう。
Q. 在職中です。退職予定日は書くべきですか?
退職日が決まっていれば「20XX年〇月 退職予定」と書けます。決まっていなければ「現在に至る」とし、入職できる時期は本人希望記入欄に書きます。
Q. 薬剤師免許証が手元に見当たりません
登録年月日は免許証で確認するのが確実です。勤務先に提出した写しが残っていないか確認しましょう。紛失している場合は、住所地の保健所を通じて再交付を申請できます。
まとめ
薬剤師の応募書類は、誰が書いても同じになりやすいぶん、少しの工夫で差がつきます。
- 薬剤師免許の年月は、合格日ではなく登録年月日
- 職歴は、配属された店舗や部署まで書く
- 職務経歴書は、数字と固有名で業務を示す
- 志望動機には、応募先ならではの理由を1つ入れる
書類が通ったら、次は面接です。面接の最後に聞く質問は薬剤師の転職面接で使える逆質問30選、見学のあとに応募先を比べるときは見学後の比較メモが役立ちます。書類の添削を頼むエージェント選びで迷う場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。


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