退職の意思を上司に伝えたら、次に必要になるのが退職届や退職願です。普段書く機会のない書類なので、「どちらを出せばいいのか」「何をどう書くのか」で迷う人も多いはずです。
この記事では、退職届と退職願の違い、提出の流れとタイミング、そのまま使える例文、管理薬剤師の場合の注意点をまとめます。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 退職願は会社に退職を「お願いする」書類、退職届は退職を「届け出る」書類。退職日が決まったあとに出すのは退職届
- いきなり書類を出すのではなく、まず直属の上司に口頭で伝え、退職日を相談してから提出する
- 会社に決まった書式があれば、それを使う
- 管理薬剤師は後任の手配が必要になるため、ほかの人より早めに伝える
退職届・退職願・辞表の違い
| 書類 | 意味 | 提出後の撤回 |
|---|---|---|
| 退職願 | 会社に退職を願い出る書類。会社が承諾して初めて退職が決まる | 会社が承諾する前なら、撤回を相談できる余地がある |
| 退職届 | 退職することを会社に届け出る書類 | 提出後は、原則として撤回できない |
| 辞表 | 役員などが職を辞するときに使う書類 | 一般の社員は使わない |
一般的には、上司と話して退職日が決まったあとに、手続きとして退職届を出す流れが多くなっています。会社から「退職願を出してください」と言われた場合は、その指示に従いましょう。
提出までの流れ
- 就業規則で、退職を申し出る時期の定めと、退職届の書式の有無を確認する
- 直属の上司に、口頭で退職の意思を伝える
- 退職日や引き継ぎの進め方を相談して決める
- 決まった退職日を書いて、退職届を提出する
書類を先に出すより、まず口頭で伝える方が話はスムーズに進みます。伝え方や引き止められたときの対応は薬剤師が退職を伝える方法、退職理由の伝え方は薬剤師の転職での退職理由の伝え方で詳しく紹介しています。
いつまでに出せばいい?
法律上は、期間の定めのない雇用であれば、退職の申し入れから2週間で雇用が終了するとされています(民法第627条)。ただし、多くの職場では就業規則で「退職日の〇か月前までに申し出る」といった定めを置いています。シフトの組み直しや後任の手配、引き継ぎを考えると、就業規則に合わせて早めに伝えるのが現実的です。
退職届の書き方
会社に決まった書式がなければ、白い便箋に手書きするか、パソコンで作成します。縦書き・横書きのどちらでも構いません。
書く項目
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 表題 | 1行目の中央に「退職届」 |
| 書き出し | 2行目の下の方に「私儀」または「私事」 |
| 本文 | 「このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。」 |
| 提出日 | 実際に提出する日付 |
| 所属と氏名 | 所属する店舗名・部署名と氏名。押印は会社の求めに応じて |
| 宛名 | 会社の代表者の役職と氏名(例:株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 様) |
自己都合で辞める場合、理由は「一身上の都合」とだけ書けば十分です。具体的な理由を書く必要はありません。
退職届の例文
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
令和〇年〇月〇日
〇〇薬局 △△店 薬剤師 〇〇 〇〇
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 様
退職願の場合は、表題を「退職願」にし、本文の結びを「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」とします。
封筒と渡し方
- 白い無地の封筒を使い、表の中央に「退職届」、裏の左下に所属と氏名を書く
- 便箋は三つ折りにして封筒に入れる
- 手渡しする場合は、直属の上司に直接渡す。会社の指示があれば、その方法に従う
管理薬剤師の場合の注意点
管理薬剤師が退職する場合、薬局は後任の管理者を決める必要があります。また、薬局の管理者を変更したときは、薬局開設者が都道府県などに変更を届け出ることになっています(医薬品医療機器等法第10条。手続きの例:群馬県「医薬品医療機器等法第10条 各種変更の届出」)。
届出は会社側の手続きですが、後任が決まらないと退職日の調整が難しくなります。管理薬剤師の場合は、ほかの人より早めに上司へ相談し、退職日と引き継ぎの期間に余裕を持たせましょう。
引き継ぎで整理しておくこと
- 在宅訪問を担当している患者さんの情報と、訪問の予定
- 継続して説明が必要な患者さんの申し送り
- 発注や在庫管理の手順、取引先の連絡先
- 担当していた業務の手順(自分しか知らない作業がないか)
引き継ぎの内容を紙やデータにまとめておくと、後任の人が困らず、退職日までのやり取りも少なくて済みます。
残っている有給休暇は、退職日と一緒に相談する
年次有給休暇は、労働者が取りたい時季を指定して取得できるものです(労働基準法第39条)。ただし、退職日を過ぎると使えなくなります。残っている日数を確認し、引き継ぎの期間と合わせて、最終出勤日と退職日を上司と相談しておきましょう。
「最終出勤日のあとに有給休暇を使い、その最終日を退職日にする」という形にすることもできます。退職届に書く日付は、最終出勤日ではなく退職日です。
退職するときに返すもの・受け取るもの
| 区分 | 主なもの | ポイント |
|---|---|---|
| 返すもの | 健康保険証、社員証、名札、鍵、制服や白衣、会社から借りている書籍など | 最終出勤日に返せるよう、事前にまとめておく |
| 受け取るもの | 源泉徴収票 | 退職日以後1か月以内に交付されることになっている。次の職場での年末調整に使う |
| 受け取るもの | 離職票 | 雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受けるときに必要。次の職場が決まっていない場合は発行を依頼しておく |
| 受け取るもの | 雇用保険被保険者証、年金手帳など | 会社が預かっている場合は返してもらう |
源泉徴収票の交付は、所得税法第226条に定められています(e-Gov法令検索「所得税法」)。
次の職場まで間が空く場合は、健康保険の切り替えも
退職すると、勤め先の健康保険の資格は退職日の翌日に失われます。次の職場にすぐ入らない場合は、任意継続(それまでの健康保険を個人で続ける制度)か、国民健康保険への切り替えが必要です。任意継続は申出の期限が短く、協会けんぽの場合は退職日の翌日から20日以内とされています(協会けんぽ「任意継続」)。加入している健康保険によって手続きが異なるので、退職前に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 退職届を受け取ってもらえない場合は、どうすればいいですか?
まずは上司の上の役職者や人事に相談します。それでも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で会社に送る方法もあります。
Q. 退職届は、メールで送ってもいいですか?
会社の指示があれば、それに従います。特に指示がなければ、書面を手渡しするのが一般的です。
Q. 退職届を出したあとで、退職日を変えられますか?
会社との相談次第です。退職届は原則として撤回できないものなので、日付は上司と合意してから書くようにしましょう。
まとめ
- 退職日が決まったあとに出すのは退職届。会社に書式があればそれを使う
- まず上司に口頭で伝え、退職日を相談してから提出する
- 自己都合なら理由は「一身上の都合」でよい
- 管理薬剤師は後任の手配が必要なので、早めに相談する
- 有給休暇の残り日数と、退職後に受け取る書類・健康保険の手続きも確認しておく
次の職場がまだ決まっていない場合は、退職を伝える前に転職先を決めておくと安心です。条件の整理には見学後の比較メモ、エージェント選びにはファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較が参考になります。



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