2026年10月19日の社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)で、厚生労働省は2027年度の介護報酬改定に向けて、薬剤師の居宅療養管理指導の見直し案を示しました。柱は2つです。算定する日の間隔を「6日以上」とする要件の見直しと、病院・診療所の薬剤師の算定回数の上限(月2回)の見直しです。
どちらも、2026年度の診療報酬改定で医療保険の訪問薬剤管理指導が先に変わったことに、介護保険をそろえる狙いがあります。この記事では、資料に書かれている内容を整理し、在宅に関わる薬剤師の働き方や職場選びへの影響を考えます。
※2026年11月3日時点の分科会資料の内容をもとにしています。示されたのは「対応案」で、改定内容として決まったものではありません。改定後の単位数も示されていません。
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この記事の要点
- 第271回介護給付費分科会(2026年10月19日)の資料5「居宅療養管理指導(改定の方向性)」で、薬剤師に関わる論点は2つ
- 論点②:居宅療養管理指導の「算定する日の間隔は6日以上」の要件を見直す案。祝日や利用者の都合で訪問日をずらすと算定できない問題がある
- あわせて、月の途中に麻薬調剤や無菌製剤処理のため薬局を変える場合の扱いを整理する案
- 論点①:病院・診療所の薬剤師の居宅療養管理指導(月2回が限度)を、診療報酬の扱いも踏まえて評価する案
- 医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料は、2026年度改定ですでに「週1回を限度」に変わっている
見直し案①:「算定する日の間隔は6日以上」の要件
介護保険の居宅療養管理指導では、薬局の薬剤師が月2回以上算定する場合、算定する日の間隔を6日以上あけることになっています(がん末期の患者さん、中心静脈栄養や注射による麻薬の投与を受けている人は、週2回かつ月8回まで)。
資料は、この要件のために、毎週決まった曜日に訪問していても、祝日や利用者の都合で訪問日を中6日以内に動かすと算定できないケースがあると指摘しています。
| 医療保険(在宅患者訪問薬剤管理指導料) | 介護保険(居宅療養管理指導) | |
|---|---|---|
| 2026年度改定の前 | 算定する日の間隔は6日以上 | 算定する日の間隔は6日以上 |
| 現在 | 週1回を限度(間隔の要件はなくなった) | 算定する日の間隔は6日以上(変わっていない) |
| 今回の対応案 | ― | 「6日以上」の要件を、医療保険との整合性の観点から見直す |
資料には、2026年度の診療報酬改定で、医療保険の訪問薬剤管理指導に夜間・休日の連絡体制の整備(連絡先や緊急時の注意事項を文書で渡す、電話に出られなかったときは速やかに折り返す)が要件に加わったことも載っています。介護保険の見直しでこの点まで同じになるかは、資料からは分かりません。
出典:第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料5「居宅療養管理指導(改定の方向性)」 p.9、p.11〜12
月の途中で薬局を変える場合の扱いも整理
いまの規定では、ほかの医療機関や薬局の薬剤師が居宅療養管理指導をしている利用者について、別の薬局は原則として算定できません(引っ越しなどでサービスを受けられなくなった場合は例外)。
資料は、病状が変わって麻薬の持続注射や無菌製剤処理が必要になり、月の途中で対応できる薬局に変わる場合の扱いがはっきりしていない、という指摘を紹介し、「必要な整理を行ってはどうか」としています。資料の事例では、痛みを和らげるための麻薬の持続注射を始めたことで無菌製剤処理が必要になり、月の途中に薬局が変わっています。
同じ資料にある調査(令和7年度老人保健健康増進等事業)では、高度な薬学管理が必要などの理由で、他の薬局から利用者を引き受けたことが「有」と答えた薬局は4.7%でした(n=427)。
見直し案②:病院・診療所の薬剤師の算定回数(月2回)
医療機関に勤める薬剤師が行う居宅療養管理指導は、介護保険では月2回が限度です。一方、診療報酬の在宅患者訪問薬剤管理指導料は、平成26年度の改定で月2回から月4回に広がり、末期の悪性腫瘍の患者さんと中心静脈栄養の患者さんは月8回まで算定できるようになっています。
資料は、医療機関の薬剤師の居宅療養管理指導が近年減っていることにふれ、入院から在宅への移行や地域の多職種との連携を進める観点から、「診療報酬における取扱いも踏まえた評価を行ってはどうか」としています。病院の薬剤師が地域の薬局と連携して、訪問薬剤管理指導の導入を支える事例(三豊総合病院)も紹介されています。
出典:同資料 p.6〜7
参考:いまの居宅療養管理指導(薬剤師)の単位数
資料に再掲されている、現行の単位数です(2024年6月以降)。改定後の単位数はまだ示されていません。
| 単一建物居住者 1人 | 2〜9人 | 10人以上 | |
|---|---|---|---|
| 病院・診療所の薬剤師(月2回まで) | 566単位 | 417単位 | 380単位 |
| 薬局の薬剤師(月4回まで) | 518単位 | 379単位 | 342単位 |
このほか、オンライン服薬指導(46単位、月4回まで)、医療用麻薬持続注射療法加算(250単位)、在宅中心静脈栄養法加算(150単位)があります。同じ建物に住む人数による区分(論点⑤)は、高齢者住まいへのサービス提供のあり方として、別の回で説明と議論を行う予定とされています。
出典:同資料 p.22、p.25
在宅に関わる薬剤師への影響
「中6日」の要件が見直されれば、祝日のある週や利用者の都合で訪問日を動かしても算定できるようになり、決まった曜日に回る訪問の予定が組みやすくなります。一方で、医療保険と同じように夜間・休日の連絡体制が求められるようになれば、薬局側の体制づくりが必要になります。どちらも決まった話ではないので、今後の分科会の議論を見ておきましょう。
在宅に力を入れる薬局で働きたい人、いま在宅の負担が大きいと感じている人は、職場を選ぶときに次のような点を確かめておくと、入ってからのずれが小さくなります。忙しさの見方は処方箋枚数と薬剤師数、残業の決まりは36協定の記事でも整理しています。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 在宅の件数と分担 | 「在宅の利用者さんは何人くらいで、訪問は何人の薬剤師で分担していますか」 |
| 訪問の予定の組み方 | 「訪問は曜日を決めて回っていますか。祝日の週はどう調整していますか」 |
| 夜間・休日の対応 | 「夜間や休日の電話は、誰がどのように受けていますか。手当はありますか」 |
| 高度な薬学管理 | 「麻薬の持続注射や無菌製剤処理が必要な方にも対応していますか。クリーンベンチはありますか」 |
| 多職種との連携 | 「ケアマネジャーや訪問看護、病院の薬剤師とは、どのように連絡を取っていますか」 |
医療・介護の人手不足が薬剤師の職場に与える影響は医療・介護の人手不足の記事、見学の申し込み方は薬局見学の申し込み方、業界の動きは薬剤師業界ニュース解説まとめで紹介しています。
よくある質問
Q. 居宅療養管理指導の「中6日」の要件は、もうなくなりましたか?
まだなくなっていません。2026年10月19日の介護給付費分科会で、厚生労働省が「見直しを行ってはどうか」という対応案を示した段階です。どう変わるか、いつからかは、今後の議論と告示・通知で決まります。
Q. 医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料はどうなっていますか?
2026年度の診療報酬改定で、「算定する日の間隔は6日以上」の要件がなくなり、週1回を限度とする形に変わりました。分科会の資料は、介護保険の居宅療養管理指導がこれとそろっていない点を見直しの理由に挙げています。
Q. 単位数は変わりますか?
第271回の資料では、改定後の単位数は示されていません。
Q. 病院の薬剤師の居宅療養管理指導は、月何回まで算定できますか?
現行は月2回が限度です。資料は、診療報酬の在宅患者訪問薬剤管理指導料(月4回、末期の悪性腫瘍・中心静脈栄養の患者は月8回)の扱いを踏まえて評価してはどうか、という対応案を示しています。
まとめ
- 第271回介護給付費分科会(2026年10月19日)で、薬剤師の居宅療養管理指導の見直し案が示された
- 「算定する日の間隔は6日以上」の要件を、医療保険(週1回を限度)との整合性の観点から見直す案
- 月の途中に麻薬調剤・無菌製剤処理のため薬局を変える場合の扱いを整理する案
- 病院・診療所の薬剤師の月2回の上限を、診療報酬の扱いも踏まえて評価する案
- いずれも対応案の段階で、改定後の単位数は未提示。決まった内容は今後の告示・通知で確かめる
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