管理薬剤師として働いていると、「自分が辞めたら薬局が回らないのでは」と考えて、退職を言い出しにくくなることがあります。実際、管理薬剤師の退職は、ほかの薬剤師の退職よりも準備が必要です。
この記事では、管理薬剤師が退職するときに気をつけたいことを、伝える時期、後任と届出、引き継ぎ、次の職場との日程の合わせ方の順にまとめます。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 薬局には管理者(管理薬剤師)が必要なため、退職には後任の手配が欠かせない。ほかの人より早めに伝える
- 管理者が変わったときの届出は、薬局開設者(会社)が行う手続き
- 帳簿や手順書など、管理薬剤師しか把握していない業務を書き出して引き継ぐ
- 前の薬局の管理者のまま、次の職場で働き始めることがないよう日程を合わせる
管理薬剤師の退職に準備が必要な理由
薬局には、薬局を実地に管理する管理者を置く必要があります(医薬品医療機器等法第7条)。管理薬剤師が辞める場合、会社は後任の管理者を決めなければなりません。社内で異動させるにしても、新しく採用するにしても、時間がかかります。
また、管理者が変わったときは、薬局開設者が都道府県などに変更を届け出ることになっています(同法第10条)。届出は会社が行う手続きですが、後任が決まらないと進められません。
| 手続き | 行う人 | ポイント |
|---|---|---|
| 後任の管理者を決める | 会社 | 社内の異動か、新たな採用か。時間がかかることが多い |
| 管理者の変更の届出 | 薬局開設者(会社) | 管理者を変更したあと30日以内に届け出る |
| 引き継ぎ | 退職する管理薬剤師と後任 | 管理業務の内容を書き出して渡す |
届出の手続きは、都道府県などのページで案内されています(例:群馬県「医薬品医療機器等法第10条 各種変更の届出」)。
いつ伝えるか
法律上は、期間の定めのない雇用であれば、退職の申し入れから2週間で雇用が終了するとされています(民法第627条)。ただ、管理薬剤師の場合は後任の手配が必要になるため、就業規則に定められた期限よりも余裕を持って伝えるのが現実的です。
- まず就業規則で、退職を申し出る時期の定めを確認する
- 直属の上司(エリアマネージャーなど)に、口頭で伝える
- 後任の手配にかかる時間を踏まえて、退職日を相談する
- 退職日が決まったら、退職届を提出する
退職届の書き方は薬剤師の退職届・退職願の書き方で例文つきで紹介しています。
切り出すときの例文
お時間をいただきありがとうございます。私事で恐縮ですが、〇月末で退職させていただきたいと考えています。管理薬剤師の後任が必要になることは承知していますので、早めにご相談したいと思いました。後任の方への引き継ぎには、できる限り協力させていただきます。
「辞めたい」という気持ちだけでなく、退職の希望時期と、引き継ぎに協力する姿勢をあわせて伝えると、上司も後任の手配を考えやすくなります。
「後任が決まるまで辞めないで」と言われたら
後任の手配は会社が行うものですが、薬局の運営を考えると、ある程度は協力したいと考える人も多いはずです。退職日を決めずに待ち続けるのではなく、「〇月末までは引き継ぎに協力できます」のように、協力できる期間を具体的に示して相談すると、話が進みやすくなります。
引き継ぎで書き出しておきたいこと
管理薬剤師の業務には、ほかの薬剤師が普段触れていないものが多くあります。後任が困らないよう、次のような項目を書き出しておきましょう。
| 分類 | 書き出しておきたいこと |
|---|---|
| 帳簿・記録 | 医薬品の仕入れや譲渡の記録、麻薬・向精神薬などの帳簿の保管場所と記載の手順 |
| 手順書 | 薬局の業務手順書の保管場所、最近見直した点 |
| 行政への対応 | 過去の立入検査での指摘事項と対応の記録、提出している届出の控え |
| 店舗の運営 | シフトの組み方、発注と在庫管理の手順、取引先の連絡先 |
| 患者さんへの対応 | 在宅訪問の予定、継続して説明が必要な患者さんの申し送り |
| 職員 | 研修の実施状況、新人の指導の進み具合 |
すべてを口頭で伝えようとすると、退職日までに終わらないことがあります。書き出したものをもとに、後任と一緒に確認する時間をとりましょう。
引き継ぎ書のまとめ方
- 1枚目に、毎日・毎週・毎月・不定期の業務を一覧にする
- 業務ごとに、手順・保管場所・関係する人や取引先を書く
- 期限のある業務(届出の更新、点検の予定など)は、日付と一緒に書く
- 後任と一緒に実際の業務を行いながら確認し、足りない点を書き足す
一覧があると、後任は何を優先して覚えればよいかが分かり、退職後に問い合わせを受けることも減らせます。
次の職場との日程の合わせ方
薬局の管理者は、原則として、その薬局以外の場所で薬事に関する実務に従事してはならないとされています(医薬品医療機器等法第7条)。前の薬局の管理者のまま、次の職場で働き始めることがないよう、退職日と次の職場の入職日が重ならないように調整しましょう。
- 次の職場の入職日は、前の職場の退職日より後にする
- 次の職場でも管理薬剤師になる場合は、その薬局が管理者の変更を届け出ることになる
- 日程に不安があるときは、次の職場や転職エージェントの担当者に、前の職場で管理者を務めていることを伝えて相談する
管理薬剤師の経験は、次の職場で強みになる
管理薬剤師として、在庫やシフトの管理、職員の指導、行政への対応を担ってきた経験は、次の職場でも評価されやすい経験です。職務経歴書では、担当した店舗の規模や、取り組んだ業務を具体的に書きましょう。
書き方は薬剤師転職の履歴書・職務経歴書の書き方で解説しています。管理薬剤師という役割そのものから離れたい場合は、管理薬剤師をやりたくない・降りたい薬剤師へも参考にしてください。
よくある質問
Q. 管理薬剤師の退職は、どのくらい前に伝えればいいですか?
就業規則の定めを確認したうえで、後任の手配にかかる時間を考えて、それより余裕を持って伝えるのが現実的です。具体的な時期は職場によって異なるので、上司と相談して決めましょう。
Q. 管理者の変更の届出は、自分でする必要がありますか?
届出は薬局開設者(会社)が行う手続きです。後任が決まったら、会社が手続きを進めます。
Q. 後任が見つからないまま、退職日が来たらどうなりますか?
後任の手配は会社の責任で行うものです。とはいえ薬局の運営に関わるので、引き継ぎに協力できる期間を具体的に示し、早めに相談しておくことが大切です。
まとめ
- 管理薬剤師の退職には後任の手配が必要。ほかの人より早めに伝える
- 管理者の変更の届出は会社が行う。後任が決まらないと進まない
- 管理薬剤師しか把握していない業務を書き出して引き継ぐ
- 前の薬局の管理者のまま次の職場で働き始めないよう、日程を合わせる
次の職場を探している段階なら、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較や見学後の比較メモも役立ちます。


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