2026年6月1日に施行された令和8年度の調剤報酬改定は、これまでの改定とは狙いが違いました。 報じられている方向性を一言でまとめると、こうなります。 「どこにある薬局か」ではなく「地域で何ができる薬局か」を評価する。 これは、門前という立地に支えられてきた薬局にとって、静かですが決定的な転換です。
今回の改定が向いている方向
令和8年度の改定は、患者と向き合う対人業務を重視し、立地に依存した運営を見直し、在宅医療や多職種連携で地域を支える薬局を評価する内容だとされています。
調剤管理料についても大幅な見直しが行われました。8日以上28日未満の処方が多い薬局にとっては、かなり厳しい改定になったと指摘されています。
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つまり、同じ処方箋を同じように捌いているだけでは、これまでと同じ収益は得られない構造になったということです。
ここで問題になるのは、その減った分をどこで埋めるのか、です。
埋め方は2通りしかありません
収益が下がったとき、会社が取れる道は大きく2つです。
- ① 評価される業務を増やす ── 在宅、多職種連携、対人業務の充実に人と時間を割く
- ② 費用を減らす ── 人員を絞り、一人あたりの処理量を増やす
①は投資が要ります。人を増やすか、既存の人の時間を空けるために業務を組み替える必要があります。
②はすぐにできます。何も新しいことをしなくていいからです。
そしてどちらを選んだかは、現場にいれば分かります。
②を選んだ会社で、何が起きるか
費用を減らす方向に舵を切った会社では、順番に次のことが起きます。
欠員が出ても補充されず、残った人の処理量が増えます。在宅に手を出す余裕はなくなり、対人業務は「やりたいけれど時間がない」ものになります。
そして次の改定でも、評価される業務ができていないので、また収益が下がります。
同じことが繰り返されるたびに、現場の負担だけが積み上がっていきます。
この循環に入った薬局は、自力では抜けられません。抜けるには投資が必要で、投資できないから②を選んだからです。
あなたの薬局は、何で稼いでいますか
一度、冷静に確認してみてください。
- 処方箋の応需元が、1つの医療機関に集中していないか
- その医療機関の医師の年齢と、後継者の見通しはどうか
- 在宅や施設対応など、処方箋応需以外の収益の柱があるか
- 今回の改定後、会社は新しい取り組みを始めたか
- 設備やシステムへの投資が、この数年で行われているか
- 対人業務のための時間が、勤務時間の中に確保されているか
上の2つだけに依存していて、下の4つに当てはまるものがないなら、その薬局は立地で稼いできた薬局です。
そして今回の改定は、まさにそこを見直す方向で設計されています。
「様子を見る」がいちばん危ない選択です
改定の影響がすぐに数字として見えるわけではありません。だから多くの職場では、しばらく様子を見ることになります。
ただ、様子を見ているあいだも、あなたの時間は減り続けます。
在宅の経験も、多職種連携の経験も、対人業務の実績も、これからの薬剤師の職務経歴書で評価される項目です。
それらを積む機会がない職場に長くいるほど、次に動こうとしたときの選択肢は狭まります。
会社の将来性の話であると同時に、あなたの経歴の話でもあるということです。
確かめる順番
STEP1:会社が改定後に何を始めたかを確認する
6月の施行から今日までに、会社は何か新しい取り組みを始めたでしょうか。在宅の受け入れ、地域連携、業務の組み替え。
何も始まっていないなら、それは②を選んだということです。
STEP2:自分が経験を積める環境か見極める
在宅や対人業務に関わりたいと伝えたとき、機会をもらえるかどうかを確認してください。
「人が足りないから今は無理」が続くなら、その職場で経験を積むのは難しいと考えたほうが現実的です。
STEP3:投資している会社を見ておく
同じ改定を受けても、在宅に人を割ける会社はあります。転職するかどうかは別として、そういう会社が実在することは知っておいて損はありません。
改定に合わせて動いた会社は、確かにあります
在宅や地域連携に人を割き、対人業務の時間を確保した薬局は実際にあります。
同じ改定を受けても、対応は会社によって割れます。そしてその差は、外からは見えません。求人票に書かれるのは条件だけで、「制度が変わったときに何をした会社なのか」は載らないからです。
ただ、複数の薬局を見ているエージェントであれば、応募前に確認してもらえます。「今すぐ転職する」ではなく「対応している会社を知りたい」という相談の仕方で構いません。
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まとめ|制度が変わったのに何も始まらない職場は、次の改定でも同じです
調剤報酬は今後も定期的に見直されます。方向性が対人業務と地域連携にあることは、もう明らかです。
その流れに合わせて動ける会社と、動けずに現場で吸収させる会社の差は、改定のたびに開いていきます。
今回の改定後、あなたの薬局では何か始まったでしょうか。
何も始まっていないなら、次の改定でも、おそらく何も始まりません。
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この記事の運営者:ぴろしき
調剤併設ドラッグストアで働く現役の管理薬剤師・薬局長。自身のパワハラ・転職経験をもとに、薬剤師が働きやすい環境を選ぶための情報を発信しています。詳しいプロフィールはこちら


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