ノボ ノルディスク ファーマは2026年10月、医療関係者向けに「販売中止に関するご案内」を出し、インスリン製剤7製品の販売を2028年3月を目途に中止する予定だと知らせました。対象は、ノボラピッド注 フレックスタッチ、ノボラピッド50ミックス注 フレックスペン、ノボリンR・N・30R注 フレックスペン、レベミル注 フレックスペン・ペンフィルです。
SNSでは「ノボラピッドがなくなる」という受け止めも見られますが、ノボラピッド注 フレックスペンは対象に入っていません。この記事では、案内に書かれている対象製品と代替薬候補、薬局で確かめておきたいことをまとめます。
※2026年11月2日時点のメーカーの案内(資料番号JP26INS00007)をもとにしています。供給の状況は変わることがあるため、最新の情報はメーカーのお知らせで確かめてください。治療薬の選び方は処方医の判断です。
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この記事の要点
- インスリン7製品が、2028年3月を目途に販売中止の予定(ノボ ノルディスク ファーマ、2026年10月)
- ノボラピッドで対象なのは「注 フレックスタッチ」と「50ミックス注 フレックスペン」。「注 フレックスペン」は対象外
- ノボラピッド注 フレックスタッチはすでに出荷停止。ほかの6製品は案内の時点で通常出荷
- 代替薬候補は、ノボラピッド注フレックスペン・トレシーバ・ノボラピッド30ミックス・ライゾデグ(製品ごとに異なる)
- 薬局は、対象の患者さんを洗い出し、次の受診の前に処方医と相談の材料をそろえておく
販売中止の対象になる7製品
| 販売名 | 統一商品コード | 包装 | 案内の時点の出荷状況 |
|---|---|---|---|
| ノボラピッド注 フレックスタッチ | 616 003242 | 2本(3.0mL) | 出荷停止(供給停止) |
| ノボラピッド50ミックス注 フレックスペン | 616 002849 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
| ノボリンR注 フレックスペン | 616 001606 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
| ノボリンN注 フレックスペン | 616 001668 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
| ノボリン30R注 フレックスペン | 616 001637 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
| レベミル注 フレックスペン | 616 002481 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
| レベミル注 ペンフィル | 616 002443 | 2本(3.0mL) | 通常出荷 |
案内では、販売中止の理由は「諸般の事情」とされています。時期は「2028年3月を目途に」で、具体的な日付は書かれていません。
出典:ノボ ノルディスク ファーマ「販売中止に関するご案内」(2026年10月、資料番号JP26INS00007)
メーカーが示している代替薬候補
案内には、販売中止予定の製品ごとに「代替薬候補」が載っています。いずれも同じノボ ノルディスク ファーマの製品です。
| 販売中止予定の製品 | 代替薬候補 |
|---|---|
| ノボラピッド50ミックス注 フレックスペン | ノボラピッド30ミックス注 フレックスペン/ライゾデグ配合注 フレックスタッチ |
| ノボリンR注 フレックスペン | ノボラピッド注 フレックスペン |
| ノボリンN注 フレックスペン | トレシーバ注 フレックスタッチ |
| ノボリン30R注 フレックスペン | ノボラピッド30ミックス注 フレックスペン/ライゾデグ配合注 フレックスタッチ |
| レベミル注 フレックスペン | トレシーバ注 フレックスタッチ |
| レベミル注 ペンフィル | トレシーバ注 ペンフィル |
| ノボラピッド注 フレックスタッチ | (案内の中に代替薬候補の記載なし) |
代替薬候補は、販売中止の製品と有効成分や製剤が同じとは限りません。たとえばノボリンR(ヒトインスリン)の候補はノボラピッド(インスリン アスパルト)、レベミル(インスリン デテミル)の候補はトレシーバ(インスリン デグルデク)です。どの製品に、どのように切り替えるかは、処方医が患者さんごとに判断します。
「ノボラピッドがなくなる」は誤解
名前が似ているため混同されやすいのですが、ノボラピッドの製品のうち、今回の対象は次の2つだけです。
| 製品 | 今回の案内での扱い |
|---|---|
| ノボラピッド注 フレックスタッチ | 販売中止予定(すでに出荷停止) |
| ノボラピッド50ミックス注 フレックスペン | 販売中止予定 |
| ノボラピッド注 フレックスペン | 対象外。ノボリンR注フレックスペンの代替薬候補として掲載 |
| ノボラピッド30ミックス注 フレックスペン | 対象外。50ミックス・ノボリン30Rの代替薬候補として掲載 |
ノボラピッド注 フレックスタッチは、以前から出荷停止が続いていました(日本糖尿病学会のサイトに、2024年2月付の「ノボラピッド注 フレックスタッチ製剤の出荷停止に関するお知らせ【第3報】」が掲載されています)。今回の案内で、出荷停止のまま販売中止の予定となった形です。
患者さんから「ノボラピッドがなくなるって本当?」と聞かれたときは、使っている製品の名前(フレックスタッチかフレックスペンか、ミックスかどうか)を一緒に確かめるのが確実です。
薬局で確かめておきたいこと
対象の患者さんの洗い出し
- 7製品を使っている患者さんの人数と、製品ごとの1か月の使用量
- それぞれの次の受診日と、処方医(糖尿病の専門外来か、かかりつけ医か)
- 同じ患者さんが複数の製品を使っていないか(例:ノボリンRとノボリンNの併用)
処方医との相談の準備
- 処方医に伝える情報:メーカーの案内(販売中止の時期と、製品ごとの代替薬候補)
- 代替薬候補の製品の在庫と入荷の見込みを、卸に確かめておく
- ペン型注入器の種類が変わる場合(フレックスペン→フレックスタッチなど)、使い方の説明の準備をしておく
- 注射針・血糖測定の器具など、一緒に出しているものに変更がないかも確かめる
患者さんへの説明の例
インスリンは毎日使う薬なので、「販売中止」という言葉に不安を感じる患者さんもいます。たとえば次のように説明できます。
「メーカーの事情で、いまお使いのインスリンが2028年3月ごろまでに販売中止になる予定です。すぐに使えなくなるわけではありません。代わりのお薬にするかどうかは先生と相談して決めますので、それまでは今まで通り使ってください。自己判断で注射をやめたり、量を変えたりしないでください。」
- すぐに使えなくなるわけではないこと(ノボラピッド注フレックスタッチを除き、案内の時点で通常出荷)
- 切り替えるときは、注射の打ち方や単位の合わせ方を、その都度説明すること
- 切り替えたあとに低血糖など体調の変化があれば、すぐに相談してもらうこと
供給の状況の確かめ方
- メーカーの医療関係者向けサイトのお知らせ(販売中止に関するご案内(PDF))
- ノボ ノルディスク ファーマ カスタマーセンター(案内に記載:0120-180363、月〜金 9:00〜17:00、祝日・会社休日を除く)
- 卸の担当者や、卸の発注システムの在庫情報
- 経過措置の期間と薬価削除日は、官報の告示とメーカーの続報
販売中止・出荷調整の対応が続く職場で働く薬剤師へ
インスリンの切り替えは、処方医への問い合わせだけでなく、注入器の使い方の説明や、切り替え後の様子の確認まで、窓口の仕事を増やします。本部が情報をまとめて流してくれるか、糖尿病の患者さんへの指導の時間を取れる人員がいるかは、職場によって違います。転職や異動を考えるときは、次の点も確かめておくと安心です。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 供給の情報の共有 | 「販売中止や限定出荷の情報は、本部からどのように共有されますか」 |
| 指導の時間と人員 | 「インスリンの導入や切り替えの説明に、どれくらい時間を取れますか」 |
| 処方医との連携 | 「近くの医療機関と、切り替えの相談はどのように進めていますか」 |
職場の体制は、見学で確かめるのがいちばんです。見学の申し込み方は薬局見学の申し込み方で紹介しています。ほかの販売中止・出荷調整の動きはアトーゼット配合錠の販売中止、クラリス錠200の販売中止、モビコールの限定出荷、業界の動きは薬剤師業界ニュース解説まとめで解説しています。
よくある質問
Q. ノボラピッドは全部なくなるのですか?
いいえ。販売中止の対象は「ノボラピッド注 フレックスタッチ」と「ノボラピッド50ミックス注 フレックスペン」です。「ノボラピッド注 フレックスペン」は対象に入っておらず、メーカーの案内では、ノボリンR注フレックスペンの代替薬候補として挙げられています。
Q. いつまで使えますか?
メーカーは「2028年3月を目途に」販売を中止する予定と案内しています。ただし、ノボラピッド注 フレックスタッチは、案内の時点ですでに出荷停止(供給停止)です。ほかの6製品は、案内の時点では通常出荷とされています。
Q. 代わりの薬は何ですか?
メーカーは製品ごとに代替薬候補を示しています(ノボリンR→ノボラピッド注フレックスペン、ノボリンN・レベミル→トレシーバ、ノボリン30R・ノボラピッド50ミックス→ノボラピッド30ミックス注フレックスペンまたはライゾデグ配合注フレックスタッチ)。ノボラピッド注 フレックスタッチには、案内の中で代替薬候補の記載はありません。実際にどの薬にするかは処方医が判断します。
Q. 患者さんは何をすればいいですか?
自己判断で注射をやめたり、量を変えたりしないことです。次の受診のときに、使っている製品が対象かどうかを主治医や薬剤師に確かめてください。製品が変わる場合は、注射の打ち方や単位の合わせ方を、その都度説明を受けてください。
まとめ
- ノボ ノルディスク ファーマが、インスリン7製品を2028年3月を目途に販売中止する予定と案内(2026年10月)
- ノボラピッドで対象なのは「注 フレックスタッチ」と「50ミックス注 フレックスペン」。「注 フレックスペン」は対象外
- ノボラピッド注 フレックスタッチはすでに出荷停止。ほかの6製品は案内の時点で通常出荷
- 代替薬候補は製品ごとに異なり、有効成分が変わるものもある。切り替えは処方医の判断
- 対象の患者さんを洗い出し、次の受診の前に処方医と相談の材料をそろえておく
供給の情報共有や指導の体制まで、担当者に確かめてもらいながら職場を探したい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。
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