2026年度の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師の評価は「服薬管理指導料」の中に組み込まれ、薬局の施設基準に「薬剤師の在籍期間」の要件が加わりました。この要件には経過措置があり、2026年11月30日で終わります。
この記事では、厚生労働省の施設基準の通知(保医発0305第8号)の条文をもとに、経過措置の対象、12月1日から満たす必要がある要件、薬局と薬剤師が確かめておきたいことをまとめます。
※2026年11月2日時点の厚生労働省の通知の内容をもとにしています。届出の扱いの最終的な判断は、管轄の地方厚生(支)局に確かめてください。
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この記事の要点
- かかりつけ薬剤師による指導(服薬管理指導料の「1のイ」「2のイ」)を行う薬局には、施設基準がある(服薬管理指導料の注1)
- 薬局の要件のひとつ:週31時間以上勤務の薬剤師の平均在籍1年以上、または管理薬剤師の在籍3年以上
- 令和8年5月31日にかかりつけ薬剤師指導料などを届け出ていた薬局は、11月30日までこの要件を満たすものとみなされる
- 12月1日からは、実際の在籍状況で満たす必要がある
- 薬剤師が長く続く職場かどうかが、かかりつけの届出に直接かかわるようになった
経過措置の条文
施設基準の通知の「第97の2 服薬管理指導料の注1に規定する保険薬局」の「3 届出に関する事項」に、次のように書かれています。
「令和8年5月31日において、現にかかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていた保険薬局については、令和8年11月30日までの間に限り、2の(2)に掲げる要件を満たすものとみなす。」
出典:厚生労働省 保医発0305第8号「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日)第97の2、令和8年度診療報酬改定について
11月30日まで「みなし」になっている要件(薬局の在籍要件)
経過措置の対象の「2の(2)」は、次のどちらかを満たすという要件です。
| どちらか一方 | 通知の内容 |
|---|---|
| ア 平均在籍 | その薬局に勤務する週31時間以上勤務の保険薬剤師(派遣労働者を含み、産前産後休業中・育児休業中・介護休業中の人を除く)が、継続して在籍し週31時間以上勤務している期間が、平均して1年以上。休業から復職した人は、休業前の在籍期間を含む |
| イ 管理薬剤師 | その薬局の管理薬剤師が、継続して3年以上在籍している |
つまり、薬剤師の入れ替わりが多く平均在籍が1年に届かない薬局でも、管理薬剤師が3年以上続いていれば要件を満たせます。逆に、管理薬剤師が交代したばかりの薬局では、ほかの薬剤師の平均在籍が問われます。
ほかの施設基準(経過措置の対象外)
かかりつけ薬剤師本人の要件(第97の2の1)
| 要件 | 通知の内容 |
|---|---|
| 勤務経験 | 届出の時点で、保険薬剤師として3年以上の保険薬局の勤務経験(病院・診療所の薬剤師の経験は1年を上限に含められる) |
| 勤務時間 | その薬局に週31時間以上勤務(育児・介護休業法による短時間勤務の場合は、週24時間以上かつ週4日以上) |
| 在籍期間 | 届出の時点で、その薬局に継続して6か月以上在籍(産休・育休・介護休業から同じ薬局に復職する場合は、休業前の期間を合算できる) |
| 研修認定 | 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得 |
| 地域活動 | 医療に係る地域活動の取組に参画 |
短時間勤務の薬剤師の扱いは、疑義解釈(その12)で補足されています。くわしくは時短勤務の薬剤師とかかりつけの施設基準で解説しています。
薬局のそのほかの要件(第97の2の2)
- 1の要件をすべて満たす保険薬剤師(派遣労働者を含み、休職中の人を除く)を配置していること
- 会話がほかの患者さんに聞こえないよう、パーテーション等で区切った独立したカウンターを設けるなど、プライバシーに配慮していること
服薬管理指導料の区分(「1のイ」「2のイ」がかかりつけ薬剤師による指導)は、調剤報酬の算定上の留意事項(調剤)に書かれています。
11月30日までに薬局で確かめておきたいこと
- 週31時間以上勤務の薬剤師一人ひとりの、その薬局での継続した在籍期間(休業前の期間の扱いも含めて)
- その平均が1年以上になるか。ならない場合、管理薬剤師の在籍が3年以上か
- 11月中に異動・退職・入職の予定がある場合、12月1日時点の数字がどう変わるか
- 要件を満たさない見込みのときの届出の扱い(管轄の地方厚生(支)局に確認)
チェーン薬局では、店舗間の異動が多いと、ひとつの店舗での「継続した在籍期間」が短くなります。異動の計画と、かかりつけの届出の要件を合わせて確かめておく必要があります。
転職・異動を考える薬剤師への影響
この要件は、薬剤師が長く続く薬局ほど、かかりつけ薬剤師の評価を続けやすいしくみです。働く側から見ると、次のような点が職場選びの手がかりになります。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| かかりつけの届出 | 「服薬管理指導料の注1(かかりつけ薬剤師)の届出はしていますか」 |
| 薬剤師の定着 | 「薬剤師の皆さんは、この店舗に何年くらい在籍していますか」 |
| 管理薬剤師の在籍 | 「管理薬剤師の方は、この店舗に何年いらっしゃいますか」 |
| 異動の頻度 | 「店舗間の異動は、どれくらいの頻度でありますか」 |
かかりつけ薬剤師を目指す人にとっては、入職してから6か月以上の在籍、週31時間以上の勤務、研修認定、地域活動への参画が必要です。入職後にかかりつけを任せてもらえるかどうか、面接や見学で確かめておくと安心です。
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よくある質問
Q. 11月30日で終わる経過措置は、どの要件についてのものですか?
薬局の側の在籍の要件(第97の2の2の(2))です。「週31時間以上勤務する保険薬剤師の在籍期間が平均して1年以上」か「管理薬剤師が継続して3年以上在籍」のどちらかを満たす、という要件について、令和8年5月31日にかかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料を届け出ていた薬局は、11月30日までは満たしているものとみなされます。
Q. かかりつけ薬剤師本人の要件にも経過措置はありますか?
この経過措置の対象は、薬局の在籍の要件(2の(2))です。薬剤師本人の要件(保険薬局での勤務経験3年以上、週31時間以上の勤務、その薬局での在籍6か月以上、研修認定、地域活動への参画)は、通知の第97の2の1に別に書かれています。
Q. 平均在籍1年は、どの薬剤師で計算するのですか?
通知では、その薬局に勤務する週31時間以上勤務の保険薬剤師(派遣の人を含み、産前産後休業中・育児休業中・介護休業中の人を除く)について、継続して在籍し週31時間以上勤務している期間の平均とされています。休業から復職した人は、休業前の在籍期間も含みます。
Q. 12月1日以降に要件を満たさない場合はどうなりますか?
12月1日からは、経過措置ではなく実際の在籍状況で要件を満たす必要があります。満たさなくなった場合の届出の扱いは、薬局を管轄する地方厚生(支)局に確かめてください。
まとめ
- かかりつけ薬剤師の施設基準のうち、薬局の在籍要件(平均在籍1年以上 or 管理薬剤師3年以上)の経過措置は2026年11月30日まで
- 対象は、令和8年5月31日にかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を届け出ていた薬局
- 薬剤師本人の要件(経験3年・週31時間・在籍6か月・研修認定・地域活動)は経過措置の対象外
- 12月1日に向けて、薬剤師ごとの在籍期間と異動の予定を確かめ、届出の扱いは地方厚生(支)局に確認する
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