厚生労働省は2026年10月27日、薬局で製造・販売できる「薬局製剤」の内容を定めた「薬局製剤指針」を改正する通知を出しました。報道によると、真武湯や麻黄附子細辛湯など47種類の漢方処方が新たに加わり、同日以降の申請から適用されます。
この記事では、改正の中身と背景、漢方を扱う薬局で確かめておきたいこと、薬剤師の働き方との関係をまとめます。
※2026年10月31日時点で確認できた厚生労働省の資料と報道をもとにしています。確定した通知の原文(47処方の一覧など)は、厚生労働省や都道府県の案内で確かめてください。
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この記事の要点
- 2026年10月27日、厚労省が薬局製剤指針を改正する通知を発出。漢方47処方を追加(真武湯・麻黄附子細辛湯など)。同日以降の申請から適用
- 6月の改正案では、ダイオウ・カンゾウ・マオウ・ブシ・サンシシ(5成分)を含む処方で、分量に幅がある場合は薬剤師の判断で最小分量まで選べるとされていた
- 背景は、一般用の漢方製剤の製造中止や、医療用の漢方・生薬の「零売」などの不適切な販売。薬局で必要な漢方を作れる仕組みを整える狙い
- 令和8年度から、薬局製剤もセルフメディケーション税制の対象に加わっている
- 作って売るには品目ごとの手続きが必要。都道府県の薬務の窓口で確かめる
薬局製剤とは
薬局製剤(法律上は「薬局製造販売医薬品」)は、薬局の開設者が、その薬局の設備と器具で製造し、その薬局で直接お客さんに販売する医薬品です。配合できる有効成分は厚生労働大臣が告示で指定しています。
具体的な製造方法、用法・用量、効能・効果、規格と試験方法は、厚生労働省の通知「薬局製造販売医薬品の取扱いについて」の別添「薬局製剤指針」に定められています。今回の改正の前は、2022年(令和4年)12月27日の改正が最新でした。
改正の内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通知の日付 | 2026年10月27日(同日以降の申請から適用) |
| 処方の追加 | 漢方処方47種類(例:真武湯、麻黄附子細辛湯) |
| 5成分の分量 | ダイオウ・カンゾウ・マオウ・ブシ・サンシシを含む処方で、分量が幅で書かれている場合、最大分量を基本に、薬剤師の判断で最小分量までの範囲で選べる(改正案の内容) |
| 生薬の確認試験 | 一部の処方で、対象の生薬の確認試験を「必要に応じて実施」でよいとする(改正案の内容) |
出典:厚生労働省「薬局製剤指針の一部改正(案)について(概要)」(2026年6月)、日経ドラッグインフォメーション(2026年10月29日)
改正案では「令和8年9月上旬」に改正する予定とされていましたが、実際の通知は10月27日になりました。確定した通知で改正案から変わった点があるかは、通知の原文で確かめてください。
なぜ漢方処方を増やすのか
改正案のもとになった厚生労働科学研究(研究代表者:国立医薬品食品衛生研究所 生薬部の伊藤美千穂氏)の総括研究報告書には、次のような背景が書かれています。
- 一部の薬局で、医療用の単味の生薬を処方箋なしで少量に分けて売る「零売」や、調剤用の生薬に効能をつけて売る例があった
- その原因として、一般用の漢方製剤の製造中止、薬局製剤で作れる漢方処方の種類が足りないことなどが挙げられた
- 一般用漢方製剤の承認基準にはあるが、薬局製剤指針にはない漢方処方が78あり、そのうち確認試験の準用ができそうな47処方について、指針に載せる素案を作った
つまり、市販の漢方が手に入りにくくなるなかで、薬局が自分で作れる漢方の選択肢を増やし、適切な形で販売できるようにするのが狙いです。同じ研究では、単味の生薬製剤についても薬局にアンケートを行い、ヨクイニンやウコンなどの要望が多かったと報告しています(今回の改正は漢方処方の追加が中心です)。
セルフメディケーション税制の対象にもなった
令和8年度の税制改正で、薬局製剤もセルフメディケーション税制の対象に加わりました。厚生労働省の2026年8月20日の事務連絡では、対象になる薬局製剤の処方番号を別添で示し、薬局に次の対応を求めています。
- レシートや領収書に、税制の対象の品目であることを明記する
- レジのレシートで対応する場合は、商品名の前に「★」などの印をつけ、その印が対象の品目であることと、対象の品目だけの合計額を書く
今回追加された47処方が税制の対象になるかは、この事務連絡の時点では示されていません。厚生労働省の今後の案内で確かめてください。
漢方を扱う薬局で確かめておきたいこと
どの処方を作るか
- いま医療用の漢方の相談や、一般用の漢方の欠品で困っている処方が、追加の47処方に入っているか(確定した通知の一覧で確かめる)
- 必要な生薬の仕入れ先と、品質の確認の方法
- 作るための設備・器具、保管の場所
手続き
薬局製剤は、品目ごとに承認などの手続きが必要です。申請の書類や手数料は都道府県・保健所設置市によって案内のしかたが違うため、薬局がある自治体の薬務の窓口やホームページで確かめてください。
配合量を選ぶときの記録
改正案のとおり5成分の分量を薬剤師が選べるようになった場合、どの分量にしたか、なぜそうしたかを説明できるようにしておくことが大切です。ダイオウ(瀉下)、カンゾウ(偽アルドステロン症)、マオウ・ブシ(体質や併用薬による注意)など、注意が要る生薬が並んでいます。お客さんの体質や飲んでいる薬を聞き取ったうえで判断し、その内容を記録しておくと、あとで確かめられます。
漢方の知識を生かして働きたい薬剤師へ
薬局製剤の漢方は、薬剤師が処方を選び、作り、説明して販売するものです。漢方の相談に力を入れている薬局にとっては、扱える処方が増える改正といえます。ただし、薬局製剤を扱うかどうかは薬局によって違います。漢方の知識を仕事に生かしたい場合は、職場を選ぶ段階で次の点を確かめておくと安心です。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 薬局製剤の取り扱い | 「薬局製剤の製造販売の許可はありますか。どんな品目を扱っていますか」 |
| 漢方の相談の機会 | 「漢方の相談で来られるお客さんは、1週間にどれくらいいますか」 |
| 教わる体制 | 「漢方や薬局製剤について、社内で教わる機会はありますか」 |
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よくある質問
Q. 薬局製剤(薬局製造販売医薬品)とは何ですか?
薬局の開設者が、その薬局の設備と器具で製造し、その薬局で直接お客さんに販売する医薬品です。配合できる有効成分は厚生労働大臣が指定していて、製造方法・用法用量・効能効果・規格と試験方法は「薬局製剤指針」に定められています。
Q. 今回、何が変わりましたか?
報道によると、厚生労働省は2026年10月27日に薬局製剤指針を改正する通知を出し、真武湯や麻黄附子細辛湯など47種類の漢方処方を追加しました。同日以降の申請から適用されます。6月の改正案では、ダイオウ・カンゾウ・マオウ・ブシ・サンシシを含む処方で、分量に幅がある場合は薬剤師の判断で最小分量まで選べるようにすることも示されていました。
Q. 追加された処方は、すぐに作って売れますか?
薬局製剤は品目ごとに承認などの手続きが必要です。申請の方法や必要な書類は、薬局がある都道府県(保健所設置市)の薬務の窓口で確かめてください。
Q. 薬局製剤はセルフメディケーション税制の対象ですか?
令和8年度の税制改正で、薬局製剤も対象に加わりました。厚生労働省の2026年8月20日の事務連絡では、対象になる処方番号が別添で示され、レシートに税制の対象であることを明記するよう求めています。今回追加された処方が対象になるかは、今後の厚生労働省の案内で確かめてください。
まとめ
- 2026年10月27日の通知で、薬局製剤指針に漢方47処方が追加された(真武湯・麻黄附子細辛湯など)。同日以降の申請から適用
- 改正案では、ダイオウなど5成分の分量を薬剤師の判断で選べるようにすることも示されていた
- 背景は、一般用の漢方の製造中止や零売などの問題。薬局で必要な漢方を適切に作れる仕組みを整える狙い
- 薬局製剤は令和8年度からセルフメディケーション税制の対象。作るには品目ごとの手続きが必要
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