「どうでもいい書類の直しばかり言われる」「忙しい時間に限って会議がある」「先週決めたことが、また話し合いになっている」。薬局で働いていて、こんなイライラを感じたことはありませんか。
両学長(リベラルアーツ大学)の動画「あなたが会社に「イライラする理由」とその「対処法」」では、第二次世界大戦中に作られた「組織をダメにするためのマニュアル」を手がかりに、職場のイライラの正体と対処法が紹介されています。
この記事では、そのマニュアルに書かれた「組織の力を弱める習慣」を薬局の現場に当てはめ、あなたの職場に当てはまるかを確かめる方法と、「中から変える」「職場を変える」の判断の仕方をまとめます。
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この記事の要点
- 1944年、アメリカの情報機関(OSS、CIAの前身)が、敵の組織の力を弱めるための手引きを作っていた
- そこに書かれた習慣は、今の職場でも「イライラの原因」として見かけるものが多い
- まずは職場の習慣を書き出し、自分の働きかけで変えられるものから提案する
- 変わらない場合は、同じ習慣のない職場を探す。仕組みは求人票では分からないので、見学・面接や転職エージェントで確かめる
「組織をダメにするマニュアル」とは
第二次世界大戦中の1944年、アメリカの情報機関OSS(CIAの前身)は、『Simple Sabotage Field Manual(シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル)』という手引きを作りました。敵の国にいる協力者に、目立たない形で組織の力を弱めてもらうための方法をまとめたものです。
この中には、会議や手続き、上司のふるまいなど、組織の動きを鈍らせる方法が書かれています。のちに公開され、「今の職場でもよく見る光景だ」として話題になりました。
薬局に当てはめると?組織の力を弱める5つの習慣
マニュアルに書かれた習慣のうち、薬局でも起こりやすいものを5つ取り上げます。薬局の例は、よくある場面を想像した説明用の例です。
1. 重要でない仕事に、完璧さを求める
マニュアルには「相対的に重要でない仕事に完璧さを求め、ささいな欠点でも突き返せ」とあります。
たとえば、掲示物の体裁や、内容に影響しない言い回しの修正で何度も差し戻しがあり、そのあいだに患者さんの待ち時間が延びる。大事なところに時間を使えなくなります。
2. 成果を出さない人が居心地よく、成果を出す人が報われない
マニュアルには「能率の悪い者に心地よく接し、ふさわしくない昇進を与えよ」とあります。
たとえば、評価の基準が説明されず、頑張っている人ほど仕事が増えるだけになっている。やる気のある人から先に辞めていきます。
3. 大事な仕事があるときに、会議を開く
マニュアルには「より重要な仕事があるときに会議を開け」とあります。
たとえば、処方箋が集中する時間帯に打ち合わせが入り、調剤や投薬の手が足りなくなる。会議の時間と現場の忙しさが合っていません。
4. 前回決まったことを、蒸し返す
マニュアルには「前回の会議で決まったことを持ち出し、その決定が妥当だったかを議論し直せ」とあります。
たとえば、手順書の変更を決めたのに、次の会議でまた一から話し合いになる。いつまでも新しいやり方が始まりません。
5. 手続きを複雑にし、1人で決められることに3人の承認を求める
マニュアルには「1人で決められることでも、3人の承認が必要になるようにせよ」とあります。
たとえば、ちょっとした備品の発注やシフトの交代にも、何人もの承認が必要で、決まるまでに何日もかかる。小さなことほど、現場で決められないとストレスがたまります。
あなたの職場はどれくらい当てはまる?
5つの習慣について、今の職場の様子を確かめてみましょう。
| 習慣 | 確かめる問い |
|---|---|
| 重要でない仕事に完璧さを求める | 差し戻しの多くは、患者さんの安全や業務の結果に関係するものか |
| 成果を出す人が報われない | 評価の基準が説明されていて、頑張りが評価や役割に反映されているか |
| 忙しいときに会議 | 会議の時間は、処方が少ない時間帯に設定されているか |
| 決まったことを蒸し返す | 決めたことの記録が残り、決めた日から実行されているか |
| 手続きが多すぎる | 日常の小さな判断を、現場の薬剤師が決められるか |
当てはまるものが多いほど、イライラの原因は「あなた」ではなく「職場の仕組み」にある可能性が高くなります。
対処法1:中から変えられるものは、提案してみる
まずは、自分の働きかけで変えられそうなものから手をつけます。いきなり全部を変えようとせず、1つに絞るのがコツです。
- 困っている場面と、そのとき起きていることをメモする(日時・時間帯・影響)
- 「何を」「どう変えたいか」を1つに絞る(例:会議を処方の少ない時間帯に移す)
- 上司や管理薬剤師に、責めるのではなく提案として伝える
- 試す期間を決めて、結果をもう一度話し合う
伝え方の例
「午前の会議の時間に、処方の受付が重なることが多く、投薬の待ち時間が延びています。試しに来月の会議を午後の落ち着いた時間に移すことはできますか。1か月やってみて、待ち時間がどう変わったかを共有します。」
仕事の進め方を見直すヒントは、両学長の「仕事が早くなる3つのコツ」を薬局に当てはめるでも紹介しています。
対処法2:変わらないなら、同じ習慣のない職場を選ぶ
提案しても変わらない、そもそも提案できる雰囲気ではない。そんなときは、職場を変えることも現実的な選択肢です。ただし、同じ習慣のある職場に移ってしまっては意味がありません。
私は以前、大手企業で人事・採用の仕事をしていました。面接をする側にいたとき、「この人は採りたい」と思ったのは、前の職場の悪口を言わずに、辞める理由を具体的に話せた人でした。また、条件を整理してから来る人ほど、入ってからも長く続いていました。
「会議が多くて現場が回らなかった」という不満も、「現場で判断できる範囲が広い職場で、患者さん対応に時間を使いたい」と言い換えれば、前向きな志望理由になります。
見学・面接で確かめたいこと
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 会議の頻度と時間帯 | 「会議や打ち合わせは、どのくらいの頻度で、何時ごろに行っていますか」 |
| 判断の範囲 | 「シフトの交代や備品の発注は、どなたが決めていますか」 |
| 評価の仕組み | 「評価の基準や面談の機会について教えていただけますか」 |
| 決めたことの進め方 | 「最近、業務のやり方を変えたことはありますか。どのように決めましたか」 |
見学の申し込み方は薬局見学の申し込み方、希望条件の整理の仕方は薬剤師の転職で条件の優先順位を決める方法、ほかに避けたい職場の特徴はブラック薬局の特徴10選で紹介しています。
職場の仕組みは、求人票では分からない
会議の多さ、決め方、評価の仕組みは、求人票にはまず書かれていません。見学や面接だけでは、聞きにくいこともあります。
転職エージェントを使うと、担当者に「会議の頻度」「現場で決められる範囲」「評価の基準」などを応募先へ確認してもらえます。聞きにくいことを代わりに確かめてもらい、同じ習慣のない職場を選ぶための手段として使えます。登録や相談は無料で、すぐに転職しなくても使えます。
エージェントに伝えるときの例
「今の職場は会議や承認の手続きが多く、現場で判断できることが少ないのが悩みです。現場の薬剤師がある程度判断できて、会議が少ない職場を探したいです。応募先の会議の頻度や、シフト・発注を誰が決めているかを確認していただけますか。」
どの転職エージェントを使うかは、薬剤師の転職サイト9社の比較で、働き方や支援の内容から比べられます。2社に絞って比べたい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。
PR 転職エージェントに登録すると、求人票だけでは分からない人員の体制や職場の様子を、担当者に確かめてもらえます。登録と相談は無料で、情報収集だけの使い方もできます。
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よくある質問
Q. 職場にイライラするのは、自分の我慢が足りないからですか?
必ずしもそうではありません。仕事の進め方や決め方の仕組みに原因があることもあります。どの場面でイライラするのかを書き出すと、個人の問題か、職場の仕組みの問題かを分けて考えやすくなります。
Q. 職場の仕組みは、転職する前に分かりますか?
求人票だけでは分かりにくい部分です。見学や面接で、会議の頻度、判断する人、評価の基準などを聞くと手がかりになります。転職エージェントを使う場合は、担当者に応募先へ確認してもらうこともできます。
Q. 面接で、前の職場への不満は話してもいいですか?
不満そのものを話すより、「何が起きていて、次の職場で何を変えたいか」を具体的に伝えるほうが、聞く側は安心できます。
まとめ
- 職場のイライラは、あなたのせいではなく、職場の仕組みが原因のこともある
- 1944年の「組織をダメにするマニュアル」の習慣は、薬局でも見かける。自分の職場に当てはまるかを確かめる
- 変えられるものは、1つに絞って提案する
- 変わらないなら、同じ習慣のない職場を選ぶ。仕組みは求人票では分からないので、見学・面接や転職エージェントで確かめる


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