企業で働く薬剤師に興味はある。でも、調剤しかやってこなかったから、書けるものが何もない。 そう思って止まっている方に、ひとつ知っておいてほしいことがあります。 薬剤師免許を持っている人は、第一種衛生管理者の免許を、試験を受けずに取得できます。 受験勉強も、合格発表もありません。住所地の都道府県労働局長に申請するだけです。 そして労働安全衛生法により、労働者が50人以上いる事業場には衛生管理者を置く義務があります。つまり、必要としている会社は全国にあります。
まず、これが何の資格なのかを整理します
衛生管理者は、労働安全衛生法に基づいて事業場に置くことが義務づけられている役割です。
労働者が50人以上いる事業場には選任義務があり、50人以上200人以下の規模で最低1名を置く必要があります。
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仕事の中身は、職場の衛生状態の管理、健康診断の実施と事後措置、作業環境の点検、長時間労働者への対応といったものです。
第一種は、製造業や医療業を含めたすべての業種に対応できる区分です。
要するに、働く人の健康と安全を、事業場の側から見る役割になります。
薬剤師は、試験が免除されます
ここが知られていない部分です。
衛生管理者の免許は通常、試験に合格する必要があります。ところが薬剤師免許を持っている場合、この試験が免除されます。
手続きは、住所地の都道府県労働局長への申請です。免許申請書に、薬剤師免許の写しなど必要な書類を添えて出します。
勉強期間も、受験の日程調整もありません。
調剤の合間に何かを始めようとして、時間が取れずに諦めた経験のある方は少なくないと思います。これはその種類の話ではありません。
なぜ、これが企業への入口になるのか
企業薬剤師を目指すときに、いちばん大きな壁は経歴です。
調剤薬局での経験は確かな職歴ですが、企業の求人票が求めているものと言葉が噛み合いません。品質管理、薬事、安全性情報。どれも調剤とは別の語彙で書かれています。
そこで職務経歴書に書けるものが増えないまま、応募を止めてしまう。
衛生管理者は、その状況をひとつ崩します。
これは調剤の資格ではなく、事業場を管理する側の資格だからです。企業の側が理解できる言葉で、あなたが何をできるかを1行示せることになります。
製造業の工場、物流センター、大規模な事業所。衛生管理者を必要としている現場は、薬局の外に広くあります。
ただし、資格を取れば転職できるわけではありません
ここは正直に書きます。
衛生管理者の免許を持っているだけで企業に採用される、ということはありません。専任で衛生管理者だけを募集する求人は多くないからです。
実際に効いてくるのは、他の職種に応募したときの補強材料としてです。
- 製造業の品質管理や安全衛生の部署に応募するとき
- 総務・人事のうち、健康管理や産業保健を担当する枠に応募するとき
- 産業医や保健師と連携する立場の求人に応募するとき
- 今の会社の中で、衛生管理の担当に手を挙げるとき
「資格があるから受かる」ではなく、「関心の方向が具体的だと伝わる」という効き方です。
それでも、何も書けない状態からは明らかに前進します。
今の職場の中でも使えます
転職の話だけではありません。
自分の会社に衛生管理者が置かれているか、確認してみてください。50人以上の事業場なら義務があります。
本社機能を含めて50人を超えている薬局チェーンは珍しくありません。誰がその役割を担っているか、社内で知られていないこともあります。
ここに手を挙げると、店舗の外の仕事に触れる機会が生まれます。健康診断の管理、長時間労働者への対応、職場環境の点検。どれも本部の仕事に近い領域です。
本部や管理部門へ移りたいと考えている場合、内部から入口を作る方法になります。
会社が本気かどうかは、ここで分かります
応募先が安全衛生をどう扱っているかは、いくつかの点で見えます。
- ① 衛生管理者が形だけの選任になっていないか(名前だけ登録されて実務がない状態)
- ② 衛生委員会が実際に毎月開かれ、議事録が残っているか
- ③ 健康診断の事後措置が行われているか(受けさせて終わりになっていないか)
- ④ 長時間労働者への面接指導の仕組みがあるか
- ⑤ 資格取得や研修の費用と時間を、会社が出しているか
①は特に分かりやすい指標です。形だけの選任をしている会社では、その役割に手を挙げても仕事の中身は増えません。
面接で「衛生委員会はどのくらいの頻度で開かれていますか」と聞けば、返ってくる答えで見当がつきます。
順番はこうなります
STEP1 まず免許を申請してください。試験がないので、書類を揃えれば進みます。これは今日から着手できます。
STEP2 自分の会社に衛生管理者が置かれているか、誰が担当しているかを確認してください。空きがあるなら、手を挙げる価値があります。
STEP3 そのうえで、安全衛生や産業保健に関わる求人が実際にどんな条件で出ているかを見てください。ここは自分では探しにくい領域です。
STEP1を飛ばして先に求人を見ると、結局「書けるものがない」に戻ってしまいます。手元の材料を1つ増やしてからのほうが、話が進みます。
薬局の外にも、薬剤師を必要としている場所はあります
企業の安全衛生や産業保健の領域は、薬剤師が想像しているより広く開いています。ただ、求人票が薬剤師向けの言葉で書かれていないため、探しにくいのが実情です。
複数の業界を見ているエージェントであれば、こちらの経歴と資格を見たうえで、どの枠なら通るかを整理してもらえます。「企業に興味はあるが、何から見ればいいか分からない」という相談の仕方で構いません。
自分の経歴が薬局の外でどう評価されるのかを知るだけでも、判断材料になります。登録・相談は無料です。
▶ あわせて読みたい:【必見】企業薬剤師という選択肢|病院・薬局に限界を感じたあなたへ
まとめ|使われていない資格が、手元にあります
薬剤師免許を持っている時点で、第一種衛生管理者は申請するだけで取れます。
それ自体が転職を約束するものではありません。ただ、企業側に通じる言葉で自分を説明できる材料が、ひとつ増えます。
調剤しかやってこなかったから、と止まっている状態を、書類の提出だけで動かせるということです。
手元にあるものを使っていないだけ、という状況は、思っているより多いと思います。
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よくある質問(FAQ)
Q. 転職エージェントは本当に無料で使えますか?
A. はい、求職者(薬剤師)側は完全無料です。エージェントは採用企業から成功報酬をもらうビジネスモデルのため、転職者に費用は一切かかりません。
Q. 複数のエージェントに登録しても問題ありませんか?
A. 問題ありません。2〜3社に同時登録して求人やサポートを比較することが、転職成功の近道です。多くの転職成功者が複数登録を活用しています。
Q. 登録したら必ず転職しなければなりませんか?
A. いいえ、転職しなくても問題ありません。「まず求人を見てみたい」「自分の市場価値を確認したい」という目的での登録も歓迎されています。
Q. 在職中でも転職活動はできますか?
A. 可能です。在職中の方が精神的・経済的に余裕があり、好条件の求人をじっくり吟味できます。エージェントも在職中のサポートに慣れているので安心です。
Q. 年収交渉はエージェントに任せられますか?
A. はい、ほとんどの薬剤師専門エージェントが年収交渉を代行しています。自分では言いにくい交渉もプロが代行するため、年収アップの確率が高まります。
この記事の運営者:ぴろしき
調剤併設ドラッグストアで働く現役の管理薬剤師・薬局長。自身のパワハラ・転職経験をもとに、薬剤師が働きやすい環境を選ぶための情報を発信しています。詳しいプロフィールはこちら



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