門前薬局で働いていて、ふとこう思ったことはないでしょうか。 「この診療所が閉まったら、うちはどうなるんだろう」 2026年上半期、その不安を裏づける数字が出ました。
2026年上半期、医療機関の倒産が過去最多になりました
帝国データバンクの調査によると、2026年上半期の医療機関(病院・診療所・歯科)の倒産は39件。上半期としては過去最多です。前年同期の35件を上回りました。
内訳を見ると、診療所が19件で、これは過去20年で最も多い数字です。歯科が15件、病院が4件と続きます。
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東京商工リサーチの集計では38件とされ、上半期として2番目の多さ。倒産の要因では「後継者難」が最多となっています。
背景として挙げられているのは、物価高と人件費の高騰による収益力の悪化、そして経営者の高齢化と後継者不足です。
薬局の話ではありません。ただ、門前薬局にとっては自分の話です。
処方元が閉じるとき、薬局に起きること
門前薬局の収益は、目の前の医療機関の処方箋に支えられています。応需元が1つに偏っているほど、その依存度は高くなります。
その医療機関が閉院したら、何が起きるか。
- 処方箋枚数が一気に落ちる。段階的にではなく、閉院した翌日から
- 在庫していた医薬品の多くが動かなくなる
- 店舗の維持が難しくなり、統廃合や閉局の判断が早まる
- 働いている薬剤師には、異動か退職かの選択が突然やってくる
重要なのは、これが予告なく来ることです。医療機関の閉院は、薬局に事前相談されるとは限りません。
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「後継者難」が最多という事実の意味
倒産の要因で後継者難が最多だという点は、薬剤師にとって特に重要です。
経営悪化による倒産なら、経営状態から兆候が読めることがあります。患者数の減少、設備の老朽化、スタッフの離職。
ですが後継者難は違います。経営が順調でも、院長が高齢で継ぐ人がいなければ、ある日終わります。
つまり「繁盛しているから安心」とは限らないということです。
そして院長の年齢は、多くの場合、調べれば分かります。
自分の薬局のリスクを測る方法
難しい分析は要りません。次の項目を確認するだけで、かなり見えてきます。
- 処方箋の何割が、1つの医療機関から来ているか
- その医療機関の院長は何歳くらいか
- 後継者にあたる医師が在籍しているか
- 分院や法人化など、承継の準備がされている様子があるか
- 自分の薬局に、処方箋応需以外の収益(在宅、施設、OTCなど)があるか
- 会社が他の応需元を開拓する動きをしているか
最初の項目が8割を超えていて、院長が60代後半以上で、後継者が見えないなら、それは構造的なリスクです。
悲観する必要はありませんが、知らないままでいる理由もありません。
会社が備えているかどうかで、あなたの選択肢が変わります
応需元のリスクは、薬局の経営者も当然分かっているはずです。問題は、分かったうえで何をしているかです。
- 在宅や施設対応を増やして、処方箋以外の柱を作っている会社
- 複数の医療機関から応需できる立地に新店舗を出している会社
- 同じ地域に複数店舗を持ち、統廃合しても雇用を維持できる会社
- 何もせず、今の処方箋数が続く前提で運営している会社
最後の会社にいる場合、処方元が閉じた瞬間に選択肢がなくなります。
会社に体力があれば異動で済みますが、店舗が1つか2つなら、その選択肢すらありません。
確かめる順番
STEP1:依存度を数字で把握する
まず、処方箋の応需元の内訳を確認してください。何割が1つの医療機関からか。
8割を超えているなら、それは「その医療機関と運命を共にする」という意味です。
STEP2:会社の備えを聞く
「応需元が閉院した場合、この店舗はどうなりますか」と聞いてみてください。
答えが用意されているか、考えたこともないか。それで会社の姿勢が分かります。
STEP3:慌てて動かなくて済む状態を作る
今すぐ転職する話ではありません。ただ、いざというときに慌てないために、どんな求人があるかを知っておくことには意味があります。
閉院が決まってから動く人と、その前から相場を知っている人とでは、選べるものが違います。
柱を増やしている薬局は、確かにあります
処方箋応需だけに頼らず、在宅や施設対応で収益源を分散させている会社は実在します。
どちらの側の会社かは、外からは見えません。求人票に書かれるのは条件だけで、「数字が動いたときに何をした会社なのか」は載らないからです。
ただ、複数の薬局を見ているエージェントであれば、応募前に確認してもらえます。「今すぐ転職する」ではなく「今の条件が業界の中でどのあたりか知りたい」という相談の仕方で構いません。
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まとめ|数字が示しているのは、あなたの足元の話です
診療所の倒産が過去20年で最多という数字は、業界ニュースとして流れて終わりがちです。
ただ門前薬局で働いているなら、これは統計ではなく、目の前の建物の話です。
応需元の割合を確認する。院長の年齢を知っておく。会社の備えを聞く。
どれも今日できることです。閉院が決まってからでは、選べる範囲が狭まります。
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この記事の運営者:ぴろしき
調剤併設ドラッグストアで働く現役の管理薬剤師・薬局長。自身のパワハラ・転職経験をもとに、薬剤師が働きやすい環境を選ぶための情報を発信しています。詳しいプロフィールはこちら



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