ドラッグストアの薬剤師って給料高いよね。転職先に考えてるけど、実際の仕事ってきついのかな?
ドラッグストアはOTC専属でやるのか、調剤専属でやるのか、両方やるのかによっても業務内容が大きく変わってきます。
また、店長やエリアマネージャーのような本部スタッフなど様々な役職がありどの役職に就くかによっても異なります。
ドラッグストアは調剤薬局や病院に比べると比較的高給と言われています。
「品出しがきつそう…」「レジ打ちがツラそう…」などネガティブなイメージもあると思いますが、今回は現役の大手ドラッグストア正社員の私がドラッグストアの業務内容について解説していきたいと思います。
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OTC薬剤師の業務
開店作業
読んで字のごとく開店の為の作業です。
✅店舗の鍵開け
✅本社やエリアマネージャーからのメールチェック
✅釣銭の準備
✅レジの立ち上げ
✅店頭(店の前の客寄せ商品)の売り場作り
✅朝礼(パートさん等他のスタッフへの情報共有)
✅必要に応じて清掃
etc.
朝は多くの作業があるので忙しいです。
上記を全て開店前に終えて、営業スタートです。
あんまり薬剤師っぽい業務は無いんですね。
そうですね。開店前はお客さんもいませんから、”薬剤師として”というよりは”ドラッグストアの従業員として”の業務が多いと思います。
レジ打ち
薬学生や薬剤師に人気が無いワードです(笑)
しかしながら小売・サービス業である以上レジ打ちは避けては通れません。
レジ担当は店の顔でもあります。
「終わり良ければ総て良し」という言葉もありますが、レジ応対の良し悪しで顧客の満足度も大きく変わります。
業界として、クレームの発生の半数以上がレジ応対によるものです。
また、支払い方法に関しても現金、クレジットカード、QR決済、交通系IC、クオカードに加えコロナ関連の旅行クーポンなど、様々な方法があり全てに対応する必要があります。
さらに返品の対応があったり、アプリの販促があったり、商品の場所を聞かれたり、レジ打ちは実はかなりのマルチタスクです。
コンビニでのバイト経験がある人はイメージが湧くでしょうか。
レジが大切なことは良く分かったけど、薬剤師がやる必要あるのかな?
実はOTC担当の薬剤師はレジを任されることが多いです。なぜなら、要指導・一類医薬品を購入の方への説明がスムーズに済むからです。薬剤師があまり売り場をウロウロしていては、お客さんが商品をレジに持ってくる度にレジに走らなければいけなくなりますからね。
接客・カウンセリング
ドラッグストアの売り場には日々様々な悩みを抱えたお客さんが来店されます。
😷「風邪をひいたようなので私に合う薬を教えて欲しい」
🤢「二日酔いに効くドリンクは無いかな?」
😓「擦り傷を早く治すにはどうすればいいだろうか」
個々のお客さんに合う商品を紹介する事は大前提ですが、その上で”高利品”や”推奨品”と呼ばれる会社にとっての利益が高い商品を販売していかなければなりません。
自分の知識や話術で高利品を販売していく事は調剤だけでは決して味わう事の出来ないやりがいとなるでしょう。
さらに接客の対象となる商品は医薬品に限りません。
医療衛生用品やサプリメント・健康食品、日用品に化粧品と多岐にわたります。
特にサプリメントや化粧品などの分野では薬剤師としての化学の知識が活きます。
OTC薬剤師の腕の見せ所でもあります。
これは薬剤師っぽい!やりがいがありそうですね。
自分の頑張りが数値(売上)として直に反映されます。ハマる人は調剤よりもやりがいを感じるでしょう。
発注・品出し業務
売り場に並べる商品を発注し、納品された商品を売り場の棚に品出ししていく業務です。
発注は、POTと呼ばれるハンディサイズの機械やPCからオンラインで行います。
一般的なドラッグストアでは自動化されており、売れた商品がその分自動で納品されるようになっています。
しかしながら自動システムのみに頼っていては季節性のある商品やトレンドになっている商品に対応できません。
必ず売れる商品を目利きした上での手動発注によるフォローが必要になります。
また、納品された商品を品出しする際も適当に商品を置いていては売れるものも売れません。
顧客の動線を分析した上で、最も商品を手に取ってもらえるような置き方を考えたり、あえて空きを作っておいて商品が売れているように見せかける等、様々なテクニックを駆使して品出ししていきます。
ただ商品を置いているわけじゃないんですね!
ドラッグストアの業務は品出し一つ取っても奥が深いです。意外と自分が気づかずに買わされているだけかもしれませんよ(笑)
売り場づくり
売り場づくりは小売業において大変重要な業務です。
前述した接客・カウンセリングが“粗利”の要だとしたら、売り場づくりは“売上”の要になります。
いかに顧客が勝手に買ってくれるかを考えながら売り場を作るのです。
とはいえ、大手のドラッグストアであれば基本的な売り場づくりの方針は時季ごとに本部から指示がきます。(季節ごとに大きく売り場を変える事を“棚替え”“パターン替え”と呼びます。)
一から自分で考えるということはないのでご安心ください。
しかしながら、本部からの指示は基本的に一律です。
売れる商品には地域性が大きく現れます。
例えば、繫華街にある店舗では二日酔い対策のアイテムや500ml以下のペットボトルが良く売れます。
住宅街にある店舗では紙オムツや洗剤などの大容量品が、オフィス街ではポケットサイズのお菓子や鎮痛剤などが良く売れるといった具合です。
このように、自店の売れ筋を把握して、本部からの指示をマイナーチェンジしながら売り場を作り上げていく必要があるのです。
これらの知識は薬学部で学ぶことはありません。教えてくれる先輩がいてくれればいいですが、そのような優しい先輩ばかりではないというのも現実としてあります。
自分で学ぶためには、販売士検定の勉強がオススメです。
売り場づくりって面白そう!自分が心を込めて作った売り場が繁盛したら楽しいでしょうね!
私も自分が作った売り場から商品が売れていると嬉しかったことを覚えています。ちなみに販売士検定は、ドラッグストアでの勤務経験が無い人は3級からスタートしても良いですが、勤務経験がある人にとっては難易度が高い試験ではないので、いきなり2級からスタートしてもOKです!
クリンリネス・期限切れチェック・廃棄処理
クリンリネスという言葉は聞きなれないかもしれません。
要は「きれいに保っておく」という事なのですが、以下の5Sと呼ばれる5つのSを理解しながら進める事でより効果的に機能します。
✅整理:不要なものを処分する
✅整頓:決まった場所に物を置き、必要な時にすぐに使えるようにする
✅清掃:掃除する
✅清潔:上記3つを維持する
✅しつけ:ルールなどを守る習慣をつける
5Sはドラッグストアでの業務を効率的に進めるために重要な考え方です。
「仕事が出来る人のデスク周りはキレイ」という話もありますが、それは5Sを無意識に行っているといえます。
また、ドラッグストアでは有効期限がある商品を数多く取り扱う為、定期的な期限切れチェックや期限が切れた商品の廃棄処分も業務としてあります。
有効期限の確認自体はルーティン化しておいて、バイトの学生さんなどにやってもらう事が多いでしょう。
最終チェックや廃棄処理そのものは一般的には社員が行います。
医薬品は比較的有効期限が長いものが多いですが、パンやおにぎり、乳製品などを取り扱う店舗では毎日期限切れチェックを行います。
あんなにたくさんの商品の期限を確認するのね💦
期限が切れた商品を販売するわけにはいかないので、とても重要な業務です。大変ですが、スタッフみんなで手分けして行います。
棚卸(たなおろし)
実在する商品を販売する業種では必ず存在する業務です。
ドラッグストアだけでなく、調剤薬局などでも行います。
棚卸は一般的に年に2回、全ての商品の数をカウントしていく業務です。
店休日がある店舗は店休に合わせて行いますが、年中無休店舗では夜の閉店後~翌朝の開店前にかけてカウントしていきます。
少人数の社員+棚卸の業者で行います。
棚卸を行う理由が色々ありますが、主な目的は下のツイートの通りです。
【棚卸って何の為⁇】
— ぴろしきブログ@元人事の薬局長 (@piroshiki_p) June 24, 2023
ざっくり結論👉「利益を確定する為」
✅売上総利益=売上−売上原価
✅棚卸では〝売上原価〟を求めている
商品を扱う職業である以上棚卸の理解は重要です😤
分からない人は簿記を勉強しよう!
薬剤師にも役立つ??全員必須の資格「簿記3級」とは https://t.co/8gbb3TsPRG
棚卸をする事で利益が分かるようになるのね。私も簿記やらなくちゃ!
会社は存続していく上でその期の利益が分からなければ次の行動に移れませんし、株主への説明も出来ません。ただ数を数えているだけと侮らないようにしましょう。
ツイートでも説明していますが、棚卸を理解するためには「売上」「原価」「利益」「資産」などについて把握しておく必要があります。
例えば、あなたは“経常利益”と“営業利益”の違いを答えられるでしょうか。
少し厳しい言い方ですが、こういう話を分からなくていいのはアルバイトだけです。社員として勤務する以上はこのあたりは理解しておく必要があります。
😱「良く分からないけど何を勉強したらいいか分からないよ~」
って方は、先述の『販売士検定』や下記の『簿記』の勉強をオススメします。
閉店作業
基本的には開店作業と逆のことをします。
レジのお金が合っているか確認したり、各所の鍵を閉めたり、店頭に出している商品を片づけたりします。
また、売れてしまった商品の棚への補充なども大切です。
ドラッグストアは21時や22時閉店が多いです。
スムーズに終わらせて早く帰宅したいところですね。
1日の締めですね。OTCの薬剤師って思っていたより色んなことをやるんですね!
特に正社員薬剤師だと早番よりも遅番の方が多くなると思います。気を緩めずにキチンと締め作業を行いたいですね。
調剤薬剤師の業務
ドラッグストアで勤務する場合も、調剤専属で勤務するのなら調剤薬局と仕事の流れは同じです。
なので、今回の記事では割愛いたします。
ドラッグストアに就職しても調剤だけやっているという事もあるんですね!
そうですね。私も今は調剤のみで働いています。会社によっては調剤をするかOTCをするかで給料が変わってくるところもあるので、よく確認しておきたいところですね。
薬剤師の給料は一般的に
ドラッグストア>調剤薬局
となっていますが、
ドラッグストアで調剤専属になっているとかなりおいしいポジションで働くことが出来ると思います。
ただし、ドラッグストアでは管理薬剤師を除いてOTC(売り場)を全く触らずに勤務し続けられることはほとんどありません。
その点は頭に入れておきたいですね。
OTC薬剤師の先には何がある?
OTCの薬剤師って出世するとどうなっていくのかな?
OTC薬剤師がステップアップしていくと、一般的には店長・エリアマネージャーなどの本部スタッフへとポジションが変わってきます。
店長
その名の通り、店の長です。
店長としての業務は、先述のOTC薬剤師の業務に加え、シフト作成やパート・アルバイトの採用面接などの責任者としての業務をこなさなければなりません。
店長は管理職になりますので、プレイヤーとしての感覚を捨て、マネージャーのマインドを持って業務に当たります。
例えば、プレイヤーであれば目の前の与えられた作業にだけ集中していればよかったかもしれません。しかしながら、マネージャーは常に全体に気を配り、全体最適を考えて行動していく必要があります。
たまに、レジに入ってばかりの店長や、接客ばかりしている店長を見かけますが、それでは店全体が回りません。
「木を見て森を見ず」にならないようにしたいところです。
ちなみに店長以上の役職になると管理職手当がつき始めるのが一般的です。
ドカンと給料が上がります💴✨
店長になると視点がかわるんですね…。私も全体を意識して仕事が出来るようになりたいです!
店長になるだけではかわりませんよ(笑)訓練して、意識して変えていく事が必要です。そしてこの全体最適の感覚は、店長以外のスタッフも全員身につけておくと、仕事がスムーズに進みます。
エリアマネージャー
店長よりもさらに昇進すると、エリアマネージャーというポジションにつきます。
会社によっては「スーパーバイザー(SV)」という呼称で呼ばれたりもします。
エリアマネージャーは複数の店舗を統括する指示役です。
自分が持っているエリア全体をマネジメントします。
店舗勤務する事は一般的には無く、本部スタッフという位置づけです。
数値管理や人材管理に加え、機材が故障した場合のトラブルシューティングやテナントのオーナーとのやり取りなども業務として行います。
なんかすごそうですね…。薬剤師がやってるイメージは無いけど、薬剤師でもなれるものなんですか?
このレベルになると、本当に優秀な人が多いですね。薬剤師でもエリアマネージャーをしている人もいますよ!私自身、何人かの薬剤師エリアマネージャーの下で働いていた事があります。
その他本部スタッフ
エリアマネージャー以外の本部スタッフになることもあります。
自社商品の開発担当や、メーカーとの窓口になるバイヤー、人材採用や教育を行う人事部など、ドラッグストアの本部スタッフは多岐にわたります。
このような役職に就くと、薬剤師としての知識は全くと言って良いほど使わなくなるので、好みは分かれてくるかもしれません。
自分で開発した商品がお店に並んでいたり、自分が採用した薬剤師が現場で活躍していたりするのはすごくやりがいがありそうですね!
確かにやりがいはすごくあると思います。私は以前人材採用の部署にいましたが、今でも当時自分が採用した薬剤師の子たちが活躍しているという話を聞いたりすると、誇らしく思います(笑)
まとめ
薬剤師がドラッグストアに入社するとどのような業務になるのかイメージがついたでしょうか。
“医療”よりも“ビジネス”の色が濃くなりますので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ハマる人にはハマる道です。
私自身、新卒でドラッグストアに入社して現在もドラッグストア勤務ですが、薬剤師の就職先としてはかなり待遇も良く、楽しく働いています。
ドラッグストアは昔は名前を書けば誰でも入社できるようなイメージがあったかもしれませんが、今はそんなことはありません。
しっかり対策をしていかないと普通に落とします(元人事として、老婆心ながら)。
その対策には、転職エージェントの協力が不可欠です。
転職エージェントは転職活動の専門家です。
我々が持っていない情報やスキルを数多く有しています。
ドラッグストアの業種に興味を持った方はぜひ下記リンクから、転職エージェントを利用してみてください。
この記事が転職活動をする薬剤師の皆さんの一助になれば幸いです。
薬剤師の転職&派遣ならファルマスタッフ
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