厚生労働省は2026年10月27日、アトピー性皮膚炎の外用薬プロトピック軟膏0.03%小児用(一般名:タクロリムス水和物)の「使用上の注意」を改訂するよう指示しました(医薬安発1027第1号)。禁忌の対象が「2歳未満」から「生後6カ月未満」に変わり、生後6カ月から2歳未満の子どもにも使えるようになります。
この記事では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公表した改訂内容と新旧対照表をもとに、何が変わったのか、根拠になった試験、薬局で確かめておきたいことをまとめます。
※2026年11月1日時点で、PMDAの「使用上の注意の改訂指示通知(医薬品)2026年度指示分」に掲載された資料をもとにしています。個々の製品の添付文書は、最新の電子添文で確かめてください。
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この記事の要点
- 2026年10月27日、厚労省がタクロリムス水和物(小児用軟膏剤)の使用上の注意の改訂を指示
- 禁忌:「乳児又は2歳未満の幼児」→「生後6カ月未満の乳児」。生後6カ月〜2歳未満も使えるようになる
- 1回塗布量の上限の目安に「生後6カ月〜2歳未満(10kg未満)0.5g」が加わった
- 根拠は、生後6カ月以上2歳未満の22例に52週間塗った製造販売後臨床試験。副作用は2例(9.1%)
- 0.1%製剤は、生後6カ月以上の子どもには引き続き使わない(0.03%製剤を使う)
何が変わったか
プロトピック軟膏0.03%小児用の主な変更点は次のとおりです。
| 項目 | 改訂前 | 改訂後 |
|---|---|---|
| 2. 禁忌 | 低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児 | 低出生体重児、新生児又は生後6カ月未満の乳児 |
| 9.7 小児等 | 2歳未満の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない | 生後6カ月未満の乳児等を対象とした臨床試験は実施していない |
| 16・17項 | ― | 生後6カ月以上2歳未満を対象とした製造販売後臨床試験の成績を追記 |
出典:PMDA「改訂内容(タクロリムス水和物(小児用軟膏剤))」、「タクロリムス水和物の「使用上の注意」等の改訂について」(2026年8月24日)
1回塗布量の上限の目安
用法・用量に関連する注意(7.1)の表に、生後6カ月〜2歳未満の区分が加わりました。2歳〜5歳の区分にも「10kg以上」が書き足されています。
| 年齢(体重)区分 | 1回塗布量の上限 |
|---|---|
| 6カ月〜2歳未満(10kg未満) | 0.5g(新設) |
| 2歳〜5歳(10kg以上20kg未満) | 1g |
| 6歳〜12歳(20kg以上50kg未満) | 2g〜4g |
| 13歳以上(50kg以上) | 5g |
表の下には「参考:臨床試験時の用量」とあり、あくまで目安です。
プロトピック軟膏0.1%の記載
成人用の0.1%製剤も、小児等の項(9.7)が整えられました。
- 生後6カ月未満の乳児等:使用しないこと(改訂前は「2歳未満の幼児等」)
- 生後6カ月以上の小児等:より低濃度の0.03%製剤を使用し、本剤は使用しないこと(改訂前は「2歳以上の小児等」)
つまり、子どもに使うのは0.03%小児用だけという考え方は変わりません。
根拠になった試験
改訂のもとになったのは、生後6カ月以上2歳未満のアトピー性皮膚炎の子どもを対象にした国内の製造販売後臨床試験(jRCT2031230181)です。新旧対照表に追記される内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 軽症以上の生後6カ月以上2歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者22例(非盲検・非対照) |
| 塗り方 | 1日1〜2回、1回最大0.5g(試験中に2歳になった場合は1.0g)を52週間 |
| 効果(EASI=湿疹の範囲と重症度の点数の、変化率の平均) | 4週後 -77.80%、52週後 -82.25% |
| 副作用 | 9.1%(2/22例):膿痂疹1例、適用部位刺激感1例 |
| 血中濃度 | 21例で測定し、いずれも定量下限(0.5ng/mL)未満 |
PMDAは、この試験の成績から、専門委員の意見も踏まえて改訂が適切と判断したとしています。一方で、生後6カ月未満を対象とした臨床試験は行われていないため、生後6カ月未満は引き続き禁忌です。また、22例の非対照試験であることも、患者さんの家族に説明するときに知っておきたい点です。
薬局で確かめておきたいこと
処方監査と疑義照会
これまでは、2歳未満の子どもへのプロトピック軟膏0.03%小児用の処方は禁忌に当たるため、疑義照会の対象でした。改訂後は、生後6カ月以上であれば禁忌には当たりません。一方、生後6カ月未満への処方や、子どもへの0.1%製剤の処方は、引き続き確認が必要です。
システムの禁忌チェック
レセコンや薬歴の禁忌・年齢チェックが改訂前の「2歳未満」のままだと、使えるようになった年齢で警告が出たり、逆に設定を外した結果、生後6カ月未満で警告が出なくなったりすることがあります。添付文書の情報がいつ更新されるか、自分の薬局のシステムでどう表示されるかを確かめておくと安心です。
塗る量の説明
生後6カ月〜2歳未満は、1回の上限の目安が0.5gと少なめです。処方量と塗る範囲から、1回にどれくらい使うことになるかを家族と一緒に確かめ、塗りすぎや、怖がって塗らなすぎにならないように説明するとよいでしょう。
後発品の添付文書
改訂の指示は一般名の「タクロリムス水和物(小児用軟膏剤)」に対して出ています。後発品を扱っている場合は、その製品の電子添文が改訂済みかどうかも確かめてください。
添付文書の改訂を追う仕事
添付文書の改訂は、こうした臨床試験や副作用の報告をもとに、製薬会社とPMDA・厚労省がやり取りして決まります。製薬会社で安全性情報を扱う仕事は薬剤師の安全性情報(ファーマコビジランス)への転職で紹介しています。薬局のなかで改訂の情報をどう共有するかは公開ヒヤリ・ハット事例から考える薬局の情報共有も参考になります。
よくある質問
Q. プロトピック軟膏0.03%小児用は、何歳から使えるようになりましたか?
2026年10月27日の改訂指示で、禁忌が「低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児」から「低出生体重児、新生児又は生後6カ月未満の乳児」に変わりました。生後6カ月以上なら禁忌には当たらなくなります。効能・効果はアトピー性皮膚炎のままです。
Q. 生後6カ月〜2歳未満の子どもの1回の塗る量は?
用法・用量に関連する注意に、生後6カ月〜2歳未満(10kg未満)の1回塗布量の上限の目安として0.5gが加わりました。2歳〜5歳は「10kg以上20kg未満」で1gと、体重の区分も書き直されています。
Q. プロトピック軟膏0.1%も子どもに使えるようになったのですか?
いいえ。0.1%製剤は、生後6カ月以上の小児等には「より低濃度の0.03%製剤を使用し、本剤は使用しないこと」とされています(改訂前は「2歳以上の小児等」)。生後6カ月未満は引き続き使用しません。
Q. 後発品(ジェネリック)も同じ扱いですか?
改訂の指示は一般名「タクロリムス水和物(小児用軟膏剤)」に対して出ています。ただ、各製品の添付文書がいつ改訂されるかは製造販売業者ごとに違うため、手元の製品の最新の電子添文で確かめてください。
まとめ
- 2026年10月27日の改訂指示で、プロトピック軟膏0.03%小児用の禁忌が「2歳未満」から「生後6カ月未満」に変わった
- 生後6カ月〜2歳未満(10kg未満)の1回塗布量の上限の目安は0.5g
- 根拠は22例・52週間の製造販売後臨床試験。生後6カ月未満は試験がなく、引き続き禁忌
- 0.1%製剤は子どもには使わない。後発品は各製品の電子添文で改訂を確かめる
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