「今月あと何人、同意書もらってきて」 そう言われた経験がある薬剤師は、少なくないはずです。 2026年6月に施行された令和8年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師についても大きな見直しが行われました。報じられている方向性は、かかりつけ薬剤師に「なること」よりも、かかりつけ薬剤師として「何を行うか」を評価する、というものです。 数を追いかけてきた薬局にとっては、前提が変わったことになります。
何が変わったのか
令和8年度の改定は、全体として対人業務を重視する方向で設計されています。かかりつけ薬剤師についても、その考え方が反映されました。
同意を取った人数そのものより、その後に何をしているかが問われる仕組みへ移りつつある、ということです。
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これは本来あるべき形に近づいたと言えます。
ただ、現場から見ると別の意味を持ちます。数を集めることを目的化してきた職場ほど、方針の転換が必要になるからです。
「数だけ」を追ってきた職場で起きていたこと
同意書の獲得が目標として下りてくると、現場では次のようなことが起きます。
- 継続的に関わる見込みが薄い患者にも声をかける
- 月末に達成状況が共有され、未達の薬剤師にプレッシャーがかかる
- 同意を得たあとのフォローまでは、業務時間が確保されていない
- 結果として、名ばかりのかかりつけ関係が積み上がる
真面目な薬剤師ほど、この状況に違和感を持ちます。患者のためと言いながら、実際に見ているのは件数だからです。
その違和感は、正しいものでした。
評価の軸が変わると、必要な体制も変わります
「何を行うか」で評価されるということは、行うための時間が要るということです。
時間外の相談対応、服薬状況の継続的な確認、他職種との連携。いずれも、片手間ではできません。
ここで会社の姿勢が分かれます。
- 業務時間の中に、その活動のための時間を確保する会社
- 目標だけ据え置いて、方法は現場に任せる会社
後者では、薬剤師個人の持ち出しで成立させることになります。そしてその状態は長く続きません。
制度が正しくなっても、現場が守られるとは限りません
評価の軸が実態に近づくこと自体は、良い変化です。
ただ、制度が変わったときに現場の負担が減るとは限らないことを、私たちは何度も見てきました。
新しい評価軸に対応するには、これまでと違う動き方が必要になります。その動き方をするための人と時間を用意するのは、制度ではなく会社の仕事です。
用意されなければ、対応するのは現場の薬剤師です。
「制度が変わったので、これからは中身で評価されます」とだけ伝えられ、業務量は据え置き。この形になっていないか、確認してみてください。
見極めるポイント
- 改定後、かかりつけに関する目標の立て方が変わったか
- 同意を得たあとのフォローに、業務時間が割り当てられているか
- 件数だけが共有される会議になっていないか
- 在宅や多職種連携に、実際に人を出しているか
- 「時間がないので難しい」と伝えたとき、業務の組み替えを検討してもらえるか
最後の項目が、いちばん本質的です。
新しいことをやるには、何かをやめるか、人を増やすしかありません。それを検討しない会社は、結局すべてを現場に乗せます。
確かめる順番
STEP1:目標の中身が変わったかを見る
改定から数か月が経ちました。目標の立て方が「件数」のままなら、会社は評価軸の変化に対応していません。
STEP2:時間の確保を求めてみる
「かかりつけとしての対応に時間が必要なので、業務の組み替えを検討してほしい」と具体的に伝えてください。
検討されるか、精神論で返されるかで、その会社の体力と姿勢が分かります。
STEP3:対人業務に投資している会社を見ておく
対人業務の経験は、これからの薬剤師にとって職務経歴として評価される部分です。
積める職場にいるかどうかは、数年後の選択肢に直結します。
対人業務に時間を割ける薬局は、確かにあります
評価の軸が変わったことを受けて、業務の組み替えや人員配置に手を入れた会社は実際にあります。
同じ改定を受けても、対応は会社によって割れます。そしてその差は、外からは見えません。求人票に書かれるのは条件だけで、「制度が変わったときに何をした会社なのか」は載らないからです。
ただ、複数の薬局を見ているエージェントであれば、応募前に確認してもらえます。「今すぐ転職する」ではなく「対応している会社を知りたい」という相談の仕方で構いません。
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まとめ|数を追わされることに違和感があったなら、その感覚は正しいものでした
かかりつけ薬剤師の評価が「なること」から「何をするか」へ移るのは、本来の趣旨に近づく変化です。
ただ、それを実現するには時間が要ります。時間を用意するのは会社の仕事です。
用意しないまま「中身で評価される時代です」と言う職場では、負担はあなたに乗ります。
目標の立て方が変わったか。時間の話ができるか。そこを見てください。
違和感を抱えたまま件数を追い続ける必要は、もうありません。
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出典:薬事日報
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出典:薬事日報
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📰 乳がん治療薬「ツカイザ錠」と、進行性骨化性線維異形成症治療薬「ソホノスカプセル」とを併用禁忌に—厚労省
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この記事の運営者:ぴろしき
調剤併設ドラッグストアで働く現役の管理薬剤師・薬局長。自身のパワハラ・転職経験をもとに、薬剤師が働きやすい環境を選ぶための情報を発信しています。詳しいプロフィールはこちら



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