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ヘパリン類似物質ローション「NIT」が自主回収|ニトロソアミン検出のお知らせ、リザトリプタンOD「TCK」・セルトラリン「アメル」は回収せず。患者さんへの説明と薬局で確かめること

ニトロソアミン検出のお知らせと自主回収 転職・キャリア設計

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

医薬品にニトロソアミン類が混ざっていたというお知らせが、2026年9〜10月に相次いでPMDA(医薬品医療機器総合機構)のページに載りました。保湿剤のヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」は、一部のロットが自主回収(クラスⅡ)になっています。片頭痛薬のリザトリプタンOD錠「TCK」、抗うつ薬のセルトラリン錠・マプロチリン錠「アメル」などは、回収はせず、管理の方法を決めて出荷を続けるとしています。

この記事では、各社の案内に書かれていること、回収になる薬とならない薬の違い、患者さんに聞かれたときの説明をまとめます。

※2026年11月5日時点で、PMDAのページに掲載された各社のお知らせをもとにしています。発がんリスクの評価は各社の判断です。薬を変えるかどうかは処方医の判断で、最新の情報は各社の案内で確かめてください。

この記事の要点

  • ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」(50g・100g)は、製造から時間のたった一部のロットが自主回収(クラスⅡ、10月13日開始)
  • リザトリプタンOD錠10mg「TCK」、セルトラリン錠「アメル」、マプロチリン錠「アメル」は、検出されたが回収はしない
  • 各社は、検出された量では生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は低いと判断している
  • セルトラリン・マプロチリン・アトモキセチンの案内では、患者さんが自己判断で服用をやめないよう求めている

2026年9〜10月に載ったお知らせの一覧

製品(会社)検出された物質検出された量対応
ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」(日東メディック)N-ニトロソジイソプロパノールアミン1日許容摂取量(400ng/日)を上回る量自主回収(クラスⅡ)。2026年10月13日開始
リザトリプタンOD錠10mg「TCK」(辰巳化学)N-ニトロソデスメチルリザトリプタン一部ロットで許容摂取量の最大1.8倍処方の中止や変更は必要ないと判断。暫定管理値以下の製品のみ出荷
マプロチリン塩酸塩錠10mg・25mg「アメル」(共和薬品工業)N-ニトロソマプロチリン1日許容摂取量(18ng/日)の最大約4.8倍自主回収は行わない。原薬が入手困難なため一時供給停止中
セルトラリン錠25mg・50mg・100mg、OD錠25mg・50mg「アメル」(共和薬品工業)N-ニトロソセルトラリン錠で1日許容摂取量(100ng/日)の最大約1.8倍。OD錠は超えたロットなし自主回収・処方の停止などは行わない
アトモキセチン錠5mg・10mg・25mg・40mg「DSEP」(第一三共エスファ)N-ニトロソアトモキセチン(管理方針のお知らせ)暫定管理値(5.583ppm)以下を確かめた製品のみ出荷

出典:PMDA「医薬品におけるニトロソアミン類混入リスクへの対策」に掲載の各社のお知らせ。PMDAのページには、アトモキセチン錠「ニプロ」「トーワ」の「ニトロソアミン化合物の管理について」も載っています。

ヘパリン類似物質ローション「NIT」は一部ロットを自主回収

日東メディックは、ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」の50gと100gの製品から、N-ニトロソジイソプロパノールアミンが、1日許容摂取量(400ng/日)を上回って検出されたと案内しました。

項目案内に書かれていること
回収の種類自主回収(クラスⅡ)
回収開始日2026年10月13日
暫定管理値2680ng/日(製剤として268ng/g)。厚生労働省と協議のうえ、リスク管理措置を講じるまでの間この値で管理
回収の対象暫定管理値を上回る、または上回るおそれのある、製造から25カ月以上たった市場流通品。取りこぼしのないよう、製造から20カ月以上たった製品を定期的に自主回収する
対象ロット別紙に記載(100g×10・50g×10。使用期限2026年10月以降の多数のロット)
対象外の製品回収対象ロット以外の流通品と今後出荷する製品は、現時点では回収その他の措置は必要ないと判断
考えられる原因添加剤のジイソプロパノールアミンと、原薬や添加剤などに含まれる亜硝酸塩との反応

案内では、この製品は2024年6月14日に発売され、暫定管理値で管理した場合でも、生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は極めて低いと判断しています。この物質に関連して発がん性を示唆する重い健康被害の報告はないとしています。

出典:日東メディック「ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」ニトロソアミン化合物検出及び自主回収(クラスⅡ)に関するお知らせ」(2026年10月)

回収はしないが、管理の方法を決めた薬

リザトリプタンOD錠10mg「TCK」(辰巳化学)

自主点検で、一部のロットから、欧州当局のガイドラインの許容摂取量(18ng/日)の最大1.8倍にあたるN-ニトロソデスメチルリザトリプタンが検出されました。頓服で使う薬で、生涯飲み続ける患者さんはほとんどいないことから、許容限度値の6.7倍の暫定管理値(4.0ppm)を設定でき、検出された量はこれを下回るとしています。処方の中止や変更は必要ないと判断し、暫定管理値以下を確かめた製品だけを出荷して、2029年8月をめどに恒久的な対策をとるとしています。

出典:辰巳化学「リザトリプタンOD錠10mg「TCK」ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」(2026年10月)

セルトラリン錠・OD錠「アメル」、マプロチリン塩酸塩錠「アメル」(共和薬品工業)

セルトラリン錠では、1日許容摂取量(100ng/日)の最大約1.8倍のN-ニトロソセルトラリンが確認されました。OD錠では、許容摂取量を超えたロットはなかったとしています。マプロチリン塩酸塩錠では、1日許容摂取量(18ng/日)の最大約4.8倍のN-ニトロソマプロチリンが確認されました。

どちらも、2025年6月の厚生労働省のQ&Aに基づいて暫定管理値を決め、検出された量はこれを下回るとして、自主回収は行わないとしています。2029年10月をめどに、許容摂取量以下の製品を安定して届けるための対策を進めるとのことです。マプロチリン塩酸塩錠「アメル」は、原薬が手に入りにくく製造が遅れたため、一時供給停止中です。

2つの案内とも、服用をやめると離脱症状などがあらわれることがあるとして、患者さんが自己判断で服用をやめないよう求めています。

出典:共和薬品工業「セルトラリン錠「アメル」ほか ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」(2026年10月)、共和薬品工業「マプロチリン塩酸塩錠「アメル」ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」(2026年10月)

アトモキセチン錠「DSEP」(第一三共エスファ)

N-ニトロソアトモキセチンについて、厚生労働省と協議し、暫定管理値(5.583ppm)で管理して、これ以下を確かめた製品だけを出荷すると案内しました。許容限度値0.83ppm以下にするための製剤開発も進めているとしています。案内には、厚生労働省が、患者さんが自己判断で服用をやめないよう医療機関で説明してほしいと周知を依頼していることも書かれています。

出典:第一三共エスファ「アトモキセチン錠「DSEP」ニトロソアミン化合物の管理について」(2026年9月)

「許容摂取量」と「暫定管理値」の考え方

各社の案内によると、国内外のガイドライン(ICH-M7(R2))では、医薬品に含まれるニトロソアミン類は、10万人に1人の頻度で発がんを起こす量を超えないように管理することが推奨されています。この許容摂取量は、1日の最大量を生涯(70年間)とり続けることを前提に決められています。

実際には、頓服の薬や、何十年も使い続けるとは限らない薬もあります。そのため、恒久的な対策がとられるまでの間は、使う期間などを考えて許容摂取量の6.7倍などの「暫定管理値」で管理することができる、と各社は説明しています。回収になるかどうかは、この暫定管理値を超えるかどうかで分かれています。

薬局で確かめておきたいこと

  • ヘパリン類似物質ローション「NIT」の在庫のロット:案内の別紙のロット番号と照らし、対象があれば卸の案内に沿って回収に協力する
  • 患者さんからの問い合わせ:会社は発がんリスクを著しく高める可能性は低いと判断していること、自己判断でやめないことを伝える。薬を変えたいという相談は処方医につなぐ
  • 抗うつ薬・ADHD治療薬の患者さん:セルトラリン、マプロチリン、アトモキセチンは、急にやめると症状が出ることがあると案内されている。不安から自己中断しないよう、渡すときに一言添える
  • 情報の共有:PMDAのページは製品ごとに追加されていく。誰が確かめて、店舗の誰に伝えるのかを決めておく

同じ時期の供給の動きは、「サワイ」の限定出荷・供給停止の記事でまとめています。似た名前の薬の取り違えについては、ファンギゾンとアムビゾームの取り違えの記事も参考にしてください。

回収や品質の情報を流す仕組みは職場によって違う

回収や品質のお知らせは、卸やメーカーからの連絡、PMDAのメール配信など、いくつもの経路で届きます。本部がまとめて対象店舗に指示を出してくれるのか、店舗の薬剤師がそれぞれ確かめるのかで、窓口の負担は大きく変わります。転職を考えるときは、次の点も聞いてみましょう。

確かめること聞き方の例
回収の情報の流れ「回収や品質のお知らせは、本部からどのように届きますか」
在庫の確認「ロットの確認や返品の作業は、誰が担当していますか」
患者さんへの説明「問い合わせが多いお知らせのとき、説明の文面は用意されますか」

よくある質問

Q. ヘパリン類似物質ローション「NIT」は、すべて回収ですか?

いいえ。日東メディックの案内では、製造から25カ月以上たった市場流通品を回収の対象とし、それを取りこぼしのないよう、製造から20カ月以上たった製品を定期的に自主回収するとしています。対象ロットは案内の別紙に載っており、それ以外の流通品と今後出荷する製品は、現時点では回収などの措置は必要ないと判断されています。

Q. ニトロソアミンが検出された薬を飲んでいた患者さんには、何と伝えればいいですか?

各社は、検出された量では生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は低い(またはほとんどない)と判断しています。セルトラリン・マプロチリン・アトモキセチンの案内では、自己判断で服用をやめないよう求めています。心配な患者さんには、まず自己判断でやめないことを伝え、薬を変えるかどうかは処方医に相談するよう案内します。

Q. なぜ回収する薬と、回収しない薬があるのですか?

各社は、厚生労働省と協議したうえで、使う期間などを考えた「暫定管理値」を決めています。ヘパリン類似物質ローション「NIT」は、暫定管理値を上回る、または上回るおそれのある古い製品を回収します。リザトリプタンOD錠「TCK」やセルトラリン錠「アメル」などは、検出された量が暫定管理値を下回るとして、回収や処方の変更は必要ないとしています。

Q. ニトロソアミンとは何ですか?

アミン類と亜硝酸塩からできる化合物で、体の中で変化してDNAを傷つけ、発がん性を示すことがあると考えられています。食品などを通じて日常生活でも一定量をとっています。国内では2021年10月に厚生労働省が、製造販売業者に混入リスクの自主点検を求める通知を出しています。

まとめ

  • 2026年9〜10月、ニトロソアミン類の検出のお知らせがPMDAのページに相次いで載った
  • ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」は、製造から時間のたった一部のロットが自主回収(クラスⅡ)
  • リザトリプタンOD錠「TCK」、セルトラリン錠・マプロチリン錠「アメル」は回収せず、暫定管理値以下の製品を出荷する
  • 患者さんには、自己判断でやめないこと、心配なら処方医に相談することを伝える

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