「近くの薬局に転職したら、トラブルになるかな」「入社のときに書いた誓約書に、同業他社への転職を禁じる内容があった」。薬局やドラッグストアからの転職では、こうした不安を感じる人もいるでしょう。
この記事では、競業避止(同業他社への転職などを制限する約束)と秘密保持の考え方、薬剤師が特に気をつけたい患者情報の扱い、転職前に確かめたいことをまとめます。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- 就業規則や誓約書に、退職後の競業を制限する決まりがあることがある。まず内容を確かめる
- 退職後の競業を制限する約束がどこまで有効かは、制限の期間・地域・職種、代わりの措置などの事情で個別に判断される
- 薬剤師には、業務上知った人の秘密を漏らしてはならないという刑法の決まりがある
- 患者情報や会社の資料を持ち出さない。患者さんに転職先へ移るよう働きかけない
競業避止とは
競業避止とは、在職中や退職後に、勤めていた会社と競合する仕事をしないという約束のことです。就業規則や、入社・退職のときの誓約書に書かれていることがあります。
在職中は、会社の利益を損なわないように働くことが求められます。一方、退職後の転職先を選ぶことは本来自由であり、退職後の競業を制限する約束がどこまで有効かは、次のような事情を考えて個別に判断されるとされています。
| 判断のときに考えられる事情 | 例 |
|---|---|
| 制限の期間 | 退職後どのくらいの期間か |
| 制限の地域 | どの範囲の地域か |
| 制限される仕事 | 同じ職種すべてか、特定の業務だけか |
| 立場 | 経営に関わる情報を扱っていたか |
| 代わりの措置 | 制限に見合う手当などがあったか |
自分の誓約書の内容が気になるときは、写しを手元に置き、必要に応じて労働問題に詳しい専門家や総合労働相談コーナーに相談しましょう。
薬剤師が特に気をつけたい秘密の扱い
刑法第134条では、薬剤師や、薬剤師であった人が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知った人の秘密を漏らしたときの罰則が定められています。退職したあとも同じです。
また、不正競争防止法では、秘密として管理されている、事業に役立つ技術上・営業上の情報で、公然と知られていないものを「営業秘密」としています。
| 気をつけたいこと | 具体的には |
|---|---|
| 患者情報 | 薬歴や患者さんの連絡先を、写真やメモで持ち出さない |
| 会社の資料 | マニュアル、取引条件、売上の資料などを持ち出さない |
| 患者さんへの働きかけ | 「転職先に来てください」と誘わない |
| 同僚への働きかけ | 在職中に、同僚へ一緒に辞めるよう強く働きかけない |
転職前に確かめたいこと
- 就業規則と、入社のときに書いた誓約書の内容を確かめる
- 退職のときに新しい誓約書を求められたら、内容を読んでから署名を判断する
- 転職先が近くの店舗や競合する会社の場合は、制限の内容に当たらないかを確かめる
- 私物の整理のときに、業務の資料やデータが混ざっていないか確かめる
引き継ぎ書の作り方は引き継ぎ書の作り方と最終日の挨拶、転職先が前職に問い合わせることがあるかは前職調査(リファレンスチェック)で紹介しています。
よくある質問
Q. 近くの薬局に転職することはできますか?
転職先を選ぶことは本来自由です。ただし、就業規則や誓約書に制限がある場合は、その内容と有効性が問題になることがあるため、まず内容を確かめましょう。
Q. 退職のときに誓約書への署名を求められました。必ず署名しなければなりませんか?
内容を読み、分からない点は説明を求めましょう。署名する前に、制限の期間や範囲を確かめることが大切です。
Q. 顔なじみの患者さんに、転職することを伝えてもよいですか?
退職のあいさつは問題ありませんが、転職先に来るよう誘うことは避けましょう。患者さんの情報を持ち出すことも、秘密の扱いの面で問題になります。
まとめ
- 就業規則や誓約書に、競業を制限する決まりがないか確かめる
- 退職後の制限が有効かは、期間・地域・職種などの事情で個別に判断される
- 薬剤師には、業務上知った秘密を漏らしてはならない決まりがある。退職後も同じ
- 患者情報や会社の資料を持ち出さず、患者さんを誘わない
転職先との関係を担当者に確かめてもらいながら進めたい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。



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