2026年7月28日、2026年度の最低賃金の目安が答申されました。全国加重平均で1,176円。前年度から55円の引き上げです。 一方、令和7年賃金構造基本統計調査によると、2025年の薬剤師の平均年収は566万7,900円。前年の599万3,200円から、およそ32万円下がっています。 下は上がり、真ん中は下がった。 この2つの数字を並べたとき、何が見えてくるかという話です。
まず、2つの数字を確認します
2026年度の最低賃金の目安は、全国加重平均で1,176円。前年度の1,121円から55円、率にして4.9%の引き上げです。
ランク別に見ると、Aランクが54円、B・Cランクが56円。都市部より地方の引き上げ額が大きく、地域間の格差を縮める方向の配分になっています。
💊 薬剤師転職をお考えなら
なお前年度は66円・6.3%の引き上げでしたから、額も率も6年ぶりに前年を下回りました。それでも過去2番目の水準です。
もう一方の数字が、薬剤師の平均年収です。令和7年賃金構造基本統計調査では566万7,900円。平均年齢40.1歳、平均勤続年数8.6年という条件での数字です。
前年は599万3,200円でしたから、1年で約32万円下がった計算になります。
この数字の読み方には注意が要ります
先に断っておくと、平均年収の増減をそのまま「給料が下がった」と読むのは正確ではありません。
統計の平均値は、調査対象の構成によっても動きます。パートや時短勤務の比率が上がれば、一人ひとりの給与が変わらなくても平均は下がります。
ですから、この32万円という数字が、そのまま個人の減給を意味しているわけではありません。
ただ、それを踏まえたうえでも、注目すべき事実は残ります。
世の中が賃上げ一色だったこの1年で、薬剤師の平均年収は上がらなかった。少なくとも、統計上はそう出ているということです。
「下限」が上がると、専門職の相対的な位置は下がります
最低賃金は、すべての働き手に適用される下限です。これが毎年上がっていくと何が起きるか。
専門職の給与が据え置きなら、下限との差が毎年縮まっていきます。
薬局で考えると分かりやすいはずです。事務スタッフの時給は最低賃金の影響を直接受けるので、毎年上がります。一方、薬剤師の時給が据え置かれていれば、その差は年々小さくなります。
「専門職なのに」という感情の問題ではありません。市場が動いているのに自分の価格だけ止まっている、という構造の問題です。
そして、この構造は放っておくと自動的に進みます。
なぜ薬剤師の給与は上がりにくいのか
理由は、収入の出どころにあります。
- 薬局の収入の大半は調剤報酬で、価格を自分で決められない
- 調剤報酬は2年に一度の改定でしか動かず、しかも下がることもある
- 一般企業のように、商品の値上げで人件費を吸収するという手が使えない
- 一方で最低賃金と物価は毎年上がるため、費用だけが先に増える
つまり構造的に、給与を上げにくい業界だということです。
ここまでは、どの薬局にも共通しています。問題はその先です。
同じ構造の中でも、会社によって差が出ます
収入が伸びにくい環境でも、対応は分かれます。
- 在宅や地域連携など、評価される業務を増やして収入源を広げた会社
- 調剤以外の事業を持っていて、薬局の収益変動を吸収できる会社
- 業務を効率化して、浮いた分を人件費に回した会社
- 何もせず、人件費を抑えることで収支を合わせた会社
最後の会社にいると、あなたの給与は上がりません。上げる原資を作る動きをしていないからです。
そして、その状態は来年も再来年も続きます。
▶ あわせて読みたい:【調剤報酬改定2026】薬局薬剤師の年収“480万円停滞”が警告サインに
確かめる順番
STEP1:この3年の自分の推移を出す
感覚ではなく、源泉徴収票を3年分並べてください。上がっているのか、横ばいなのか、下がっているのか。
横ばいなら、物価と最低賃金が上がっている分、実質的には下がっています。
STEP2:会社が収入源を広げているか確認する
在宅、地域連携、認定の取得。この数年で新しく始めたことがあるかを思い出してください。
何もないなら、給与を上げる原資を作る動きをしていないということです。
STEP3:業界内での自分の位置を知る
同じ経験年数・同じ地域で、他社がどんな条件を出しているかを見てください。
差がなければ、今の職場は悪くないと確認できます。差があるなら、それが判断材料になります。
原資を作りにいっている会社は、確かにあります
同じ調剤報酬の下でも、収入源を広げて人件費に回している会社と、人件費を抑えて収支を合わせている会社があります。
どちらの側の会社かは、外からは見えません。求人票に書かれるのは条件だけで、「数字が動いたときに何をした会社なのか」は載らないからです。
ただ、複数の薬局を見ているエージェントであれば、応募前に確認してもらえます。「今すぐ転職する」ではなく「今の条件が業界の中でどのあたりか知りたい」という相談の仕方で構いません。
自分の市場価値がいくらなのかを知るだけでも、判断材料になります。登録・相談は無料です。
▶ 動けない会社から抜け出す一つの道:【必見】企業薬剤師という選択肢|病院・薬局に限界を感じたあなたへ
まとめ|動いていないのは、あなたではなく数字のほうです
最低賃金は毎年上がります。物価も上がります。
その中で自分の給与が横ばいなら、努力が足りないのではなく、上がらない仕組みの中にいるだけです。
まず3年分の源泉徴収票を並べてください。そして、会社がこの3年で何を始めたかを思い出してください。
何も始まっていないなら、来年の数字も、おそらく同じです。
まずは無料で相談・市場価値チェック(登録3分)
ファルマスタッフやレバウェル薬剤師は薬剤師専門で、求人数・サポートともに評判の良いエージェントです。登録・相談はすべて無料。「今すぐ転職」ではなく「まず情報収集」という使い方でも問題ありません。
▶ 薬剤師転職エージェントおすすめランキング2025で転職エージェント全社を比較する
【最新業界動向】今の薬剤師が知っておきたいこと
薬剤師業界を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変わってきています。最新の業界ニュースをもとに、キャリアを考えるうえで知っておきたいポイントを整理しました。
📰 ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
出典:薬事日報
この動向が示すとおり、薬剤師を取り巻く環境は変化しています。転職エージェントで最新の求人情報を確認し、自分に合った職場を探してみることをおすすめします。
📰 薬事日報 薬学生新聞デジタル トップ
出典:薬事日報
業務のデジタル化が進む中で、薬剤師に求められる役割も少しずつ変わってきています。DXに積極的な職場へ転職することで、将来にわたって安定したキャリアを築きやすくなります。
📰 【サノフィ】投与時間短縮で負担軽減‐「サークリサ皮下注」発売
出典:薬事日報
この動向が示すとおり、薬剤師を取り巻く環境は変化しています。転職エージェントで最新の求人情報を確認し、自分に合った職場を探してみることをおすすめします。
📰 ベースアップ評価料等の報告書提出、「やむを得ず」期限(8月31日)に間に合わなかった場合は「可及的速やか」に提出を—厚労省
ベースアップ評価料等を算定するためには、前年度の賃金改善実績報告書・当年度の賃金改善中間報告書を期限までに提出することが求められる—。 本年度分(2026年度分)については、両者(2025年度分の賃金改善実績報告書・2026年度分の賃金改善…(GemMed)
薬剤師の年収は職場によって大きく異なります。転職エージェントに相談することで、自分の経験に見合った年収水準の求人を紹介してもらいやすくなります。
こうした業界の動きを踏まえると、今の職場環境や将来のキャリアについて改めて考えてみる価値はあります。転職するかどうかは別として、まずはエージェントに相談して求人情報を見てみるのもひとつの方法です。登録・相談は無料です。
関連記事
- 薬剤師の転職サイトと転職エージェントの違い【2026年版】どっちを使うべきか徹底比較
- ファルマスタッフ vs レバウェル薬剤師を徹底比較【2026年版】どちらに登録すべき?
- 薬局の8割は対応済み、処方元は4分の1──電子処方箋の非対称が現場に押しつけているもの
よくある質問(FAQ)
Q. 転職エージェントは本当に無料で使えますか?
A. はい、求職者(薬剤師)側は完全無料です。エージェントは採用企業から成功報酬をもらうビジネスモデルのため、転職者に費用は一切かかりません。
Q. 複数のエージェントに登録しても問題ありませんか?
A. 問題ありません。2〜3社に同時登録して求人やサポートを比較することが、転職成功の近道です。多くの転職成功者が複数登録を活用しています。
Q. 登録したら必ず転職しなければなりませんか?
A. いいえ、転職しなくても問題ありません。「まず求人を見てみたい」「自分の市場価値を確認したい」という目的での登録も歓迎されています。
Q. 在職中でも転職活動はできますか?
A. 可能です。在職中の方が精神的・経済的に余裕があり、好条件の求人をじっくり吟味できます。エージェントも在職中のサポートに慣れているので安心です。
Q. 年収交渉はエージェントに任せられますか?
A. はい、ほとんどの薬剤師専門エージェントが年収交渉を代行しています。自分では言いにくい交渉もプロが代行するため、年収アップの確率が高まります。
Q. ファルマスタッフとレバウェル薬剤師はどちらに先に登録すべきですか?
A. どちらも同時に登録するのがおすすめです。それぞれ独自の非公開求人を保有しているため、両方登録することで選択肢が広がります。
この記事の運営者:ぴろしき
調剤併設ドラッグストアで働く現役の管理薬剤師・薬局長。自身のパワハラ・転職経験をもとに、薬剤師が働きやすい環境を選ぶための情報を発信しています。詳しいプロフィールはこちら


コメント