高血圧の薬「テルミサルタン錠」の後発品3社の製品から、ニトロソアミン類の「N-ニトロソメグルミン」が検出されました。2026年11月5日に、PMDAのニトロソアミン類のページに、サンド、明治(Meiji Seika ファルマ/Me ファルマ)、VTRS(ダイト/ヴィアトリス製薬)のお知らせが掲載されています。
3社とも、回収や処方中止は必要ないとしています。この記事では、お知らせの内容と、患者さんに聞かれたときの説明、薬局で確かめておきたいことをまとめます。
※2026年11月5日時点で、PMDAに掲載された3社のお知らせをもとにしています。続けるか変更するかは処方医の判断です。最新の情報はメーカーのお知らせで確かめてください。
💊 薬剤師転職をお考えなら
この記事の要点
- テルミサルタン錠20mg・40mg・80mgの「サンド」「明治」「VTRS」から、N-ニトロソメグルミンが検出された(2026年11月、PMDA 11/5掲載)
- 検出量は、欧州のガイドラインの1日許容摂取量(100ng/日)の最大2.7倍。ただし暫定管理値(670ng/日)は超えていない
- 3社とも、生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は低いとして、回収や処方中止は必要ないとしている
- 自己判断で中止・変更しないよう、医師または薬剤師に相談するよう説明してほしいとしている
- 明治は2028年3月まで、VTRSは2027年12月までに、メグルミンを使わない製品への切り替えを検討
対象になった製品
| 製品 | 製造販売元・販売元 | 今後の対応(お知らせの記載) |
|---|---|---|
| テルミサルタン錠20mg・40mg・80mg「サンド」 | サンド | 切り替えの時期の記載なし |
| テルミサルタン錠20mg・40mg・80mg「明治」 | 製造販売元:Meiji Seika ファルマ、販売元:Me ファルマ | 2028年3月までに現製品の供給を終え、メグルミンを使わない製品へ順次切り替えを検討 |
| テルミサルタン錠20mg・40mg・80mg「VTRS」 | 製造販売元:ダイト、販売元:ヴィアトリス製薬 | 2027年12月までにメグルミンを使わない製品への切り替えを検討 |
3製品とも2017年6月の発売で、有効期間は3年と書かれています。
出典:サンド「テルミサルタン錠「サンド」ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」、Meiji Seika ファルマ「テルミサルタン錠「明治」ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」、ダイト・ヴィアトリス製薬「テルミサルタン錠「VTRS」ニトロソアミン化合物検出のお知らせ」(いずれも2026年11月)
検出された量と、回収しない理由
| 項目 | 3社のお知らせの記載 |
|---|---|
| 検出された物質 | N-ニトロソメグルミン(ニトロソアミン類) |
| 1日許容摂取量(欧州当局のガイドライン) | 100ng/日 |
| 検出された量 | 上の基準の最大2.7倍 |
| 暫定管理値(EMAの考え方にもとづく) | 670ng/日。これを超える量は検出されていない |
| 健康影響の評価 | 生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は低い |
| 流通している製品 | 直ちに回収・処方中止などの特別な対応は必要ない |
EMA(欧州医薬品庁)は、ニトロソアミン類を減らす対策にかかる期間を考えて、一定の期間に限り暫定的な管理値を設けることを認めています。3社はこれにもとづいて評価し、発売からの使用期間や有効期間(明治とVTRSは今後の低減措置も)をふまえて、回収は必要ないと判断したと説明しています。
ニトロソアミン類は、アミン類と亜硝酸塩などからできることがある化合物で、長い期間にわたり一定量を超えて取り続けると発がんのリスクを高める可能性があると考えられています。一方で、食品などにも含まれ、日常的に一定量を取っているとも説明されています。
10月にも、ヘパリン類似物質ローションなどでニトロソアミン類の検出が相次ぎました。経緯はヘパリン類似物質ローション「NIT」の自主回収とニトロソアミン検出の記事で解説しています。
患者さんに聞かれたときの説明
ニュースで「発がん性物質」と聞くと、薬をやめたくなる患者さんもいます。3社は、高血圧の治療を中断すると血圧の管理に影響するおそれがあるため、自己判断で中止・変更しないよう、医師または薬剤師に相談するよう説明してほしいとしています。たとえば次のように伝えられます。
「メーカーの検査で、ごく微量の不純物が見つかったというお知らせが出ています。メーカーは、健康への影響は低いと評価していて、回収もしていません。急にやめると血圧が上がるおそれがあるので、自己判断でやめずに続けてください。心配なときは、次の受診のときに先生にも相談しましょう。」
- 飲むのを自分でやめない・量を変えないことを、まず伝える
- どのメーカーの製品を飲んでいるかは、薬の袋やシートの「サンド」「明治」「VTRS」の表示で分かる
- 変更を希望する場合は、処方医と相談する。続けるか変えるかは、血圧の状況、合併症、併用薬などをふまえて医師が判断する
薬局で確かめておきたいこと
- 採用品の確認:自局のテルミサルタン錠が3社の製品か。配合錠(テルミサルタンとほかの成分の合剤)はこのお知らせの対象に含まれていない
- 問い合わせへの備え:お知らせのPDFを手元に置き、検出量・暫定管理値・回収しない理由を同じ言葉で説明できるようにする
- 切り替えの予定:明治とVTRSは、メグルミンを使わない製品への切り替えを検討中。今後の案内で、包装や識別の変更がないか確かめる
- ほかのメーカーへの変更:まとまった数を変える前に、卸に供給の見込みを確かめる
なお、テルミサルタン錠「サワイ」は、これとは別に「想定を上回る注文」で10月30日から限定出荷になっています。詳しくは沢井製薬の限定出荷の記事をご覧ください。
出典:PMDA「医薬品におけるニトロソアミン類混入リスクへの対策」
回収・出荷調整の情報が届く職場か
ニトロソアミン類の検出や限定出荷のお知らせは、ここ1年で何度も出ています。そのたびに、採用品の確認、患者さんへの説明、処方医との相談が必要になります。本部が情報をまとめて流してくれるか、説明用の資料を用意してくれるかで、現場の負担は大きく変わります。転職を考えるときは、次の点も聞いてみましょう。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 情報の共有 | 「回収や出荷調整のお知らせは、本部からどのように共有されますか」 |
| 採用品の切り替え | 「後発品のメーカーを変えるときは、誰がどう決めますか」 |
| 説明の体制 | 「混む時間帯の薬剤師の人数は何人ですか」 |
よくある質問
Q. テルミサルタン錠は回収されるのですか?
いいえ。3社とも、暫定管理値(670ng/日)を超える量は検出されておらず、健康影響評価の結果、生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は低いと判断したとして、市場に流通している製品も「直ちに回収又は処方中止等の特別な対応は必要ない」と案内しています。
Q. 対象はテルミサルタンのすべての製品ですか?
いいえ。2026年11月5日にPMDAに掲載されたのは、テルミサルタン錠20mg・40mg・80mgの「サンド」「明治」「VTRS」の3社分です。ほかのメーカーの製品はこのお知らせの対象ではありません。
Q. 患者さんが飲むのをやめたいと言ったら?
3社とも、高血圧の治療を中断すると血圧の管理に影響するおそれがあるため、自己判断で中止・変更しないよう、医師または薬剤師に相談するよう説明してほしいとしています。続けるか、ほかの薬に変えるかは、血圧の状況や合併症、併用薬をふまえて医師が判断します。
Q. 今後、製品はどうなりますか?
明治は2028年3月までに現製品の供給(市場出荷)を終え、メグルミンを使わない製品へ順次切り替えることを検討しています。VTRSは2027年12月までにメグルミンを使わない製品への切り替えを検討しています。サンドのお知らせには、切り替えの時期は書かれていません。
まとめ
- テルミサルタン錠「サンド」「明治」「VTRS」から、N-ニトロソメグルミンが1日許容摂取量の最大2.7倍検出された
- 暫定管理値(670ng/日)は超えておらず、3社とも回収や処方中止は必要ないとしている
- 患者さんには、自己判断で中止・変更せず、医師または薬剤師に相談するよう伝える
- 明治は2028年3月まで、VTRSは2027年12月までに、メグルミンを使わない製品への切り替えを検討
ほかの薬のニュースは、薬剤師業界ニュース解説まとめで紹介しています。情報共有の体制が整った職場を担当者に確かめてもらいながら探したい場合は、薬剤師転職エージェントの選び方と9社の比較が参考になります。家庭と両立しやすい働き方なら薬剤師のパート求人に強いエージェントの比較、品質や安全性の情報を扱う仕事に関心があれば企業薬剤師という選択肢もどうぞ。
PR 回収や出荷調整の情報が本部からすぐ届くか、患者さんへの説明に使える資料がそろっているかは、職場によって違います。転職エージェントに登録すると、求人票だけでは分からない情報共有の体制や人員を、担当者に確かめてもらえます。登録と相談は無料で、情報収集だけの使い方もできます。
※上の2つのリンクは広告(アフィリエイトリンク)です。


コメント