「閉局後も薬歴が終わらない」「同じ処方箋の枚数なのに、あの人はいつも定時で帰っている」。仕事が遅いと感じて、自分を責めてしまう薬剤師は少なくありません。
両学長 リベラルアーツ大学のYouTube動画「仕事が早く出来る人になるための3つのコツ」(2026年10月7日公開)では、仕事を早くするコツとして「仕事のゴールを決める」「タスクの優先度を決める」「全てに100点を取ろうとしない」の3つが挙げられていました。この記事では、この3つを薬局やドラッグストアの仕事に当てはめて考えます。ただし薬剤師の仕事には、3つ目をそのまま当てはめてはいけない業務があります。その線引きもあわせて整理します。
この記事の要点
💊 薬剤師転職をお考えなら
- ゴールを決める:「いつまでに・どの状態にするか」を、薬歴や発注、在宅の準備ごとに決める
- 優先度を決める:患者さんを待たせる仕事と、締め切りのある仕事を先にする
- 100点が必要な仕事と、70点でよい仕事を分ける。調剤・監査・疑義照会は常に100点
- 工夫しても終わらないなら、人員や仕組みの問題かもしれない。職場を見直すのも一つの方法
薬剤師の「仕事が遅い」は、どこで起きている?
仕事が遅いと感じる場面を、まず分けてみましょう。原因が自分のやり方なのか、職場の仕組みなのかで、取るべき対策が変わります。
| 遅くなりやすい場面 | よくある原因 |
|---|---|
| 薬歴が閉局後に残る | 投薬のたびに書ききれず、まとめて書いている/書く内容の目安が決まっていない |
| 監査や投薬で詰まる | 確認の手順が人によって違う/途中で別の仕事に呼ばれる |
| 発注や在庫の作業が終わらない | 締め切りが決まっていない/毎回ゼロから考えている |
| 在宅の準備が直前になる | 訪問日から逆算した準備の段取りがない |
コツ1:仕事のゴールを決める
ゴールとは、「いつまでに、どの状態にするか」です。ゴールがあいまいだと、終わりが見えず、必要以上に時間をかけてしまいます。
| 仕事 | ゴールの決め方の例 |
|---|---|
| 薬歴 | 「投薬後、次の患者さんを呼ぶ前に要点を入力する」「その日のうちに書き終える」 |
| 発注 | 「毎日〇時までに、卸の締め切りに間に合う状態にする」 |
| 在宅の準備 | 「訪問の前日の閉局までに、薬と報告書の準備を終える」 |
| 勉強会の資料 | 「〇日までに、要点を1枚にまとめる」 |
職場で共有されているゴールがない場合は、自分なりの目安を決めて、上司と確認しておくと、周りとの認識のずれも防げます。
コツ2:タスクの優先度を決める
薬局の仕事は、急ぎの仕事と、後でもよい仕事が入り混じっています。優先度は、次の順で考えると決めやすくなります。
- 患者さんの安全に関わること(調剤、監査、疑義照会、副作用の相談)
- 患者さんを待たせていること(投薬、会計、電話の問い合わせ)
- 締め切りがあること(卸の発注の締め切り、在宅の訪問日、報告書)
- その日のうちに終えたいこと(薬歴、在庫の確認)
- 期限に余裕があること(資料づくり、掲示物、整理)
途中で別の仕事に呼ばれやすい職場では、「今やっていること」と「次にやること」をメモしておくと、戻ったときにすぐ再開できます。優先順位の考え方は仕事の優先順位の決め方(インバスケット)や「やりたい作業」と「やるべき作業」のちがい、同時に頼まれる仕事のさばき方はマルチタスクができない薬剤師へでも紹介しています。
コツ3:全てに100点を取ろうとしない――ただし薬剤師は線引きが大切
3つ目のコツは、すべての仕事に完璧を求めず、ほどほどの出来で次に進むという考え方です。ただし、薬剤師の仕事には、絶対に手を抜いてはいけない業務があります。
| いつも100点が必要な仕事 | 70点で先に進んでよい仕事 |
|---|---|
| 調剤・監査(薬の種類・量・日数の確認) | 掲示物や店頭の案内の見た目 |
| 疑義照会(薬剤師法第24条) | 社内向けの資料の体裁 |
| 服薬指導での重要な注意点 | 勉強会の資料の完成度(要点が伝われば十分) |
| 麻薬などの管理と記録 | 整理整頓の細部(期限を決めて区切る) |
処方箋に疑わしい点があれば、照会して確かめてからでなければ調剤してはならないと定められています(薬剤師法第24条)。急いでいるときほど、安全に関わる確認は省かないことが大切です。
一方で、患者さんの安全に関わらない仕事にまで100点を求めると、時間が足りなくなります。「ここは70点でよい」と決めて手放すことが、安全に関わる仕事に時間を回すことにもつながります。
明日からできる、時間を生む工夫
- 薬歴は、投薬の直後に要点だけでも入力する(あとで書くとき思い出す時間が減る)
- よく使う説明や記録の言い回しを、職場のルールの範囲でまとめておく
- 発注・在宅の準備など、毎週くり返す仕事はチェックリストにする
- 一日の始まりに、締め切りのある仕事を確認しておく
工夫しても終わらないなら、職場の仕組みを疑う
ゴールと優先度を決め、70点でよい仕事を手放しても、毎日のように閉局後まで残る。そんなときは、自分の能力ではなく、処方箋の量に対して人員が足りない、薬歴を書く時間がシフトに組まれていないなど、職場の仕組みに原因があるかもしれません。
まずは、残業が出ている曜日や時間帯と理由を記録して、上司に相談してみましょう。それでも変わらない場合は、職場を見直すのも一つの方法です。残業が少ない職場の見分け方は残業が少ない薬剤師の職場の見分け方にまとめています。
よくある質問
Q. 仕事が遅いと言われます。どこから直せばいいですか?
まず、遅くなっている場面を書き出してみましょう。薬歴、監査、発注など、場面ごとにゴールと優先度を決めると、どこで時間がかかっているかが見えてきます。
Q. 70点でよいと言われても、手を抜くようで不安です。
患者さんの安全に関わる仕事は、常に100点が必要です。70点でよいのは、安全に関わらない仕事だけです。線引きを上司と共有しておくと安心です。
Q. 新人のうちは、時間がかかっても仕方ないですか?
慣れるまでは時間がかかるものです。ただ、ゴールと優先度を意識しておくと、慣れたときの伸び方が変わります。分からないことは早めに聞きましょう。
まとめ
- 仕事ごとに「いつまでに・どの状態にするか」というゴールを決める
- 安全→待たせている→締め切り→その日のうち、の順で優先度を決める
- 調剤・監査・疑義照会は常に100点。それ以外は70点で先に進む
- 工夫しても終わらないなら、人員や仕組みの問題。記録して相談し、必要なら職場を見直す
働き方を変えるために職場を見直したい場合は、ファルマスタッフとレバウェル薬剤師の比較も参考にしてください。


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