PR

OTC類似薬の保険除外に医師7割が賛成──薬剤師が知っておくべき「医療費削減」の今後とキャリア戦略

転職・キャリア設計

今、OTC類似薬が注目される理由とは?

風邪薬や湿布薬、胃腸薬など、「処方箋がなくても買える市販薬(OTC)」と成分・効果が似ている処方薬。これらいわゆる「OTC類似薬」を、**保険適用から外すべきか?**という議論がいま再燃しています。

日本経済新聞と日経メディカルの共同調査によると、医師の約62%が「保険除外」に賛成。特に勤務医は7割が支持し、開業医は比較的慎重な姿勢を示しました。

この問題、実は私たち薬剤師の業務内容OTC販売の立場、さらには医療費全体の構造にまで波及しかねない、大きなテーマです。

この記事では以下の点を深掘りしながら、薬剤師が今後どのような視点を持つべきかを整理します。


✅ この記事の構成

  1. OTC類似薬とは?問題の背景と政府の狙い
  2. 医師の意見に現れた「立場の違い」とその理由
  3. OTC類似薬の保険除外で予想される「薬剤師への影響」
  4. 予想される「患者側の混乱と格差」問題
  5. 転職市場・キャリア戦略として薬剤師が持つべき視点
  6. まとめ:OTC販売の現場と制度のギャップに向き合う

1. OTC類似薬とは?問題の背景と政府の狙い

OTC類似薬とは、市販薬(Over The Counter)と処方薬で「同じ成分または類似の効果」を持つ薬剤のことです。例として以下のような薬があります。

処方薬類似のOTC製品例主な用途
カロナール錠タイレノールA解熱鎮痛
ムコダイン錠ムコダイン去痰錠Pro去痰
ロキソニン錠ロキソニンS鎮痛・消炎
モーラステープロキソニンSテープ湿布・消炎鎮痛

現在、これらの薬は医師の処方で1〜3割の自己負担で済みますが、OTC薬は全額自己負担。そのため、「とりあえず処方してもらう」患者が多く、医療費の膨張が指摘されています。

政府としては以下の狙いがあります。

  • 医療費抑制(特に高齢者医療)
  • 軽症患者の受診抑制
  • セルフメディケーションの推進

2025年度の医療制度改革の中でも、OTC類似薬の保険外しが本格的に議論され始めました。


2. 医師の意見に現れた「立場の違い」とその理由

調査によると、勤務医の約7割が賛成に対し、開業医の賛成は約半数未満

なぜこの差が生じるのでしょうか?

✅ 勤務医は「医療費削減」の立場に賛成

  • 多忙な外来で風邪薬目的の患者が多数来る現状に不満
  • 医療リソースが逼迫しており「軽症患者の自己対応を望む」
  • 医療経済の持続性を危惧している

✅ 開業医は「患者離れ」を懸念

  • 風邪など軽症の処方も収入源のひとつ
  • 保険外しにより受診控えが進む可能性
  • 医師と薬剤師の役割再定義への慎重姿勢

このように、医師といっても立場によって意見は大きく分かれており、「現場感覚の違い」が如実に出た形となっています。


3. OTC類似薬の保険除外で予想される「薬剤師への影響」

薬剤師、とくにOTC販売に関わる薬局薬剤師・ドラッグストア薬剤師には、いくつかの影響が考えられます。

✅ 【プラスの影響】

  • OTC製品の需要増による物販売上の向上
  • OTC販売の重要性が増し、薬剤師の介入価値が上がる
  • セルフメディケーション支援の主役としての地位確立

✅ 【マイナスの影響】

  • 医療用からOTCへの「スイッチ品」の知識負担増
  • 「保険ではもらえないんですか?」という患者対応のストレス
  • 安易なセルフメディケーションによる副作用リスクの増加
  • 調剤報酬の減少と対人業務の負担増

薬剤師の役割が「販売+指導+予防」にシフトする中、OTCの知識量や接遇スキルが問われる時代になるといえます。


4. 予想される「患者側の混乱と格差」問題

一方で、患者側には混乱が予想されます。

✅ 想定される混乱ポイント

  • 「今まで保険で出てた薬が全額自己負担?」
  • 「どうやってOTCと処方薬の違いを見分けるの?」
  • 「症状の判断を誰に相談すればいいの?」

特に高齢者や慢性疾患患者低所得者層への影響が懸念されます。医療アクセスの格差が拡大し、経済状況によって治療内容が左右されるリスクが出てきます。


5. 薬剤師のキャリア戦略:今こそ「OTCに強い薬剤師」へ

こうした制度変更をチャンスに変えるかどうかは、薬剤師次第です。

✅ OTCやサプリメントに強い知識を持つ
✅ セルフメディケーションのアドバイザーとして地域密着
✅ 在宅・予防・健康支援業務の幅を広げる

これからの薬剤師には、単なる「調剤の専門家」ではなく、「生活者の健康を支える身近な専門職」としての変化が求められています。


✅ 6. 薬剤師転職のチャンス:OTCに強い職場で成長を

OTCやセルフメディケーション支援に力を入れている職場への転職は、今後ますます注目されるでしょう。

💡 転職の際は、以下のようなポイントをチェック!

  • OTC研修制度やカウンセリング体制が整っているか
  • 物販に対するインセンティブ制度の有無
  • 調剤・OTCの両輪でキャリアを積める環境か

【おすすめ転職サイト】


まとめ:制度の変化はチャンス。変わる準備、できていますか?

OTC類似薬の保険除外は、薬剤師にとって業務の「幅」が試される変化です。

「え、保険きかないんですか?」と戸惑う患者に対して、どうアドバイスするのか。
「市販薬と処方薬の違い」をどう説明するのか。
「この薬の使い方、大丈夫?」といった不安にどう寄り添うのか。

これらすべてが、薬剤師の“付加価値”になります。

制度が変わる前に、自分の働く場所・スキル・知識を見直してみましょう。
きっと、あなたにしかできない「薬剤師像」が見えてきます。

▼参考記事はこちら

風邪薬などOTC類似薬、保険外しに勤務医7割賛成 開業医は消極的 - 日本経済新聞
市販薬と成分や効果が似ている「OTC類似薬」について、医師の62%が保険適用からの除外に賛成していることが分かった。受診して処方箋をもらえば患者の負担は1〜3割で済むが、公費や保険料の支出が増える。風邪薬や湿布薬などの入手を目的とした通院が...

コメント

タイトルとURLをコピーしました