心不全や心房細動といった循環器疾患は、高齢化社会の進展とともに、今後ますます薬剤師として対応力が求められる分野となります。患者さんの背景を読み取り、処方意図を深く理解し、副作用やアドヒアランスへの支援ができる薬剤師は、現場で重宝される存在です。
しかし、循環器領域は薬理・病態・検査・処方意図の読み解きなどが複雑に絡み合い、苦手意識を抱きがちな分野でもあります。そこで今回は、循環器が苦手な薬剤師さんでも“理解しながら臨床対応力が高まる”2冊の参考書をご紹介します。臨床現場の具体症例も交えて、より実践的にご紹介していきます。
第1部:『薬剤師力がぐんぐん伸びる 専門医がじっくり教える 心不全・心房細動』を徹底解説!
◆この本の魅力とは?
本書はタイトルの通り、“薬剤師向けに専門医がじっくり解説する”ことに主眼を置いた良書です。著者は現役循環器内科医であり、薬剤師とのチーム医療の経験が豊富な方。そのため、現場で薬剤師が迷いがちなポイントや、「なぜその薬が選ばれるのか」「どのような副作用に注意すべきか」を、わかりやすい言葉で丁寧に紐解いてくれます。
◆本書で学べる主なテーマ
- 心不全・心房細動の病態生理をわかりやすく図解
- 処方意図とその背景(収縮不全vs拡張不全、心拍数のコントロール)
- 各種薬剤(β遮断薬、ARB、ARNI、抗不整脈薬など)の選択理由と使い分け
- 高齢者に多い多剤併用とその調整方法
- 検査値や心電図所見の読み方と注意点
- 在宅・地域医療における薬剤師の支援方法
◆具体症例①:心不全+CKD+高齢者という三重苦
【症例】 80代女性、既往に高血圧・糖尿病・慢性腎不全。軽度の心不全で利尿薬(フロセミド20mg)とACE阻害薬(エナラプリル)を内服中。最近、BNPが上昇し浮腫が出現。
【薬剤師の介入ポイント】
- フロセミドの用量増加は腎機能への悪影響を懸念 → ループ+サイアザイド系併用提案?
- エナラプリル継続でK値上昇リスク → 検査値チェックのタイミングを確認
- 服薬アドヒアランスが低下傾向 → 在宅支援導入を提案
このような症例において、単に「処方を確認する」のではなく、「なぜこの薬か?今後どう変化するか?」を予測できる視点が必要です。
◆具体症例②:心房細動+DOAC出血リスク管理
【症例】 70代男性、心房細動でアピキサバンを内服中。最近、鼻出血と歯肉出血が頻発。
【薬剤師の介入ポイント】
- 出血リスク評価スコア(HAS-BLED)を把握し、医師と共有
- PPI併用の有無、NSAIDsの使用有無を確認し、出血誘因を除去
- 投与中止ではなく減量、分割、投与タイミングの調整などの選択肢を提案
DOACは「何mg飲んでいるか」よりも「出血・塞栓症のバランスをいかにとるか」が重要です。本書では、こうした臨床判断に必要な視点が多数紹介されています。
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第2部:『薬剤師のための ここからはじめる循環器〜処方のなぜ?を理解し、患者さんのフォローができる!』を徹底解説!
◆この本の魅力とは?
「循環器って苦手」「とっつきにくい」…そんな薬剤師の声に寄り添って書かれたのが本書です。最大の特徴は、“薬剤師がつまずきやすいポイント”を先回りして解説してくれていること。臨床の現場でよくある症例を元に、薬剤の使い分けや副作用管理、患者フォローの実践まで、一貫して薬剤師目線で構成されています。
◆本書で学べる主なテーマ
- 疾患別(高血圧・心不全・狭心症・心房細動など)に処方意図を丁寧に解説
- 処方薬の特徴・比較(ARB、ACE、CCB、利尿薬、抗凝固薬など)
- 降圧薬や利尿薬の減量・中止タイミングと注意点
- 患者さんの訴えにどう対応すべきか(息切れ・ふらつき・むくみなど)
- 在宅や服薬指導で役立つ「伝え方」「聞き方」
◆具体症例③:夜間頻尿と降圧薬の服用時間
【症例】 60代男性、高血圧でARBと利尿薬を併用。夜間頻尿で睡眠障害を訴え、服薬を自己中断。
【薬剤師の介入ポイント】
- 利尿薬の服薬時間調整(朝〜昼前へ変更)を医師に提案
- 睡眠障害が続く場合の処方薬の見直し(α遮断薬やBBへの変更含む)
- 服薬指導時に、患者さんの生活背景(就寝時刻、起床時間)をヒアリング
本書ではこうした“生活に密着した薬学的支援”を丁寧に掘り下げており、薬剤師が“患者目線で寄り添う”力を鍛えるのに最適です。
◆具体症例④:高齢者のポリファーマシーと降圧薬の見直し
【症例】 85歳女性、5種類の降圧薬(ARB、CCB、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬)を服用中。ふらつきと転倒の既往あり。
【薬剤師の介入ポイント】
- 降圧薬の過剰投与を疑い、収縮期血圧の変動パターンを医師と共有
- 最もリスクが高い薬剤から段階的に減薬を提案
- 転倒・起立性低血圧のリスクを家族に説明し、見守り体制も構築
このような症例では、「減らす」判断と「どう減らすか」の計画性が重要です。本書はその“薬剤師としての思考プロセス”を丁寧に育ててくれます。
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最後に
循環器領域の知識は、一朝一夕では身につきません。しかし、患者さんのQOLに直結する重要な分野であることは間違いありません。
今回ご紹介した2冊は、ただの知識本ではなく、実践力を伴う“武器”になる参考書です。これから循環器に強くなりたい薬剤師の皆さん、まずは手にとって読み進めてみてください。
知識は自信に、自信は行動に、そしてあなたの価値へとつながっていきます。
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