2025年10月17日、厚生労働省が開催した中央社会保険医療協議会(中医協)総会にて、「後発医薬品調剤体制加算」の見直しが大きな議題となりました。
後発品使用率が90%を超え、ほぼ全薬局が加算を算定できる現状に対して、保険者側からは「インセンティブとしての役割を終えた」との意見が上がり、一方で薬剤師会は「現場努力の評価を維持すべき」と強く訴えています。
この議論、実は単なる報酬改定の話ではありません。「あなたの薬局の経営体制・給与・人員配置」に直結する可能性があるのです。
後発医薬品調剤体制加算の現状と問題点
厚労省の「令和6年度 調剤医療費の動向」によると、2024年10月に後発医薬品の数量シェアはついに90%台に到達。
2025年3月時点では、後発品割合80%以上の薬局が94.6%という状況になっています。
現行の加算は以下の通り:
- 後発品割合80%以上 → 加算1(21点)
- 85%以上 → 加算2(28点)
- 90%以上 → 加算3(30点)
つまり、ほとんどの薬局がいずれかの加算を算定できる状況にあり、インセンティブとしての機能が薄れていると指摘されています。
この背景には、「加算をつけても差別化できない」という経営上の課題があります。結果として、薬局経営者は次の報酬改定に向けて「どこで収益を確保するか」を再考する時期に入っています。
「廃止論」vs「維持論」──中医協での主な意見
議論の中心に立ったのは、次の2つの立場です。
後発品割合が上がっても、備蓄・説明・医師確認などの業務は変わらない。
供給不安も続く中、加算を止めることは「現場の心を折る」。
インセンティブとしての役割は終わった。
地域支援体制加算に後発品割合の基準を組み込み、未達なら減算するべき。
経団連側も「患者負担を考慮した見直しを」との意見を示しており、全体として「廃止または減算方向」への流れが強まっています。
現場薬剤師に何が起きる?
もし後発医薬品調剤体制加算が廃止または縮小された場合、薬局現場では次のような変化が想定されます。
- ① 経営悪化による人員削減 … 特に中小薬局では収益源が減少
- ② 調剤基本料の格差拡大 … 大手チェーンとの経営体力差が表面化
- ③ 年収停滞または減少 … 経営側が賞与や昇給を抑制する可能性
こうした「報酬改定の荒波」は、特に中堅〜若手薬剤師のキャリア戦略に大きく影響します。
現場努力をしても報われにくくなる中で、「より評価される環境」への転職が合理的な選択肢になってくるのです。
2026年度改定を見据えた“今”の転職タイミング
調剤報酬改定は2026年4月予定。つまり、今(2025年秋)から動き出せば、改定後の職場選びに間に合うタイミングです。
特に注目すべきは、
- ドラッグストア併設型でOTC+調剤両方を経験できる職場
- 地域支援体制加算に積極的な薬局チェーン
- 後発品供給安定のための自社物流・在庫管理体制を持つ企業
こうした職場では、加算が減っても業務価値で報われる可能性が高く、報酬改定に強いキャリアを築けます。
調剤報酬改定に備えたキャリア戦略として、次の3サイトは特におすすめです。
薬剤師の転職&派遣ならファルマスタッフいずれも無料登録後に非公開求人の紹介を受けられ、2026年度改定を見据えた“将来性のある職場探し”に強みを持っています。
まとめ:報酬改定は「リスク」ではなく「チャンス」
2026年度の調剤報酬改定は、薬局経営の再編を促すターニングポイントになるでしょう。
後発医薬品調剤体制加算が廃止・縮小されるなら、今の環境にとどまるリスクも考える必要があります。
環境に翻弄される前に、あなた自身が主導権を握り、「成長できる職場」を選ぶことが大切です。
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