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薬剤師の賃上げは本当に進んだのか?― 2024年度改定の“限界”、年収水準の実態、そして転職市場の熱量

転職・キャリア設計

2024年度の調剤報酬改定は「処遇改善」を掲げ、調剤基本料+3点で追い風が期待されました。

ところが現場の肌感は「賃上げは限定的」。

平均+1.28%にとどまり、厚労省の2.5%ベア目標には遠い――。

一方で転職市場は過熱し、提示年収が想定より20〜30万円上振れする事例も。

この記事では、日経DIの前・中・後編記事のポイントを全て統合し、賃上げの届かなさの理由、地域年収格差、選考現場の変化まで具体例とチェックリストで解説します。

また、転職市場で求められる人材になるポイントと、最後にオススメの転職エージェントの紹介もします。

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1. 「+3点」の現実:期待ほど賃上げに結びつかず

2024年度改定の柱で医療従事者の処遇は改善(調剤基本料を3点引き上げ)されました。

しかしながら、現場の実態(日本総研×NPhA:2025年3〜4月、薬局長・管理薬剤師対象)は、

  • 「変わらない/下がった」:28.6%
  • 平均賃金変化:+1.28%(厚労省の2.5%ベア目標に未達)

となっています。

また、大手企業と中小企業では差が大きくなっており、

大手チェーン薬局/ドラッグストアは2024年度に賃上げ初任給引き上げの動きを示している一方で、中小は「この点数では継続的な賃上げは難しい」という声が根強いです。

なぜ上がらない?背景の構造

まず第一に、売上構造の変化が挙げられます。

1薬局あたりの処方箋枚数の伸び鈍化することで、奪い合いが激化

処方箋単価引き上げには地域支援体制加算在宅薬学総合体制加算など対人業務の拡充が必要、つまり人手が必要です。人手が必要になれば当然一人当たりの賃金は少なくなっていきます。

また、生産性向上の前提コストの問題もあります。

システム/調剤機器への先行投資が必須なので、小さい薬局ほど機器への投資と賃金アップを同時に出来るほどの体力が無いのです。

さらに、“高給ベテラン層”の固定費化の問題もあります。

6年制移行に伴う2010年前後の薬剤師不足期に、年収800万円台の好待遇で確保した層が一定数残存しています。それらが人件費総額を押し上げてしまっているのです。

一部薬局は人事評価制度の見直しで実質的な是正(=賃下げの根拠作り)に踏み切ったという指摘もあり、事態はそれほどまでに深刻なのです。

「40歳未満」縛りはどう運用されたか

24年度の+3点分は本来“40歳未満”の賃上げ原資想定だったもの。ただし現場の運用は“全職員対象”が多数派。年齢線引きは内部の不公平感を生むとして、年齢差のない賃上げを選んだ企業が大半です。よって、一人当たりの賃金上昇率の鈍化に繋がっています。


2. 年収水準の現在地:横ばい長期、ようやく回復も“伸び悩み”

厚労省・医療経済実態調査(2022年度)では

  • 管理薬剤師:734.9万円
  • 勤務薬剤師:486.4万円

と、2012年度比でほぼ横ばいとなっています。

日経HR・求人データ(2025/5/26時点)によると、平均年収は561.3万円

2021年にコロナで一時落ち込みましたが、その後は緩やかに回復2025年は2020年水準超え見込みです。

地域格差は“東京が最下位”

一方で、薬剤師という職種の年収は地域格差が大きいことでも知られます。

  • 都道府県別
    • 最高:島根 609.5万円
    • 最低:東京 535.6万円
    • 格差:73.9万円
  • なぜ地方が高くなりやすい?
    • 地方は薬剤師供給の制約(人口・学部立地)。
    • 求職者は自宅から30分圏内で探す傾向が強く、地方の人材確保が慢性的に難航
    • チェーンは全国転勤型地方手当で上乗せする(ただしそれでも忌避されがち)。

また、地方は都心部に比べて家賃が低いため、その分賃金に充当できるという面もあります。

  • 首都圏のボトルネック
    • 物価・住居費が高く、住宅手当なし求人も多い→可処分が伸びない。
    • ただし条件や立地に柔軟なら、高待遇の中小求人は首都圏にも一定数存在。

このような理由から、実は地方で勤務する事が手っ取り早く年収を上げるための有効な手段の一つでもあるのです。

薬剤師の地方への転職についてはこちらの記事もあわせてご覧ください👇


3. 転職市場は“活況”——2〜3年がチャンスウィンドウ

薬剤師の転職市場は現在活況であり、自分に有利な転職を進めている人も多いです。

  • 提示年収が想定より+20〜30万円に上振れるケースが発生。
  • 過熱は向こう2〜3年継続見込み
  • 2024年度:病院のベースアップ評価料は賃金改善計画書の提出義務があり実効性高め。
  • 2026年度改定:薬局でも実効性担保の議論が進むかが注目点。

これらの理由から、内部昇給の待ち姿勢より、転職で先に成果を取りに行く方が合理的になってきています。


4. 「選ばれる人」の条件:収益直結スキルを“数字で語る”

採用側が慎重かつ選抜的になっている高年収求人では、薬局の収益に直結する実績が評価の中心になります。

少し難しい言葉も出てきますがしっかり確認していきましょう👇

高評価される実績(例)

  • 在宅医療:在宅患者数、往診同行、在宅薬学総合体制加算の算定実績
  • かかりつけ薬剤師継続服薬支援/服薬フォローの実績、算定率
  • 地域支援体制加算/後発医薬品調剤体制加算要件を満たす体制化に関与(後発置換率、夜間休日対応、地域連携等)
  • 連携力・営業力訪問事業所の新規開拓数ケアマネ連携で加算算定に寄与
  • 接遇力:患者満足、クレーム減少、紹介率向上など対人評価の改善データ

⇒自分の行動、努力を数値で表現できるようにしておくことが重要です。

“数字化”テンプレ(STARで要約)

数字化には、以下のようなSTARでまとめておくのが良いでしょう。

  • S(状況):在宅立ち上げ直後で算定ゼロ
  • T(課題):月10件の訪問を安定化、加算取得
  • A(行動):ケアマネ12名へ同行提案、訪問ルート再編、記録様式統一
  • R(結果)在宅件数0→28件/月、在宅加算算定率0→85%、売上+XX万円/月

①どういう状況があって、

②どんな課題を見つけて、

③どんな行動をして、

④どんな結果が出たのか。

自分のやってきたことをアピールする為にも必須の工程です👆

仮に転職しないにしても、職場内で自分の評価(給料)を上げてもらう材料にもなります。

やったことが無い人にはとっつきにくい話かもしれませんが、慣れていけばだんだんと出来るようになっていきます。

ぜひチャレンジしてみて下さい👍

職務経歴書にそのまま使える例文

  • 在宅患者0→28件/月、在宅加算算定率85%を12か月維持。往診同行週2回体制を構築。
  • 地域支援体制加算要件整備(後発品率80%→92%、夜間対応体制の見直し)に中心メンバーとして関与。
  • かかりつけ薬剤師70名担当、うち継続フォロー90日超65%。服薬アドヒアランス指標改善(MPR+8pt)。

5. 面接の現場は「接遇力」重視へ:時間も長く、見極めは丁寧に

薬剤師の業務が対物→対人にシフトすべきだと言われ始めて随分と経ちました。

その流れで何度も耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、いわゆるコミュニケーション能力が非常に重要です。

選考プロセス30〜40分の面接+店舗見学が一般化しています。

元人事採用担当としてお伝えさせていただきます。

この30〜40分の面接+店舗見学で応募者のことをかなり見ています。

それだけで評価が決まる事は無いですが、判断材料になることは確かです。

とはいえ、コミュニケーション能力は一朝一夕には身につきません。

コミュニケーション能力に自信が無い方でもこちらのチェックリスト↓を参考に、質問や回答を準備しておけばある程度は戦えるはずです。ぜひお役立てください👍

直前チェックリスト(面接用)

  • 患者対応の実例:苦情転機→満足化までのプロセスを事実ベースで説明できるか
  • 在宅・連携の成果件数/算定率/売上寄与を数字で
  • 加算要件の理解:地域支援体制/後発体制の仕組みを簡潔に言語化
  • 店舗見学での観点:動線、待ち時間、人的配置とオペレーション、レセ端末・機器→「何か1つは質問してやろう」というつもりで見学すると◎

6. “待つ”より“動く”:タイプ別戦略とリスク管理

戦略A:現職での引上げ交渉

  • 材料:処方枚数/在宅件数/加算算定率/後発品率/患者満足度の改善。

⇒ポイントは数字で示すこと👍「給料(評価)上げて」では通りません✖

戦略B:同業他社へ横移動(条件最適化)

  • 地域×時間×役割の妥協点を広げるほど年収は上振れしやすい(例:地方×在宅強化店×夕〜夜帯)。

⇒何かを妥協すると言うことは逆に言えば「これだけは譲れない」という軸を必ず持っておくこと。それだけで転職が失敗しにくくなります👍

戦略C:ベテラン高給層の“下方リスク”回避

  • 評価制度変更でのレンジ調整が進む局面では、強みの棚卸し外部相場の確認を先行。

⇒つまり、転職活動が肝ということ。転職する気が無くても自分の市場価値を確認しておくことは大切。


7. 今日からできる年収アップの7ステップ

  1. 市場価値診断:担当患者数、在宅件数、加算率、後発置換率などを定量化
  2. 実績の棚卸し:STARで1ページに圧縮
  3. 職務経歴書アップデート:“収益直結の数字”を冒頭に
  4. 面接想定問答:接遇・トラブル解決の具体例を3本用意
  5. 候補分散3〜5社応募(チェーン/中小/在宅強化)
  6. 条件比較表:年収、住宅手当、在宅件数、転勤有無、時短・土日
  7. クロージング:「想定年収+20〜30万円」の根拠(数字)を提示して交渉

8. 2026年度改定の注目点(中期視点)

  • NPhAはプラス改定を要望:物価・賃上げ分の反映、調剤基本料への加点などを主張。
  • 実効性の担保病院のベースアップ評価料のように計画提出・検証が薬局にも広がるか。
  • 結論制度頼みの賃上げに依存せず市場(転職)と自助努力(実績化)で取りに行くのが確実。

9. まずは“無料で動く”

転職エージェントは非公開求人/面接日程調整/条件交渉までワンストップで行ってくれるところを選ぶ事。3社併用で取りこぼしを防ぐのが定石です。

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その他の転職エージェントについてはこちらの記事で紹介!👍

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👆使い方のコツ
① 3社に同日登録

② 初回面談で“数字の実績”を共有

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条件提示を横比較

⑤ 最有力1社でクロージング


10. よくある質問(Q&A)

Q1. 首都圏在住だけど年収が伸びません。どうすれば?
A. 通勤30分→60分に広げるだけでも選択肢が増えます。住宅手当の有無も実質手取りに大きく影響するのでトータルで考えること。在宅強化店夕〜夜帯の枠は高提示が出やすいです。

Q2. 病院から薬局への転職は不利?
A. 近年はむしろ有利多職種連携臨床コミュ力が在宅や地域連携で評価されます。

Q3. 実績が“数字”で出せません。
A. まずは1か月、処方枚数/在宅件数/加算算定率/後発置換率を可視化来月に改善施策を当て、翌月に効果測定。これ自体が実績になります。優秀な数字でなくても大丈夫なので、落ち着いて整理してみましょう。

Q4. 40歳以上でも賃上げは対象になりますか?
A. 24年度の原資想定は40歳未満でしたが、多くの薬局が全職員を対象に運用しています。今や年齢に線を引く考え方は一般的ではありません。

Q5. ベテランで現年収が高い。下がるリスクは?
A. 評価制度見直しでレンジ調整が進む局面があります。実績の外部相場(転職市場)を早めに把握し、転職カードを持っておくのがリスクヘッジです。


まとめ

  • 24年度改定の+3は、平均+1.28%どまりで賃上げの実感は薄い
  • 年収水準はコロナ前を回復も、長期横ばい+地域格差(島根609.5万/東京535.6万)。
  • 転職市場は活況で、提示+20〜30万円の上振れや2〜3年の好機が続く見通し。
  • 収益直結の実績接遇力を“数字”で語り、3社併用取りに行くのが最短ルート。

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▼参考記事はこちら

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