【はじめに】応召義務って、薬剤師も絶対に守らなきゃいけないの？
薬剤師が処方箋を断るのって、アリ？ナシ？
これは一見するとシンプルな問いですが、実は非常にデリケートな問題です。というのも、薬剤師には**「調剤の求めがあった場合、正当な理由なくこれを拒んではならない」という応召義務（薬剤師法第21条）**が課されています。
つまり、「正当な理由がなければどんな患者でも受けなければならない」──そんな“法的な呪縛”のようなものが、薬剤師の現場を日々苦しめているのです。
ですが、現実には理不尽な要求、怒声、人格否定、時には恐怖すら感じるようなカスタマーハラスメント（以下、カスハラ）が発生しており、「どこまで我慢すべきか」というラインが曖昧なまま、現場の薬剤師が消耗しているのです。
2025年6月、日本薬剤師会が調査結果を公表──カスハラの実態が明らかに
🔍調査の概要
- 実施機関：日本薬剤師会
- 回答期間：2025年2月26日〜3月16日
- 調査対象期間：2024年3月〜2025年3月
- 回答数：1566件
🧨カスハラが発生した場面
- 処方箋応需時…89.3%
- 調剤説明中、会計対応中、待機時間中も少なくない
😠加害者の傾向
- 患者本人：82.2%
- 男性：71.4%
- 年齢層：70代（27.4%）・60代（23.2%）・50代（20.1%）
📌被害内容
| 行為の種類 | 割合 |
|---|---|
| 大声・暴言・脅迫的行動 | 62.2% |
| 過剰・不当な要求 | 42.0% |
| 不当クレーム・人格否定 | 31.6%／27.8% |
| 長時間拘束 | 27.9% |
薬剤師は“サービス業”なのか？──薬の専門家に求められすぎる接遇
患者が「接客業としての完璧さ」を薬剤師に求めるあまり、薬の専門職としての判断より**“顧客対応力”が過度に評価される傾向**が強まっています。
その結果、以下のようなギャップが生まれています。
- 🔺患者：「薬局はサービス提供の場」
- 🔻薬剤師：「医学的な判断や専門性が重要」
さらに、マイナ保険証やジェネリック医薬品に関する知識不足がトラブルの火種に。カスハラの原因として、調査でも以下が挙げられています。
- 待ち時間の長さ（17.0%）
- 医薬品の在庫不足（15.5%）
- 接客態度への不満（15.4%）
- マイナ保険証の操作理解不足
- 法制度や医薬品ルールへの無理解
調剤拒否は“悪”なのか？──応召義務の再定義が求められている
応召義務とは「公共性の高い職種が、正当な理由なくサービスを拒否してはいけない」という法的原則です。しかし…
暴言を受けながらでも、処方箋は受けるべきか？
命令口調や怒号の下でも、丁寧に説明し続けるべきか？
という疑問に、多くの薬剤師が悩み続けています。
📜医師には既に通知がある！
2019年12月、厚労省は「医政発1225第4号」という通知を出し、医師の応召義務について以下の例外を明確に整理しました。
- 医師や他の患者の安全に支障がある
- 暴力行為、脅迫行為があった場合
- 医師の心身の健康に影響があると判断される場合
薬剤師にも、このような明文化が求められているのです。
薬剤師会が厚労省と連携──「調剤拒否の正当性」明文化へ前進
今回の調査を受けて、日本薬剤師会は次のようにコメント。
「薬剤師の応召義務の解釈を明確化してもらえるよう、厚労省に要望していきたい」
これは、薬剤師を守るための画期的な第一歩です。
調剤を拒否する判断が「個人の感情や空気」ではなく、「制度としての判断」になることは、薬剤師の精神的安全の確保にもつながります。
“逃げること”は責任回避ではない──転職という選択肢
カスハラの相談窓口や管理者対応のない職場では、薬剤師は「耐える」しか道がありません。しかし、それは健全な環境とは言えません。
✅これと似たような環境、あなたの職場にありませんか？
- 理不尽な要求でも「我慢しろ」と上司に言われる
- トラブルが起きても「お前の対応が悪い」と責任転嫁
- 警察沙汰になっても、会社は表面だけ謝罪
- 被害届を出そうとすると「患者との関係が悪化する」と制止される
薬剤師が心を壊す前に、「もっと良い環境で働く」ことは、自分を守る選択肢のひとつです。
薬剤師の転職は“守り”ではなく“攻め”のキャリア戦略
🧭薬剤師が転職する理由（実際の声）
- 「カスハラ対策をしてくれない経営者に絶望した」
- 「後輩が涙をこらえながら接客していた。ここに未来はないと感じた」
- 「一人薬剤師の日にカスハラに遭い、怖くて出勤できなくなった」
そんな薬剤師たちが、転職によって以下のような職場を見つけています。
- 💡在宅医療・訪問薬剤師で“人と向き合う”医療に
- 💡クリニック門前で落ち着いた対応中心の業務
- 💡漢方薬局で“時間をかけた接客”が許される文化へ
おすすめ転職エージェント3選──無料＆安心サポート付き
💼ファルマスタッフ
- 特徴：全国の調剤薬局・ドラッグストア・病院と連携
- メリット：担当者の専門性が高く、非公開求人が多い
- おすすめ：年収アップや研修制度重視派に
💼ファゲット
- 特徴：交渉力に定評がある転職サイト
- メリット：残業・休日日数など細かい条件交渉も◎
- おすすめ：「妥協したくない」人にぴったり
💼ファルメイト
- 特徴：中小薬局・地域密着型求人に強い
- メリット：社内環境や人間関係を重視した紹介が得意
- おすすめ：アットホームな職場を探す人に最適
薬剤師が「自分を守る時代」へ──声を上げること、そして動き出すこと
今回の調査と報道をきっかけに、「薬剤師も守られるべき存在である」という認識が、少しずつ広がり始めています。
- 患者を守ることと、薬剤師自身を守ることは両立できます。
- 応召義務があるからといって、暴力や暴言にさらされるべきではありません。
- 法的整備を待つだけでなく、自らより良い職場を選ぶ自由も持ちましょう。
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