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薬剤師の残業代計算方法と未払い対策

労働基準法

はじめに

「なかなかシフト通りに帰れないなぁ…」

「この作業、ちゃんと残業代計算されてるのかな…」

薬剤師は患者対応や調剤業務の性質上、残業が発生しやすい職業です。
しかし「残業代が正しく支払われていないのでは?」と疑問を持つケースも少なくありません。
この記事では、元大手ドラッグストアの人事採用担当であり、現役の薬局現場責任者である私が、

薬剤師の残業代の計算方法と、未払いが疑われる場合の対策を解説します。

残業に関する私見も述べていますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい👐

\この記事を読むメリット/

✅残業代の計算方法が分かる

✅未払いされた場合の対応が分かる

✅未払いされないための対策が分かる

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残業代が発生する条件

そもそも、残業代はどのような条件で発生するのでしょうか。

労働基準法では、以下を超えた勤務に残業代(割増賃金)が発生するとされています。

  • 1日8時間、週40時間を超える労働
  • 法定休日に働いた場合
  • 深夜(22時〜翌5時)の勤務

    例えば、9:00~18:00のシフトで、19:00まで勤務した場合、60分の残業代が発生します。

    この60分に対しては、後述しますが1.25倍の賃金が支払われます。

    時給3,000円の薬剤師ならば、3,750円の賃金となるわけです。

    法定休日に働いた場合、割増賃金が発生します。

    これも後述しますが、法定休日に働くと1.35倍の賃金が発生します。

    時給3,000円で、仮に8時間働いたとすると、

    3,000円/時間×8時間×1.35=32,400円 の日給になります。

    ここでの注意点は、法定外休日では割増賃金は発生しないという点です。

    「法定休日と法定外休日って何…?」

    そんな方は下記をご確認ください👇

    法定休日とは

    法定休日とは、労働基準法35条で規定されている、使用者が労働者に必ず与えなければならない休日のことです。

    使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません(週休1日原則)。ただし、4週間の間に4日以上の休日がある場合には、この週休1日原則は適用されません(変形週休制)。

    https://corporate.vbest.jp/columns/3815/
    法定外休日とは

    先に解説した法定休日は、あくまで労働基準法上で定められた最低ラインの休日です。
    労使間の取り決めで、これを上回る数の休日を労働者に与えることもできます。
    実際に、土曜日と日曜日の週休2日制を採用している会社も多いでしょう。

    このように、労使間の取り決めなどによって定めた、法定休日以外の休日のことを、「法定外休日」といいます。「法定休日」と区別して「所定休日」と呼ぶ会社もありますが、一般的には法定外休日と同義です。

    https://corporate.vbest.jp/columns/3815/

    そして、深夜(22時〜翌5時)に働いた場合にも割増賃金が発生します。

    深夜帯であれば、賃金は1.25倍となります。

    一般的には薬局やドラッグストア勤務で深夜帯に働くことはあまり無いと思いますが、

    病院での夜勤であったり、夜間に棚卸を行うような店舗では割増賃金が発生する状況に遭遇するかもしれません。

    ちなみに、雇用主は「固定残業代込み」などの契約でも、超過分は追加で支払う義務があります。


    残業代の計算方法

    基本的な残業代の計算式は以下の通りです。

    残業代 = 基本時給 × 割増率 × 残業時間

    割増率の例

    割増賃金率まとめ
    労働の種類割増率備考
    時間外労働(法定労働時間を超える場合)25%以上1日8時間・週40時間を超える場合
    時間外労働(60時間超)50%以上中小企業は2023年4月から適用開始
    休日労働(法定休日に労働)35%以上週1日以上の法定休日に勤務した場合
    深夜労働(22時〜翌5時)25%以上時間外・休日労働と重複する場合は加算
    休日+深夜労働60%以上35%+25%で合算
    60時間超の時間外+深夜労働75%以上50%+25%で合算

    ⇒例えば薬剤師が「22時以降の休日勤務」をすれば、時給の60%増 の残業代が発生します。

    計算例

    月給30万円(所定労働160時間)の薬剤師が、20時間残業した場合

    1. 基本時給=30万円 ÷ 160時間 = 1,875円
    2. 割増率25% → 1,875 × 1.25 = 2,344円
    3. 残業代=2,344円 × 20時間 = 46,880円

    前項の通り、薬剤師は単価が高いので少し残業するだけでかなり賃金が増えてしまいますよね。

    しかし、後述しますが私は残業をあまりすべきではないと思っています。


    未払いが発生しやすいケース

    残業代は雇用主にとって経営上手痛いです。

    特に体力のあまりない中小企業においては残業代未払いが発生する事が珍しくありません。

    大手企業においても残業代の削減度合いが成績に含まれていることがあるので、所属長が残業を不正にデータ消去してしまうことも発生し得ます。

    また、「自主的な勉強会・研修を業務扱いにしない」「開店準備や閉店後の片付けを勤務時間に含めない」といったことも労基法違反になる可能性が高いです。


    未払いが疑われる場合の対策

    「あんなに残業したのに残業代これだけ…?」

    そう感じた時の対応を紹介しておきます。

    ① 証拠を残す

    • タイムカード、シフト表
    • メールやLINEの業務連絡
    • 店舗の開閉記録や監視カメラログ

    ② まずは会社に確認

    管理薬剤師や本部に「労基法に基づき支給されるべき」と伝える。

    ③ 外部に相談

    社内では対応してくれそうにない場合は外部に相談しましょう。

    • 労働基準監督署
    • 薬剤師会の労務相談窓口
    • 弁護士(労務に強い専門家)

    これらの外部機関を巻き込み、大事にしていくことで残業代を支払ってもらえる可能性が一気に高まります。

    ただし、職場には居づらくなると思いますので転職直前に行うなどタイミングは見計らうようにしましょう。


    5. 未払いを防ぐためにできること

    • 就業規則・雇用契約書を必ず確認⇒労働条件はどうだったか?
    • 勤務時間は必ず記録(手帳やアプリでもOK)⇒とにかく記録!証拠を残しておくことが大切。
    • 「サービス残業」を当たり前にしない文化を職場で共有⇒その職場に長く居ると感覚がマヒしてくるもの。先輩たちもサービス残業が普通になってしまっているかも。

    残業すると儲かる?

    さて、ここまで残業代の計算方法について述べてきましたが、割増賃金のインパクトはかなり大きいと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    「残業って結構稼げるじゃん!」

    「明日からたくさん残業しよう!」

    このような発想は私はおすすめしません

    長時間労働によって「身体と精神を壊す」「企業が本質的な改善を見誤る」「根本的な解決にならない」などの懸念があるためです。

    長時間労働や残業が常態化すると、肉体的・精神的に大きなダメージを受けるため健康や人生の満足度が下がります

    一時的な残業は仕方ないこともありますし、確かに一時的に収入は増えますが、慢性的な残業はリスクが高いです。

    残業が発生し続けるのは、単に「現場の努力」ではなく経営側が意図的に仕組みを変えていないことが大きな要因としてあります。

    IT導入や業務の外注、人員増強などの抜本的な改善をせず、従業員のマンパワー頼りにし続けられる企業体質に問題があるのです。

    「やりがい」や「会社のため」という精神論で残業を正義としてしまうと、ブラック企業化の温床になります。

    根性論や精神論で残業を減らさず、根本的な仕組み改善がない会社ははっきり言って「やばい」です。

    残業をなくすことで生産性が上がり、良い人材が集まるようになるなど企業自身の利益にもプラスになるはずです。

    なので、本当は無駄な会議や非効率な作業を削減し、テクノロジー導入や権限委譲などで業務を効率化していくべきです。

    あなたの努力や働きかけで組織が変わるのなら良いのですが、なかなか一個人の行動だけで組織が変わる事は難しいです。

    なので、もし今そのような職場に居るのであれば、心身を壊す前に転職活動をオススメします。

    病んでしまった後では転職活動はまともに出来ません

    まずは、転職のプロに相談するところから始めましょう👇

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    まとめ

    薬剤師は業務の性質上、残業代の未払いが起こりやすい職種です。
    しかし、労基法に基づけば残業代は正当に支払われるべきもの。

    計算方法を理解し、証拠を残し、必要なら外部機関に相談することが大切です。
    安心して働ける職場を選ぶためにも、残業代の仕組みを知っておきましょう。

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