2024年度診療報酬改定の結果検証にかかる特別調査で、衝撃的なデータが公表されました。
全国1500薬局のうち約90%が「卸が医薬品の新規注文を受けてくれない」状況にある──。
2023年度に続き、医薬品の調達は改善どころか、むしろ慢性的な悪化傾向が鮮明になっています。
今回は、この調査結果が薬局現場に何をもたらすのか、そして薬剤師としてどんなキャリア戦略を取るべきかを深掘りして解説します。
後半では、調達難・在庫逼迫で疲弊しやすい薬局環境を避けるための“転職戦略”もまとめました。
調査で最も多かった回答がこれです:
「卸に医薬品の新規注文を受けてもらえない(実績のある注文のみ)」
90.1%の薬局が回答し、昨年度調査からほぼ変化なし。
とくに深刻なのが次の項目です:
- 「取引実績がある薬でも、限定出荷になると入ってこない」…80.3%
- 発注〜納品までのリードタイム悪化はやや改善(85.6% → 66.9%)
つまり、
薬の“流通そのもの”が詰まっているということ。
調剤を成立させるために、もはや「努力」だけではどうにもならない状況です。
後発品の供給体制も改善どころか停滞しています。
後発品供給に関する回答は以下の通り:
- 支障をきたしている:77.9%
- 1年前と比較して
- 変わらない:59.1%
- 悪化した:21.3%
後発品の供給難は2020年以降ずっと続いていますが、
いまだに改善の兆しはゼロ。
「医薬品名が変わるたびに説明し直し」
「在庫を確保できないストレス」
「疑義照会が増えて業務パンク」
調剤現場の負担が膨れ上がる一方です。
新たに浮き彫りになったのは、薬局側のガイドライン認知の低さ。
- 知っている:46.7%
- 知らない:50.1%
つまり、
半数の薬局は「国が用意した対策」を知らないまま、現場で苦しんでいるという構図。
薬局経営の体力・情報力の差が、そのまま現場の働きやすさの差になっています。
供給不安定への対策として、薬局間の医薬品融通が急増しています。
- 「融通している」と回答:89.1%
- 年平均148.2回の融通
もはや
“連携しなければ処方箋をさばけない時代”
になっています。
単独店舗と多店舗法人で違いもあり、
- 単独店舗:地域薬局との連携が89.1%で最大
- 大手法人:同一法人内の融通が中心
というように、体制の整った法人ほど、現場の負担は軽くなりやすいことが分かります。
バイオ後続品については、取り扱いがありとした病院が64.9%。最も多いのはインスリングラルギンという状況下で採用が進まない薬のトップもインスリン製剤(31.1%)です。
糖尿病領域を中心に、
バイオ後続品の普及が依然として鈍いことが分かります。
これは現場薬剤師にとって何が問題なのでしょうか?
この調査結果を職場環境という観点でまとめると、以下の状態に当てはまる薬局は危険です。
【危険シグナル①】在庫管理が属人化している薬局
- 入荷しない→“誰かの努力”で何とかする
- 毎日電話・FAXで在庫情報チェック
- 店舗間移動で時間ロス
【危険シグナル②】後発品の代替調剤が多すぎる薬局
- 説明増加
- クレーム・不信感
- 疑義照会頻発
- 診療所との関係悪化
【危険シグナル③】調剤が“運”に左右される薬局
- 入るか分からない
- 明日も同じ薬が来るか不明
- 担当者の力量に依存
調達難は
そのまま「働く環境の悪化」につながる
ことを忘れてはいけません。
今の薬局環境、“転職を考えた方がいい”条件とは何でしょうか?
以下に1つでも当てはまるなら、転職活動の開始を強く推奨します。
- 法人としての調達力が極端に弱い
- 卸との関係構築を現場薬剤師に丸投げ
- 代替調剤が毎日当たり前
- 在庫が頻繁に欠品
- 調剤事故のリスクが常に高い
- 店舗間融通が機能していない
- バックヤード業務がすべて人頼み
- 薬剤師が「調剤より物流」で疲弊している
調達が安定している薬局は、例外なく大手法人、エリア主力チェーン、病院直営、調達部門がしっかりしている企業など“組織力が強い”薬局です。
つまり、
薬局選びを正しくできるかどうかで、調剤でのストレスの大きさが決まる
ということでもあります。
医薬品が入らない環境では、
- 調剤事故リスクが高まる
- クレームが増える
- 他業務(フォローアップ・在宅・薬歴)が圧迫
- 残業・休日対応が増える
- 精神的に疲弊しやすい
という悪循環に陥ります。
さらに、次の改定で薬局再編が進む可能性も高く、
「企業側の体力」が薬剤師の働きやすさを左右する時代に突入しています。
転職は逃げではなく、キャリアを守るための“最優先の安全策” です。
調達難の今こそ「キャリアの安全」を確保するべきなのです。
調達力の弱い薬局から抜け出したい薬剤師に、相性がいい転職サービスをまとめました。
▶ ファルマスタッフ
👉 調剤薬局特化・教育体制の良さで業界トップクラス
- 大手調剤チェーンとの提携が強い
- 派遣・パートなど働き方の選択肢が多い
- 職場見学や内部情報の提供が丁寧
- 教育体制の良い薬局の紹介に強い
調剤薬局で安心して働きたい人、環境重視の人に最適。
▶ レバウェル薬剤師
👉 年収UP+スピード転職に強い“即戦力型”
- 求人数が多く比較しやすい
- 年収交渉が強く、収入UP実績が豊富
- 対応が早く、最短で内定まで進める
- 大手チェーン〜病院〜企業まで幅広い
「早く転職したい」「年収を上げたい」薬剤師におすすめ。
▶ ファルメイト
👉 派遣・高時給案件に強い“働き方自由度No.1”
- 派遣薬剤師のサポートが非常に厚い
- 時給3,000円以上の案件も多数
- 単発・短期・Wワーク可能
- ワークライフバランスを調整しやすい
「今の収入を増やしたい」「週3勤務で働きたい」方に最適。
今回の調査の結論を一言でまとめると、
「医薬品の調達難は、現場努力ではもう解決できない」です。
そしてこれは、
薬剤師の働く価値・職場選びの重要度を大きく左右します。
調達体制が弱い薬局にいる限り、あなたのキャリアは常に不安定です。
逆に、
調達力のある法人に移ればストレスの9割が消える
と言っても過言ではありません。
今の環境に少しでも不安があるなら、
まずは転職サイトに登録し、
“調達が安定している職場”の情報だけでも入手しておくのが賢い選択です。
▼参考記事はこちら





コメント