2026年度診療報酬改定に向け、厚生労働省から示された個別改定項目案。
その中身を見て、「今回は都市部の新規薬局が対象だから、自分の職場は関係ない」と感じた薬剤師も多いかもしれません。
しかし、今回の改定は、
表面的には限定的でも、メッセージは極めて広範囲に及ぶ内容です。
それは、「どの薬局を残すか」ではなく、
「どの薬局を、これ以上評価しないか」を明確に示した改定だからです。
「面分業を進めなさい」から「進んでいない薬局は評価しない」へ
これまでの薬局政策は、
「面分業を進めることが望ましい」
「地域に根ざした薬局を評価する」
といった、やや曖昧な表現にとどまっていました。
実際、敷地内薬局や門前薬局が乱立していても、
既存薬局の多くは調剤基本料1を算定し続けてきました。
しかし今回、厚労省は一歩踏み込みました。
特定医療機関からの処方箋集中率85%という、
明確な数値基準を設定したのです。
この85%という数字は、
「努力目標」ではなく「評価の分岐点」です。
85%を超える薬局は、
どれだけ患者対応を丁寧にしていても、
どれだけ現場が忙しくても、
「立地依存型」として整理される。
この考え方が、はっきりと示されました。
都市部の新規薬局だけが対象? 本当にそう?
今回の改定で矢面に立たされたのは、
特別区・政令指定都市に新規出店する薬局です。
集中率85%超、一定の処方箋枚数を応需している新規薬局は、
調剤基本料1の算定対象外となり、
さらに門前薬局や医療モール薬局には減算まで適用されます。
一見すると、
「既存薬局は守られた」
「今回は新規出店への牽制だ」
と捉えたくなります。
しかし、中医協での議論やコメントを読むと、
この改定が“終着点”ではないことは明らかです。
「28年度改定でどのような整理が行われるかは不透明」
この一文が、すべてを物語っています。
つまり今回は、
“いきなり既存を切るのは反発が大きいから、まずは新規から”
という、極めて現実的な一手に過ぎません。
「今回は守られた」という安心感が、いちばん危ない
現場の薬剤師としては、
「自分の薬局は既存だから大丈夫」
「今すぐ点数が下がるわけじゃない」
と思いたくなります。
ただ、これまでの診療報酬改定の流れを振り返ると、
“一度狙われた評価軸は、必ず数年後に整理される”
というパターンを何度も見てきました。
後発品調剤体制加算、
在宅の評価、
地域支援体制加算――
どれも、
「評価される → 当たり前になる → 役割を終える」
という道をたどっています。
今回の「門前・立地依存」も、
その流れの延長線上にあると考えるのが自然でしょう。
かかりつけ薬剤師指導料の廃止が示す“残酷な現実”
もう一つ、今回の改定で象徴的なのが、
かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止です。
10年前、「患者のための薬局ビジョン」とともに始まった制度が、
今回、完全に姿を消します。
もちろん、
かかりつけ薬剤師の業務そのものが否定されたわけではありません。
服薬管理指導料への統合、
フォローアップ加算、訪問加算など、
評価は形を変えて残ります。
しかし、ここで考えるべきなのは、
「誰が一番影響を受けるのか」です。
これまで、
✅かかりつけ同意の獲得
✅指導料・包括管理料の算定
をKPIとして追われてきた薬剤師、
そしてそれを収益の柱にしてきた薬局。
そうした現場ほど、
今回の改定による“収益構造の変化”を真正面から受け止める必要があります。
真面目に制度に適応し、
求められることを一つずつ積み上げてきた人ほど、
次の制度で「役割を終えた」と言われてしまう。
これは、薬局業界では珍しい話ではありません。
厚労省は「薬局」を守らない。でも…
今回の改定を通じて、
厚労省のスタンスはかなり明確になりました。
すべての薬局を守るつもりはない。
守るのは、
「地域で機能している薬局」
「面分業を進め、役割を果たしている薬局」
だけ。
逆に言えば、
立地に依存し、
制度変更のたびに場当たり的に対応している薬局は、
今後、評価されにくくなっていく可能性が高い。
ただし――
ここで一つ、救いがあります。
それは、
「薬局は守られなくても、薬剤師個人は守れる」
という点です。
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ケース別:この改定の影響を受けやすい薬剤師は?
ここまで読んで、「制度の話は分かった。でも自分は当てはまるのだろうか」と感じている方も多いはずです。
そこで、今回の2026年度改定の影響を特に受けやすい薬剤師像を、ケース別に整理してみます。
これは「不安を煽るため」ではなく、
今後のキャリアを考えるためのチェックだと思って読んでみてください。
ケース①都市部の門前・医療モール薬局で働いている薬剤師
今回の改定で最も象徴的なのが、
門前薬局や医療モール薬局といった「立地依存型薬局」への評価の見直しです。
今回は新規出店が主な対象となりましたが、
「集中率85%超=立地依存」という考え方自体は、
すでに明確に示されました。
つまり、
今後の改定で既存薬局が整理対象になった場合、
最初に影響を受けるのは、この働き方です。
現時点で点数が下がらなくても、
「このモデルで何年も続けられるのか」という視点で見ると、
不安要素が多いのは否定できません。
ケース②かかりつけ薬剤師の算定を強く求められてきた薬剤師
かかりつけ薬剤師指導料の廃止は、
制度面だけでなく、現場の評価軸そのものを変える出来事です。
これまで、
「かかりつけをどれだけ取れたか」
「包括管理料をどれだけ算定できたか」
が、個人評価や店舗評価に直結していた薬局も多いでしょう。
そうした環境で働いてきた薬剤師ほど、
今回の改定で
自分の頑張りが、別の形に置き換えられてしまう
という感覚を持つかもしれません。
制度に真面目に向き合ってきた人ほど、
次の評価基準に適応できる環境かどうかは、
冷静に見直す必要があります。
ケース③調剤報酬に依存した収益構造の薬局にいる薬剤師
調剤基本料、指導料、各種加算。
これらはすべて、制度が変われば一気に揺らぐ収益源です。
今回の改定では、
後発品調剤体制加算の廃止や、
医薬品供給体制を重視した評価への転換も示されました。
これは、
「点数を積み上げる薬局」よりも、
「役割を果たしている薬局」を評価する方向への転換です。
もし今の職場が、
制度変更のたびに現場へ負荷をかけて帳尻を合わせるような運営をしているなら、
将来的に同じことが繰り返される可能性は高いでしょう。
ケース④「このまま定年まで働けるのか」と、少しでも考えたことがある薬剤師
今回の改定を読んで、
「正直、先が見えない…」
「制度に振り回されるのはもう疲れた…」
と感じた方もいるかもしれません。
それ自体が、
キャリアを見直す十分なサインです。
危機感を持たずに働ける人は、
そもそもこの記事にここまで目を通していないはずです。
影響を受けやすい=今すぐ辞める、ではない
誤解してほしくないのは、
これらのケースに当てはまるからといって、
「今すぐ転職しなければならない」という話ではありません。
大切なのは、
選択肢を持てるうちに、自分の立ち位置を確認しておくことです。
制度改定が本格的に影響を及ぼしてから動くと、
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制度が変わるたびに、人生まで揺らされないために
2026年度改定は、
薬局業界にとって一つの通過点に過ぎません。
ただ、
「評価されない方向に進んでいる職場」に長く居続けるほど、
選択肢は確実に減っていきます。
少しでも引っかかるものがあったなら、
今すぐ結論を出さなくて構いません。
まずは一度、
外の世界をのぞいてみてください。
最大のリスクは「何も考えず、何も動かないこと」
制度改定のたびに、
「うちはまだ大丈夫」
「そのうち何とかなる」
と先送りしてきた結果、
選択肢がなくなってから動かざるを得なくなる。
これが、
これまで何人もの薬剤師がたどってきた道です。
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を、無料で知ることができます。
制度が変わる時代において、
一番強いのは
「辞める・残るを自分で選べる状態」です。
制度は変えられない。キャリアは選べる
2026年度改定は、
単なる点数改定ではありません。
それは、
「この先も同じ場所にい続ける前提でキャリアを考えるのは危険だ」
という、静かな警告です。
少しでも引っかかる部分があったなら、
今すぐ結論を出す必要はありません。
ただ一度、
外の世界を見てみてください。
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