2025年、薬剤師の働く環境が大きく変わる転換点となります。
2025年11月、横浜で開催された第4回日本フォーミュラリ学会学術総会にて、
「地域フォーミュラリの全国展開が本格的に始まった」ことが明らかになりました。
理事長・今井博久氏によると、
2025年度時点で全国約50地域が導入または準備段階。
「10年で全国普及完了」を目標に掲げ、
次期調剤報酬改定では「地域フォーミュラリ加算」創設の可能性も示唆されています。
これは、薬剤師にとって単なる制度ニュースではなく、
「キャリアの方向性が大きく変わるサイン」です。
フォーミュラリとは、
「安全性・有効性・経済性などを基準に、地域で推奨する医薬品を選定・共有するリスト」のこと。
欧米では当たり前の仕組みですが、日本ではここ数年でようやく広がり始めました。“医薬品の標準化”で地域医療を変える仕組みです。
つまり、“同じ疾患には同じ薬”を地域全体で使うルールを作るということです。
この流れにより——
- 医師・薬剤師間の処方・調剤のばらつきが減る
- 医療費が抑制される
- 地域連携の効率が上がる
- 薬剤師が“薬の選定者”としての役割を発揮できる
といった変化が起こります。
今井理事長が“非常に大きな転換点”と語ったのが、
2025年6月に公表された「骨太方針2025」です。
社会保障制度改革の一環として「地域フォーミュラリの全国展開」を明記。
2025年末までに検討を終え、早ければ2026年度から報酬化を実行。
つまり、今後10年で地域フォーミュラリの導入が義務的に進む流れ。
「やる・やらない」ではなく、
“どのように関わるか”を薬剤師が選ぶ時代になっていきます。
骨太方針2025によって全国展開が後押しされているのです。
11月5日の財政制度等審議会では、
「地域支援体制加算の要件にフォーミュラリ参画を加える」案も提示されました。
これが意味するのは——
今後、フォーミュラリに関与していない薬局は“加算を取れない”可能性があるということ。
後発医薬品調剤体制加算の比率(数量ベース9割超)が限界を迎える中、
「地域フォーミュラリ加算」への置き換えが進むシナリオも十分考えられます。
フォーミュラリ実施の“要件”とは何でしょうか。
日本フォーミュラリ学会では、報酬上の評価を見据えて
「適正に実施している地域フォーミュラリの要件」を提示しました。
主なポイントは以下の通り👇
- フォーミュラリ委員会の設置(運営規則あり)
- 委員は利益相反(COI)を開示
- 民間企業への委託は不可
- 医師会・薬剤師会・歯科医師会の“三師会”連携が望ましい
- 薬効群数は2群以上、6か月以上の運用実績
- 地域サイト上での情報公開
- 行政・保険者・県の薬務課などへの報告体制
民間企業プラットフォーム(例:FINDAT)は撤退リスクがあり、
自治体主導・地域医療関係者主導が原則となります。
民間委託NG、委員会設置が必須になるということです。
このような状況で、薬剤師が考えるべきキャリア戦略は何でしょうか。
地域フォーミュラリが進むと、薬剤師の役割は明確に二極化します。
| タイプ | 主な業務 | キャリア展望 |
|---|---|---|
| 参画型薬剤師 | 医師会・薬剤師会での選定、エビデンス分析、行政協働 | 医薬政策・学会連携・専門薬剤師への道 |
| 非参画型薬剤師 | 調剤・投薬中心の現場業務 | ルーチン化・報酬減少リスク |
フォーミュラリ普及が「10年で完了」となると、
2026〜2035年は“選ばれる薬剤師”と“淘汰される薬剤師”の分かれ道になります。
特に中小薬局やドラッグストア勤務者は、
地域医療連携や処方提案に関わる機会を持ちにくいため、
今のうちに地域フォーミュラリ参画のチャンスがある職場へ動くことが重要です。
今こそ転職で「フォーミュラリに強い薬局・病院」へ移るタイミングです。
今後は、
✅「フォーミュラリ運用地域」
✅「地域支援体制加算を取得している薬局」
✅「学会発表やエビデンス検討に関与できる職場」
といった条件が、将来の給与・ポジション・専門資格に直結していきます。
転職サイトを使えば、こうした“地域フォーミュラリ先進エリア”を簡単に探せます👇
▶ ファルマスタッフ
- 【強み】地域密着×病院・調剤求人が豊富
- 【特徴】「地域支援体制加算を取得している薬局」を条件検索可能
▶ レバウェル薬剤師
- 【強み】自治体連携の求人が多く、地域包括ケア・在宅強化に強い
- 【特徴】非公開求人の質が高い
▶ アイリード
- 【強み】エビデンス重視・学会発表経験者の転職サポートが手厚い
- 【特徴】フォーミュラリ関与実績ありの病院求人あり
地域フォーミュラリは「薬剤師の再定義」を迫ります。
- 地域フォーミュラリは10年で全国展開が目標
- 調剤報酬に「フォーミュラリ加算」が加わる可能性あり
- 民間委託NG・三師会主導の仕組みへ
- 参画できる薬剤師=キャリアが伸びる薬剤師
これからの時代はまさに、
「フォーミュラリを理解しているかどうか」が薬剤師価値を左右する年です。
「自分の薬局・病院がどんな立ち位置か?」を確認し、
将来性のある現場へ早めにシフトしておくことが、10年後のキャリアの明暗を分けるでしょう。
✅
- 自分の勤務先が地域フォーミュラリに参画しているか確認
- 学会・自治体の動向を追う
- 【転職サイト】で「地域フォーミュラリ」×「薬剤師」で求人検索
- 専門性を磨くために学会参加・認定資格を取得
▼参考記事はこちら





コメント